NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第七回「上洛への道」の登場人物と演者の情景について、あれこれと随想したいと思います。
第七回「上洛への道」の概要
NHKオンデマンドの場合
信長は念願の美濃を手に入れ、岐阜と改めます。秀吉はねねと岐阜へ移り、弟・小一郎に加えて、姉・ともの夫・弥助と妹・きいの夫・嘉助を家来にします。しかし、武士の生活が嫌いな母のなかは岐阜へは来ません。しばらくして、姉のともが長男・孫七郎(秀次)を産みます。ある日、将軍・足利義昭を美濃に迎えるための接待役に、ねねとまつに白羽の矢が立ちます。いよいよ、信長上洛(じょうらく)の日が近づいてきました。
登場人物と演者の情景
気になった登場人物や演者のことを、あれやこれやと随想します
連名G
泉ピン子さん、せんだみつお
宗近晴見、菅原ちね子石濱朗、角野卓造
津村隆(現・津村鷹志)、新井みよ子
若駒、鳳プロ、国際プロ、早川プロ、劇団いろは— 渡る世間の片隅で (@watasumi_net) May 14, 2022
ねね:佐久間良子さん
第七回から前髪をいじってマイナーチェンジしてきた、ねね。
まつに覚えがあって、ねねに覚えがなかった、つわりの情景。ねねとしては、心底やや子が欲しいはずなのに。佐久間良子さんが健気の面相でやり過ごした印象。この辺は、他の女優さんだったら、もっとオーバーに傷心の面相を醸し出しちゃうかもしれないけど。兎に角、感情を内に秘める、ねねを何かと佐久間良子さんが好演といった様相にも。
本人は子が授からなくて辛い、にもかかわらず、まわりのほとんどが配慮せずに子作りプレッシャーの雨あられ(笑)それでも、何事もなかったように気丈に振る舞う、佐久間ねね。自然と応援したくなるかも。
寝屋においては、子作り世代のかわいらしい色気をしっかりとこしらえつつ。このあたりは、やはり女優さんですね。
かと思えば、秀吉ではなくて、自身が義昭公の接待役に抜擢されたことを知った、おかかの目(笑)少女漫画のようでした。
はっ?あたくしが?
信長様の御裁量により。足利何とか様こと、義昭公の接待役を仰せつかったことで。驚愕のあまり、少女漫画の様相を呈した、おかかの目。演者は、佐久間良子さん。
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それにしても、何かとさりげなく無難に魅せてくる、佐久間良子さん。まさに正統派女優の様相を呈していましたね。
小一郎:中村雅俊さん
どさくさに紛れて、カメラ目線気味の中村雅俊さん(笑)それはさておき。
小一郎に関しても、髪型とか面相が明らかにモデルチェンジの様相にも。
ちょんまげがなかったら。昭和時代のツッパリと化していた、小一郎。加えて、装いが何処となく新選組に類似の様相を呈した一幕。
演者は、中村雅俊さん。
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京でのお役目などを、ねねやや姉妹、姉さのともに報告した時なんかは。百姓が侍になって、京デビューしたら妙にあかぬけた的な。昭和時代とかに例えるなら、中学で地味だった子の高校デビュー(笑)ほんと、一気に来たって感じ。なんか、百姓の頃に比して、何だか豪傑になった形相にも。
こうした中村雅俊さんも素敵ですね。
やや:浅茅陽子さん
兎に角、ややに扮した浅茅陽子さんの台詞回しがはやいこと、はやいこと。でも、浅茅陽子さんの場合、早口なんだけど、それでいて台詞がぐじゃってなってないから、比較的許せる範囲かな。テンポがいいよね。
みーんな、御姉様のお荷物じゃ(やや)#おんな太閤記 第七回
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ややの言い方(笑)
当初は、うるさい印象しかなかったけど。昨今では個人的に、ややがだんだんとかわいく見えてきたかも。例えば。
この振る舞い、共演者の殿方も「浅茅さん、かわいいなあ」って思ったに相違ない(笑)ほんと、無邪気。流石、朝ドラヒロイン経験者でしたね。
まつ:音無美紀子さん
無論、橋田先生に言わされているとはいえ。まつに関しては、とものつわりを察した、あの台詞が強烈過ぎて(笑)
ねね様にはお分かりにならぬかもしれませぬが、わたしには覚えがございます(まつ)
子が授からないのが辛かった、ねねに対して。まつを通して作者が容赦なく突きつけた、覚えの有無。
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まつが回を増すごとに、ねねの引き立て役として存在感を発揮してきた様相にも。
弥兵衛:尾藤イサオさん
第七回ではクレジットタイトルが五枚目と言うことで、弥兵衛がどんな働きだったのか気にならない道理がなかったわけですが。
ふたを開けてみたら「弥兵衛を探せ!」状態だったから(笑)いやあ、見つけられませんでしたね。おそらく、劇中に登場していなかったと思うんですけど。
おそらく、劇中に弥兵衛が姿を現さなかったにもかかわらず。しっかりとクレジットタイトルには名を連ねていた、当時の尾藤イサオさん(笑)
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きい:泉ピン子さん
第七回は、なかが魅せた回ということで。別段、きいに関しては魅せ場はなく、なかの盛り立て役だった様相にも。
百姓の娘、きいに扮した当時の泉ピン子さん。相変わらず、愛嬌があってかわいかったですね。
おっかさ独りおいて、行ける道理がなかろうが(きい)#おんな太閤記 第七回
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きいに関しては、別記事で詳しく考察します。
