NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十四回「信長の手紙」の登場人物と演者の情景について、あれこれと随想したいと思います。
第十四回「信長の手紙」の概要
ねねは、利家とまつの子・お豪を養女にして、小さな命を育てる喜びを味わいます。信長は嫡男・信忠に岐阜城を譲り、壮大な安土城を築きます。秀吉が多忙なため、代わりにねねが築城の祝賀に出向き、信長に秀吉の側室のことで愚痴を言ってしまい、気落ちします。ねねが元気なく長浜に戻ってまもなく、長男・秀勝は病に倒れて看病の甲斐もなく息を引き取ります。しばらくすると、安土の信長からねねを気遣う手紙が届きました。
クレジットタイトル
NHK『#おんな太閤記』第十四回「信長の手紙」クレジットタイトル
作:橋田壽賀子
音楽:坂田晃一
(中略)出演
1佐久間良子 2中村雅俊 3長山藍子 4泉ピン子
連名G
中G:1藤岡弘 2津島恵子 3沢田雅美
連名G
トメG:1赤木春恵 2尾藤イサオ 3前田吟 4西田敏行
(後略)#おんな太閤記クレジット pic.twitter.com/5fCIP2CsxU— 渡る世間の片隅で (@watasumi_net) July 4, 2022
ねね:佐久間良子さん
佐久間良子さんが扮したヒロインのねねについては、別記事でご紹介します。
秀長:中村雅俊さん
おっ、これはこれは、日増しに愛らしゅうなられるのう。おっ!これはまた重うなられた。(秀長)
小一郎。おみゃあさも早う嫁もろうて、自分の子を抱かにゃあのう。(なか)
秀長の嫁ならば、儂に任しておけばいい。三国一の嫁を探してやるわ。(秀吉)
秀長殿、どなたか御気に入った娘御はおらぬのか?(ねね)
いやいや、まだまだそれどころではありませぬ。これから兄者もますます忙しゅうなられる。儂ものんびりしておられぬわ。(秀長)
何だか次回に向けて、多かれ少なかれ、橋田先生が秀長のことで布石を打った様相にも。
秀吉が「秀長の嫁=三国一の嫁」とか言い出しているのが気になりますが。
御前は播磨へ行ってくれ(秀吉)
では、いよいよ中国攻めか(秀長)
いや、動くのはまだまだ先じゃ(秀吉)
というわけで、播磨の諸豪族を味方につけるための調略を任された秀長。
次回、何やら播磨で秀長の物語が動き出しそうですね。
ともときい:長山藍子さんと泉ピン子さん
ああ、どんな様子じゃ?(とも)
まだ熱が引かんのじゃ(なか)
このまま高い熱が続けば、もたんかもしれんのう(なか)
そんなに悪いのか?(きい)
わしゃ、田舎で同じような病で死んだ子を何人も見とるけえ(なか)
というわけで、おっ母様のなかから、秀勝の容態を確認した、ともきい姉妹。
そして、なかというか、橋田先生の予告通り、秀勝の死を見届けることに。
杉原家次:戸浦六宏さん
長台詞はないものの、何かと物語に頻出傾向だった家次。
只今、信長様より御使者にて書状が(家次)
第十五回の大きな目玉とも言える信長から届いた書状を、ねねではなく秀吉に届けたのも家次。
さりげなく大活躍でしたね。
石田佐吉:坂上忍さん(初)
佐吉を演じた子役時代の坂上忍さんが登場しましたね。
どこか満ち足りていない面相に思えてしまうのは、当時の坂上忍さんが子供でありながら背負っていた大きな重しが理由だったのかも。
信長:藤岡弘(現・藤岡弘、)さん
ああ、堅苦しい挨拶は無用じゃ。筑前の名代で祝いに来てくれたそうな。大儀じゃ。久しぶりじゃのう。また一段と女ぶりが上がったではないか(笑)猿めには過ぎた女房とは思ってはいたが、今までよう猿に添い遂げてきた。果報な男よのう、猿は。うん?(笑)どうじゃ、長浜は?(信長)
姿を現すや否や、和やかの面相と軽快のトークを際立たせた信長。
こうした信長の振る舞いに起因してか、ねねに異変が。
(笑)そなたのような女子(おなご)でも、人並みに悋気(りんき)をするのか。うん?(信長)
ねねの悋気を誘発させることに。
それでも咎めるどころか、最後にはこんな面相で、ねねに対して!
