NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第五回「墨股築城」の登場人物と演者の情景について、あれこれと随想したいと思います。
第五回「墨股築城」の概要
NHKオンデマンドの場合
信長は、秀吉の申し入れで対面に訪れた鵜沼城主・大沢基康を斬るように命じます。そうなると、鵜沼城に残り人質になった秀吉の命が奪われます。ねねの願いが通じたのか、利家と柴田勝家が信長を説得して、基康の斬殺を思いとどまります。秀吉は人質から解放されると、長良川の対岸に墨俣(すのまた)城を築く総大将を引き受けます。敵を前面に迎え撃ちながらの危険な築城です。ねねは秀吉の身を案じながらも覚悟を決め励まします。
週刊おんな太閤記随想、第五回「墨股築城」
第五回「墨股築城」について、渡隅版のまとめ記事
登場人物と演者の情景
気になった登場人物並びに演者を独断と偏見でピックアップ。
ねね:佐久間良子さん
ヒロインの佐久間良子さんに関しては、無難過ぎて特段言うことないかな。作り手からの指示に従順に対応しつつ、魅せている印象。ほんと、ザ・主演って感じ。
どちらかと言えば、佐久間良子さんと言うよりも、橋田壽賀子脚本故のねねの動きにツッコミを入れたいところ。
この回から、ねねの小娘色を意図的に消去した様相にも。徐々に、ねねのおっかさん色が出始めたかも。
小一郎:中村雅俊さん
クレジットタイトル二枚目として。小一郎役・中村雅俊さんの活躍が著しかった回。
橋田先生が、小一郎をカブとかの野菜を背負わせつつ走らせた(笑)#おんな太閤記 第五回
— 渡る世間の片隅で (@watasumi_net) April 30, 2022
中村雅俊さんと野菜たちとの共演(笑)なかなか、面白い情景でした。
祠(ほこら)の情景もよかったですね。
義姉・ねねをおぶるために。小一郎が腰の位置高めのうんこ座りを披露(笑)しかも、ねねにスルーされたりと(笑)
こうした中村雅俊さんの情景が素敵。
やや:浅茅陽子さん
やや役の浅茅陽子さんに関しても、クレジットタイトル的に三枚目の役割を存分に発揮された印象。
思いっきり西田敏行さんとの面の距離を縮めてましたね(笑)女優だわ。ビジュアル的にも噛みつこうとしていた、ややだけど。西田さんのこと、笑わそうとしてないかな(笑)西田さん、何とか耐え忍んだね(笑)この情景のややに関しては、無邪気でかわいかったかも。
弥兵衛との祝言でも、相変わらず、義兄・秀吉に噛みつく、ややの情景をこなしつつ。
やたらと、背景と化した、ややの動きが何となく気になったりと。遠くから見ると、吉田羊さんがいるのかと思ってみたり(笑)
兎に角、個人的には浅茅陽子さんが楽しそうに演技している印象だった回。
まつ:音無美紀子さん
ねねに限らず、小一郎や小六などと絡みを見せた、まつ。
特に、墨股築城に向かう利家と秀吉を、ねねとともにお見送りする情景にて。秀吉の活躍を願うねねに比して、やや子のためにも利家の無事を願った、まつ。ヒロインとの対比によって、クレジットタイトル四枚目の存在感が発揮された様相にも。
当時の音無美紀子さん、綺麗ですね。こうした面相が醸し出てくると、秀吉が天下を獲った後の、まつのパフォーマンスが楽しみにも。
みつ:東てる美さん
おみつに関しては、橋田先生がこしらえた台詞が乙(笑)例えば
みつにございます。お見覚えございますか?(おみつ)
出典:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第五回「墨股築城」
どちらかと言えば、橋田壽賀子脚本故にツッコミどころが多いかも。
物語の中で異色キャラのおみつを、当時の東てる美さんが作り手の指示に従って好演されている印象。
別記事「おみつの刻」で詳しく取り上げたいと思います。
お美代:大鹿次代さん
お美代の御前様が!#おんな太閤記 第五回
— 渡る世間の片隅で (@watasumi_net) April 30, 2022
足軽女房の悲哀を描く、とっておきの場面に。
橋田・石井ファミリーの大鹿次代さんが扮した、お美代が再び登場!さらに。
ねねがお美代を召し抱えることに!故に、おんなの駒が新たにレギュラー陣として加わりました。
これはうれしいですね。
信長:藤岡弘、さん
信長役の藤岡弘、さんもツッコミどころ満載(笑)
当時の藤岡弘、さん、唾液の分泌が盛んだったらしく。唾を飛ばしながら熱演が光っていましたね(笑)腹からの呼気を口腔内で轟かせる話法が半端ない感じ。迫力満点。