嘉助:せんだみつおさん
嘉助の「あっ!」って(笑)これはいったい、なんだったのでしょうか??おそらく、せんだみつおさんのアドリブの様相。だって、戦国時代っぽくないし、こうしたせこいネタ(笑)橋田先生が考えるとは思えないので。
兎に角、いい時代でしたね。
信長:藤岡弘、さん
信長に関しては、義昭を接待した時の面相が印象的。何を考えているか、わからないような不気味の信長を藤岡弘、さんが醸し出していましたね。
当時の藤岡弘、さん。乗馬の情景に関しては「この日!」とか決めて。一気に撮影したんだろうね。使い回し用に(笑)初見でなければ、分かる人も多いはず。
でも使い回しって。大河ドラマでは結構ありがちで決して珍しくはない様相にも。
というわけで、この乗馬シーン。お次はどの回で登場するでしょうか。
お市:夏目雅子さん
市。そなたは立派に、浅井家の人間になってくれた。じゃがのう、信長の妹であることには変わりはない。それを忘れるな。
兄・信長の苦言に対して、笑顔から一変。反抗的の面相を醸し出した、お市。演者は、夏目雅子さん。
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夫・浅井長政との間に茶々を授かったりと。幸せいっぱいのお市だったけど。
目力で不快感を露わにした、お市。夏目雅子さん、素敵。
御顔が凄く整ってらっしゃるので。西遊記では、清楚で凛とした三蔵法師がとっても板についていました。
西遊記の夏目雅子さんって。馬に乗ってるか縛り上げられてるか、どっちかだよね(笑)#西遊記
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無論、秀吉とお市は西遊記で既に共演。
とも:長山藍子さん
「うっ!」で表現された、とものつわり。すなわち、かわいい声を出そうなどといった邪念を微塵も感じさせなかった、おんなの吐き気。長山藍子さん、魅せましたね(笑)
ともに関しては、別記事で詳しく考察します。
利家:滝田栄さん
まずは、嘉助の剣術指南役として。その時の台詞を、とりあえず抽出してみます。
さあ来い!(利家)
はっ!(利家)
ほらほらほら!ほいほいほい!(笑、利家)
おりゃ!(利家)
えいっ!やあっ!(利家)
大したものよ。嘉助殿はめっきり腕を上げられた(笑)お主や小一郎殿よりはるかにましじゃ(利家)
NHKの字幕による「ほいほいほい」とか(笑)
あとは、信長にだって何が起こるかわからないという、なかの見解に同調するため。すなわち、橋田先生からの史実的伏線を強調する役回りを担った第七回の利家。
なか:赤木春恵さん
人を殺して出世して何が偉い!(なか)
殺人を否定しない道理がない、橋田壽賀子脚本の一幕。
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第七回「上洛への道」は、ある意味では赤木春恵さんが扮した、なかの回。
橋田先生のNHKおんな太閤記において、人の道理を説く役割は、なかの務めと化しています。
色んな意味でツッコミどころ満載でしたね。
というわけで、なかについては別記事で詳しく考察します。
小六:前田吟さん
特に目立った魅せ場がなかった小六役の前田吟さん。
それでも魅せ場があった、なか役の赤木春恵さんではなく、前田吟さんがトメ前でした。
んが、それでいいんです。兎に角、国民的人気映画『男はつらいよ』シリーズで寅さんの義弟役だった前田吟さんがNHKおんな太閤記に名を連ねていることに大きな意義があるかな。このことが渡鬼出演にもつながっていくわけだし。個人的にはそう思っています。
秀吉:西田敏行さん
西遊記、然り。
んが、NHKおんな太閤記に関しては、回を追うごとに秀吉の言動行動がムカつく(笑)これには、秀吉役ということに大きく起因しています。
西田敏行さんの場合、アドリブを結構入れてきてるのが、悪い意味で個人的には何かと気になるところ。他方、橋田先生から問答無用(笑)で突きつけられた長台詞をこなして魅せてるところは流石の一言。
足利義昭に癒着する信長の意義について、教え子と化した、ねねを相手に、講師の様相を呈した秀吉の長台詞で日本史教室をこなして魅せたり。ほんと、演者に負担をかけない道理がない橋田壽賀子脚本(笑)に対して、見事の暗記力や表現力を披露されていました。
気にならない道理がない新キャスト
新たな登場人物並びに演者についてご紹介します。
細川藤孝:角野卓造さん
細川藤孝役で角野卓造さんが初登場!!#おんな太閤記 https://t.co/niKXhlmpJf
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ワンシーンの出演でしたが、橋田先生からしっかりと長台詞を頂戴していた細川藤孝役の角野卓造さん。その印象はといえば。
面相表現がとっても豊かだったのが印象的。
まさに、藤孝百面相(笑)
足利義昭:津村隆(現・津村鷹志)
ねね曰く、足利何とか様こと、足利義昭に扮した津村鷹志(旧芸名・津村隆)さん。
結構な、はまり役の様相にも。兎に角、津村隆さんの見事な鼻が諸国を放浪していた「腐っても鯛」っぽくて(笑)
津村隆さんと言えば、NHKおしんや渡鬼といった他の橋田壽賀子作品にも何かとゲスト出演されていましたね。
田中裕子さん扮するおしんに詰め寄る婚約者・桜木徳男役だった津村鷹志(旧芸名・津村隆)さん
出典:NHK連続テレビ小説『おしん』第43回 pic.twitter.com/OLLzNWXZ3E
— 渡る世間の片隅で (@watasumi_net) June 23, 2019
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