NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十九回「三木城攻略」の登場人物と演者の情景について、あれこれと随想したいと思います。
第十九回「三木城攻略」の概要
明智光秀は丹波の八上城を落とすため、母親を人質に差し出して和睦を申し入れますが、信長は八上城主をはりつけにしたため、光秀の元に母親の首が送られます。その後、荒木村重が落ち、黒田官兵衛が1年近い幽閉から救出されると、息子の松寿丸に会いたいと願い出ます。信長は動揺しますが、ねねの機転で生き延びた松寿丸が現れます。秀吉は兵糧攻めで三木城を落とします。城内では侍女のしのがなんとか生き残っていました。
クレジットタイトルツイート
NHK #おんな太閤記 第十九回「三木城攻略」
作:橋田壽賀子
音楽:坂田晃一
(中略)出演
1佐久間良子 2中村雅俊 3浅茅陽子 4尾藤イサオ 5泉ピン子
連名G
中G:1藤岡弘 2田中好子 3岡まゆみ 4長山藍子
連名G
トメG:1赤木春恵 2前田吟 3西田敏行
(後略)#おんな太閤記クレジット タイトル pic.twitter.com/GqR8Y2fBJ2— 渡る世間の片隅で (@watasumi_net) August 6, 2022
ねね:佐久間良子さん
今回の、ねねの動きを大雑把にピックアップしつつ、簡単に随想します。
夜更けに進之介を自室に招き入れる
ねねと進之介が禁断の情事に走らなくてよかったですね(笑)
秀吉の名代として坂本城に参上する
細川忠興に輿入れが決まった、光秀の娘・おたまをお祝するため。
光秀親子の不幸に心を凍らせる
心を凍らせた、ねねの髪型が西洋婦人と化して(笑)
人質の秀家を預かる
松壽丸の件で人質の預かりを嫌がっていたけど、結局は秀家を可愛がり、慰められるといった御約束の関係に(笑)
松壽丸と再会、安土城に参上する
ねねが松壽丸を生かしたことで。官兵衛との親子対面を実現させる。それに付随して、見せしめで松壽丸を殺したと思っていた信長のことも安堵させる(笑)
秀吉から竹中半兵衛の死を知らされて合掌する
思いっきり半兵衛の美談を横取りしちゃいましたからね(笑)
しのと秀長のことで、姑・なかと画策する
次回、しのと秀長を夫婦(めおと)にするために、嫁姑の連携プレーが表現されそう。
秀長:中村雅俊さん
まずは秀長が援軍として光秀の陣中に。このあたりは橋田壽賀子作品ならではかも。だって、別に秀長が居合わせなくてもよかった情景だった気がするので。
猶予はなりません。直ちに八上城を!光秀殿の母御は人質として城内におられるではないか!(秀長)
信長様が波多野三兄弟を討たれたと知ったら人質の命はない!一時も早う!光秀殿。光秀殿!(秀長)
秀長がいろいろ言っていたけど、光秀の母を救うのは難しい状況だったから。無意味のセリフでしたね(笑)
そして三木城のことでは何かと秀吉と会話がありながら。
いよいよ秀長が三木城に入る。
しのとの色恋については別記事で詳しくご紹介しています。
やや:浅茅陽子さん
秀吉は、長浜に落ち着く暇もなく播磨の陣に戻り、結局、ねねはまた秀家を預かることになってしまった(語り)
また一人御子が増えたのか(やや)
とりあえず、姉の小姑たちと一緒に、人質の子供がまた一人増えたことを確認した、やや。
浅野長政:尾藤イサオさん
申し上げます!只今、城内の別所長治よりの使者にて降伏の儀、申し入れて参りました!(浅野長政)
何!(秀吉)