墨股築城担当の立候補者がおらず。苛立ちを露わにした情景では。
信長が早口過ぎて語尾が不明瞭過ぎる(笑)#おんな太閤記 第五回
— 渡る世間の片隅で (@watasumi_net) April 30, 2022
これって、橋田壽賀子脚本の長台詞を早口でやり過ごすという対抗策だったのかな(笑)
何だか、信長が相模一高に109対0で負けた時の滝沢賢治っぽかったね(笑)#おんな太閤記 第五回
— 渡る世間の片隅で (@watasumi_net) April 30, 2022
個人的にはスクールウォーズの名シーンを思い出してみたりと。
兎に角、藤岡弘、さんのパフォーマンスがずば抜けて面白かったかも(笑)
小六:前田吟さん
初対面の小一郎に対して。神経質の面相を醸し出した後。小一郎が秀吉の弟であることを知ると、礼儀正しく一礼。このようにして、柔和の小六が印象的の前田吟さんでしたが。
人質になっている秀吉を見殺しにしようとした信長に対して。著しい嫌悪感を露わにすることに。
刀の所作が呼応させた「だい・きらい・じゃあ!」の三拍子とか(笑)
よっぽど嫌いなのが凄くよく伝わってきましたね。
利家:滝田栄さん
シリアスの面相が光っていた利家役の滝田栄さん。映し方の効果もあって、左目と右目のコントラストも醸し出されていてよい。
からの、やっぱり高笑い。
いや、流石の儂も一時はどうなることかと思うた。柴田勝家殿の御執り成しがなくば、今頃お主は三途の川でうろうろしておるところであったぞ。勝家殿は、お主の命の恩人じゃ、疎(おろそ)かに思うてはならんぞ。(秀吉)
出典:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第五回「墨股築城」
ちなみに、六代目・中村勘九郎さんって。時代劇のヅラをかぶった当時の滝田栄さんに類似しているかも。
なか:赤木春恵さん
墨股築城に小一郎が秀吉に従って参加したことを、ねねから報告された情景にて。
個人的には、なか役の赤木春恵さんが台詞を回す中で、唾を飛ばしていたのが印象的。画像は差し控えますが(笑)
きい:泉ピン子さん
亭主の嘉助が侍にあこがれて、兄・秀吉がいる墨股城へ。
幕引き直前に、次回への布石に一役買うことになった、きい。
別記事「あさひ物語」で詳しく取り上げます。
秀吉:西田敏行さん
やたらと笑い声が絶えなかった、第五回の秀吉。
演者の西田敏行さんについては、橋田壽賀子脚本にも関わらず、ここまで御自身のパフォーマンスを発揮できちゃう役者さんとして稀有。ある意味で、凄いよね。
子供の頃から楽しませてもらっていますし、好きな役者さんの一人ではあるけれど。橋田壽賀子作品においては、一長一短、賛否両論ありそうかな。あまりにも西田さんのキャラが出過ぎちゃってますからね。
この点については、今後も注視が必要かな。素晴らしい役者さんなんですけどね。
気にならない道理がない新キャスト
新たな登場人物並びに演者についてご紹介します。
柴田勝家:近藤洋介さん
近藤洋介さんが扮した勝家については、織田家思いの実直な家臣として表現されていましたね。後々の秀吉と対比させたい橋田先生の思惑が何となく伝わってきます。
秀吉の命など小さいこと。殿、織田家の御為に、短慮はお控え遊ばしますよう。秀吉の労により数多の川並の土豪衆をお味方につけることができました。これからも、殿の威光を慕うて寝返る者も増えましょう。しかし今、基康を成敗なされたら、殿になびいた者なびこうとする者、皆殿に、猜疑の念を抱くようになるのは必至。さすれば、多くのお味方を失うことになりまする。基康一つの命と殿の御信用と、いずれが大事にござりまするか?小の虫の為に、鼎(かなえ)の軽重を問われるようななされ方は、いつか、織田家の災いの元となりましょうぞ(勝家)
出典:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第五回「墨股築城」
初登場の洗礼といったところでしょうか。台詞が長い(笑)
近藤洋介さんは無難にこなされたようでしたけど。
森弥五六:ガッツ石松さん
さりげなく、砲戦の一瞬だけ。ほんの一瞬だけ、ガッツさん登場(笑)#おんな太閤記 第五回
— 渡る世間の片隅で (@watasumi_net) April 30, 2022
他の役者さんとは別撮りの可能性も。
次回に続く
週刊おんな太閤記随想、第五回「墨股築城」