2022年4月から、NHK BSプレミアム・BS4Kにて、橋田壽賀子作品の大河ドラマ『おんな太閤記』の再放送がスタートしました。やはり、橋田・石井ファミリーの登場が見どころの一つかもしれませんが。長年に渡って、渡鬼のキミを好演された赤木春恵さんも、秀吉の母・なか役で出演されていますので。気にならない道理がないですね。
というわけで、第七回「上洛への道」で赤木春恵さんが扮した、なかに注目してみました。
第五回までの、なかをおさらい!
第七回「上洛への道」の概要
NHKオンデマンドの場合
信長は念願の美濃を手に入れ、岐阜と改めます。秀吉はねねと岐阜へ移り、弟・小一郎に加えて、姉・ともの夫・弥助と妹・きいの夫・嘉助を家来にします。しかし、武士の生活が嫌いな母のなかは岐阜へは来ません。しばらくして、姉のともが長男・孫七郎(秀次)を産みます。ある日、将軍・足利義昭を美濃に迎えるための接待役に、ねねとまつに白羽の矢が立ちます。いよいよ、信長上洛(じょうらく)の日が近づいてきました。
赤木春恵さんのクレジットタイトル
人を殺して出世して何が偉い!
御久しゅうございます(ねね)
ほう、ねねさもとうとう供を連れて歩くような身分になったのかなも(なか)
稲葉山での戦では、兄さは大層お手柄じゃったもの。これぐらいの出世は当たり前じゃ。(きい)
人を殺して出世して何が偉い!(なか)
なかの口を通して世の常を唱えて魅せた、橋田先生の神髄
殺めの情景を描写したくないのが、橋田先生の本音
父なし子
えっ!とも姉さにややが!(きい)
秀吉殿も、とてもお喜びで(ねね)
もうできぬのかと諦めておったのに。よかったのう、おっ母さあ。初孫(ういまご)じゃ。(きい)
何がええのじゃ。侍になって子を産んで、どうする。御父が戦で死んでしもうたら、たちまち父(てて)なし子じゃ。(なか)
「父なし子」が死別リスクの代名詞として表現された一幕。他方、後の世の渡鬼では、離婚を否定する文句として使われていた様相にも。
小一郎もきいも、実父は木下弥右衛門
儂はそういう思いをしてきたからこそ言うのじゃ。御前らの御父は、戦で受けた手傷がもとで死んでしもうた。きいはまだ儂の腹ん中じゃったが、年端も行かぬ子を三人連れて途方に暮れてのう。しかたのう、二度目の御父の所に行った。
故に、とも・秀吉・小一郎・きいの実父は木下弥右衛門
小一郎ときいを継父・竹阿弥の子とはせず
なかはなぜ、竹阿弥と一緒に住んでないんだろうね?
ともの子が不憫
じゃがのう、その御父と藤吉郎の折り合いが悪うて、儂はどんなにつらい思いをしたか。藤吉郎が、儂や家を捨てて、侍になったのも、戦が御父を殺したからじゃ。ともの子じゃとて、いつそのような思いをするかもしれぬ。産まれてくるだけ、不憫よのう。(なか)
これも史実的伏線なのかな
なかのリスク管理
弥助さとて、百姓しておれば、そんな危ない目に遭わんで済む。土にさえしがみついておれば、踏まれても蹴られても生きていけるのじゃ。それを藤吉郎につられて、侍になりたいなどと。戯け者が。(なか)
侍は戯け者、百姓は果報者
ねねさの気持ちは有難いと思うておる。じゃが儂は一人になってもここにおる。いやおらねばならんのじゃ。藤吉郎にもしものことがあったらどうする。今は殿さまの覚えが目出度いというて大きな顔をしておるがのう、こんな世の中じゃもの、信長様とていつ、何時ほかの大名にやられるかもしれぬ。また、藤吉郎が疎んじられる時が来るやもしれぬ。(なか)
領主並びに身内の落ちぶれリスク対策の様相
信長に関する史実的伏線も
当時の百姓が、ここまで考えるかなあ??出世した身内にあやかりたいと思うのが世の常だと思うけど。橋田先生、少々「浮世離れポイント」が高いかもね。
その時行く所がのうては、藤吉郎だけではない、小一郎、とも、きいも生きてはいけぬ。儂が土を守って百姓さえしておれば、いつでもこの中村に戻ってこれるのじゃ。まず飢え死にすることはあるまい。(なか)
うまくいかなんだらいつでも戻ってこい。儂は畑と一緒に、死ぬまで待っててやるわ。(なか)
百姓なら飢饉で作物が育たないリスク、故に飢え死のリスクも充分にあり得る
尾張が敗戦国になった時の百姓リスクとかも。橋田先生、語る気なし
ねねの気持ちが有難い
おーお、たんと土産をもろうて。これはねねさの見立てか?(なか)
儂は良い嫁を持って、果報者じゃ(笑、なか)
最後はお決まりの「果報者じゃ!」で〆て魅せた、なか。一見すると一件落着の様相だけど。ねね、きいの気持ちは果報とは程遠いかもね。
第七回、なかの道理、中々ツイート
人を殺して出世して何が偉い!(なか)
殺人を否定しない道理がない、橋田壽賀子脚本の一幕。
画像:NHK大河ドラマ『#おんな太閤記』第七回「上洛への道」#おんな太閤記クレジット pic.twitter.com/3oyLwxHShV
— 渡る世間の片隅で (@watasumi_net) May 16, 2022
おっ母さ独り置いて、行ける道理がなかろうが(きい)
前世でもやっぱり。キミへの心遣いを大切にしない道理がなかった五月。演者は泉ピン子さん、そして赤木春恵さん。
画像:NHK大河ドラマ『#おんな太閤記』第七回「上洛への道」#あさひ物語 #渡鬼前世 pic.twitter.com/Y7GcmD6sqZ
— 渡る世間の片隅で (@watasumi_net) May 23, 2022
週刊おんな太閤記随想、第七回「上洛への道」
第七回「上洛への道」について、渡隅版のまとめページ