長治並びに長治の弟と叔父は自害し、城中、諸卒(しょそつ)、家族の者たちは助けおかれるよう請うてきております。(長政)
別所長治の降伏を秀吉に報告した、浅野長政。
あさひ:泉ピン子さん
あさひに改名した回なのに説明を端折られる(笑)
登場自体もほんの一幕のみ。
今回に関して、存在感が小さかったのは否めず。
みつ:東てる美さん
相変わらず、城内の庭隅から姿を現した、おみつ。
御方様(みつ)
いつ戻られた(ねね)
摂津より只今。摂津にて謀反の兵を挙げました荒木村重、ついに城を追われ、有岡城は上様の御手に落ちましてございます。(みつ)
まことか?(ねね)
ねねに有岡城落城を報告。
進之介:木原光知子さん
一見すると、ねねとの禁断の関係を疑われない道理がない冒頭でしたが(笑)
進之介にございます(進之介)
只今戻りました(進之介)
気取られた様子は?(ねね)
今のところ(進之介)
はあ。官兵衛殿の御消息が分からずとあらば、松壽丸殿は救われぬ。一生あのまま。村重を説得に有岡城へ行かれたまま戻らぬとあらば、上様が疑われるのも無理はないわ。でも、私は信じられぬ。(ねね)
御方様。松壽丸殿さえ御無事であれば、いつかは必ず。(進之介)
そなたが居てくれてどれだけ心強いことか(ねね)
ねねと進之介の禁断の関係は無さそうですが。
進之介の存在が、ねねにとっては慰めになったみたいですね。
光秀:石濱朗さん
第十九回「三木城攻略」では本能寺の変への布石が打たれた回となりました。
別記事で詳しくご紹介しています。
信長:藤岡弘(現・藤岡弘、)さん
天正六年秋、明智光秀は信長の命により、播磨と北を接している丹波を攻めていた。が、丹波の豪族、波多野氏の八上城をなかなか落とすことができず、城を包囲したまま、翌天正七年五月を迎えていた。業を煮やした信長は、秀吉の弟、秀長を援軍として送った。焦った光秀は自分の母を人質として八上城に送り、八上城に立て籠もる波多野氏の三人の兄弟を誘い出し、安土に送って信長に和睦を申し入れさせた。(語り)
ならぬ!即刻、磔の刑に処せ!(信長)
なんと仰せられます!波多野三兄弟は光秀殿が母上を人質になされ、和睦を条件に安土に参ったものでございます。(信長の側近)
ならぬと言うたら、ならぬ!(信長)
しかし(信長の側近)
光秀のやりようも許せん!母を人質に敵をおびき出すなど、武士の風上にも置けぬ卑怯な小細工。見せしめじゃ!(信長)
というわけで、波多野三兄弟を磔の刑、それに起因して光秀の母の命まで奪ってしまった信長。
そんな見せしめ三昧だった信長が報復をうけることに。
黒田官兵衛が生還したことで窮地に立たされた信長(笑)
本能寺の変が近づいてきて藤岡信長の活躍も残りわずかということもあって。
思いっきり怯んでいる信長を堪能できた回でもあります。
別記事で詳しくご紹介しています。
しの:田中好子さん
三木城内で秀長から愛を叫ばれた、しの。
別記事でくわしくご紹介しています。
おたま:岡まゆみさん
細川忠興との祝言を祝うために、秀吉の名代として坂本城に姿を現した、ねねと御対面。
光秀の娘故に、悲劇のヒロインと化していく、おたまの初登場回。
とも:長山藍子さん
何じゃ?また豪姫を泣かせたのか(とも)
朝から晩まで、ねね様も休まらぬことよのう(とも)
そのかわり、大きゅうなったら皆、ねね様を大事にしましょうぞ。うん?(とも)
託児所の様相を呈した長浜城にて。子供たちの養育に日々対峙していた、ねねを気遣った小姑のとも。
いつの間にか、ねねへの敬称が「様」になっていたりと。