数々の引き出物、見事な物ばかりじゃ。したが、一番見事なのは、そなたよ。(信長)
信長、ねねのことを口説いたわけではないよね??(笑)
詳細不明の一言だった様相にも。
こほ:津島恵子さん
ねねが信長に披露してしまった悋気を生で見届けてしまった、こほ。
(ねねが信長に披露した悋気の内容)
子のない女子(おなご)というものは情けないもので御座います。ほかの女子(おなご)に心を移されたとて、ただ耐えねばなりませぬ。十二万石の身分を頂戴すれば、それは世の習い。恨みに思うことが間違っていると人は申します。離別されぬのが有難いと思わねばならんのかもしれませぬ。
これって、こほの老婆心で伝えられたことを何やら、ねねが信長に愚痴った様相にも(笑)
御疲れが御出になったのでございましょう。御心配には及びませぬ。(こほ)
じゃがのう、安土から戻って、ろくに口も利かぬ。ねねさらしゅうないのう。(なか)
というわけで、ねねが寝込んだ本当の理由を知っていたのは、こほだけ(笑)
千種:沢田雅美さん
沢田雅美さんが扮した南殿こと、千種については別記事でご紹介します。
なか:赤木春恵さん
秀吉殿が居られぬ故、心細うなられたのでございましょう。はあ、昔が懐かしゅうございます。秀吉殿が足軽組頭をなされていた時は、私も畑などしてこのような気苦労は。出世などしてほしゅうはございませなんだ。(ねね)
よう分かる。じゃが、今更なってしもうたものをなも。人にはそれぞれ、生まれた時からの定めがある。それに逆らうことはできんのよ。どうせ背負うていかなきゃならんもんなら、笑うて暮らさにゃあなも。同じ一生だわ。(なか)
さようでございますな。くよくよしていても、なるようにしかなりませぬ。(ねね)
(笑)それでこそ、ねねさじゃ(笑、なか)
兎に角、人の道理を説いて止まない、なかの役割とかね。
あとは、この情景で披露された赤木春恵さんの鍬仕事も印象的(笑)
小六:前田吟さん
儂は、安土築城に五千の手勢を引き連れて、近々安土へ出向する(秀吉)
たかが城普請に五千も?(小六)
ってな感じで、軍議の情景に小六が登場。
あと、気になった台詞と言えば。
しつこい男じゃのう、義昭は(小六)
相変わらず、小六は義昭のことが嫌いみたいね(笑)
(笑)調略か。いつもの秀吉殿の手じゃな。(小六)
小六自身、美濃攻めに際して秀吉に調略されたからね。
秀吉:西田敏行さん
第十四回では、秀勝を亡くしたりと、秀吉にも色んな事があったけど。
やっぱり、印象的だったのは信長の手紙かな。
待て待て。読んで聞かせる。読んで聞かせる。(秀吉)
待て待て。読んで聞かせると言うに。読んで聞かせると言うに。ええーい!うん(秀吉)
この手の強引な秀吉って、なんかムカつく(笑)
禿鼠!禿鼠とは何、これ儂のことか?(秀吉)
まあ、そ、それは、あまりの申されようでございますな(ねね)
なあ!猿の次は禿鼠か。どうせ儂も頭は薄うなった。禿猿の禿鼠よ!(秀吉)
このあたりの台詞回しは本当に役者の力量が問われるところ。
じゃがのう、演者の西田敏行さんがコミカルに魅せていましたね。
信長の手紙を朗読しつつ、しかも訳したり、秀吉の感想を述べたりと。この情景、結構大変だったと思うんですけど。
ほんと、西田敏行さんって器用というか、演技好きだということが本当によくわかりました。
次回に続く
週刊おんな太閤記随想、第十四回「信長の手紙」
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