さらに、人質として新たに秀家を預かり始めた時には、ねねのことを心配して。
じゃがのう。はい、坊。慈しまれるのを悪いとは言わぬが、あまり情をおかけになると、また松壽丸殿の時のように辛い思いをせねばなりませぬ。ほどほどになされぬと。(とも)
ともは松壽丸が始末されたと思い込んでいますからね。
この時に登場した折り鶴がやたらと大きかったのも気になったところ(笑)
なか:赤木春恵さん
あの戯けが!まだそないなことをほざいておるのか。己とて足軽の出。小一郎の嫁をとやかく言えた義理か!(なか)
秀吉殿は間もなく長浜に戻ってこられます。これはどうあっても秀吉殿と一戦交えねばなりませぬのう。(ねね)
おお、やりなされ。儂はのう、ねねさの味方だなも。(なか)
それは何より心強うございます(ねね)
じゃがのう、相手は手強いでのう。一筋縄ではいかんぞなも。(なか)
戦は、ここでするものでございます(ねね)
(笑)そのとおりじゃ(笑、なか)
それにしても、橋田先生が描写する嫁姑関係が良すぎて。
後の世の渡鬼で何かと描かれる嫁姑問題を見慣れているせいか。
改めて観ると、嫁姑問題が皆無の両政所が、やっぱり新鮮に映りますね。
小六:前田吟さん
秀長殿、何をしておられる!女子への狼藉(ろうぜき)は御法度!破れば打ち首でござるぞ!(小六)
秀長の所業が狼藉に見えた小六。
織田軍が統率されていたことを印象付けた一幕です。
なお、敗戦国の女子については別記事で考察してみました。
秀吉:西田敏行さん
今回、嫌な感じがした秀吉を大雑把にピックアップしました(笑)
光秀親子の不幸は他人事
光秀親子の不幸は、ねねの心を凍らせた。ねねは母をも犠牲にしなければならない乱世を憎んだ。(語り)
光秀殿も功を急がれたのよのう。儂は焦らぬぞ。力で戦うばかりが戦ではない。じっくりと時を待つ。(秀吉)
相反する感情を持ち合わせた夫婦の物語(笑)
秀吉、ちょっとは光秀の心痛に配慮するような発言があってもよかったのにね。
秀長の感情を弄ぶ
兄者。城内には女子供もおる。それでは女子供まで苦しめることになる。(秀長)
しのとやらいう女子もおるそうな(秀吉)
(笑)秀長(笑)案ずるな。槍や鉄砲や刀は使わぬ。長治とて女子供まで飢え死にさせるようなことはすまいて。その前に下ってくるわ。それがつけめよ。のう(笑、秀吉)
しのの安否が定かではない状況下における発言です。
秀長にしてみれば、しのを案じない道理がないのにね。
おっ母様に苦労をかける?
(笑)起こるな怒るな。たとえ、そのような時が来ようと、儂はおかかを人質になどやらぬわ(笑)大事な大事なおかかじゃけえのう。(秀吉)
怒ったのか?おっ母様はまだずっと中村か?(秀吉)
はい(ねね)
ああ。おっ母様にもいろいろ苦労をかけるのう。うん。(秀吉)
なんか嫌な感じ。
おかかのことは人質に出さないけど、おっ母様のことは人質に出したいみたいな。
弟に恨まれることを辞さない
秀長。儂を恨んでおろうのう。許せ。こうするよりほかなかった。これが一番、犠牲を少のうて済む戦と思うた。(秀吉)
秀吉は別に言わなくてもよい言葉を秀長に浴びせる。
秀長にしてみたら、聞きたくもないことばかり。
諦めが悪い
戯け!お主は既に但馬の出石城(いずしじょう)を預かる一国一城の主ぞ。そのような女子と。己の立場をよう考えてみい!(秀吉)
ならぬと言うたらならぬわー!(秀吉)
秀吉、本当に往生際が悪い(笑)
いい加減、秀長のことは諦めろ。
次回に続く
週刊おんな太閤記随想、第十九回「三木城攻略」