NHKおんな太閤記、第十五回「秀長の恋」橋田壽賀子作品、故に

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十五回「秀長の恋」

 

NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十五回「秀長の恋」において、橋田壽賀子作品ならではだったことをあれこれと随想してみました。

ネタバレ、御免!

 

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第十五回「秀長の恋」の概要

長男・秀勝が死に、母親の千草は城を去ります。寂しい秋風が吹く長浜に、播磨調略を任された秀長から嫁にしたい女性を連れ帰るという手紙が届きます。その女性は、しのという足軽の娘です。ねねとなかは喜びますが、秀吉は秀長にふさわしくないと猛反対します。秀長は珍しく秀吉に抵抗しますが、しのは黙って長浜を去ります。一方、調略に応じた小寺(黒田)官兵衛の嫡男・松寿丸を人質として長浜城で預かることになりました。

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千種が雨天決行で去(い)ぬる

千種の去ぬりについては別記事でご紹介しています。

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なかの去ぬりを、おみつが阻止する

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十五回「秀長の恋」

 

義姉様!義姉様!おっ母さが中村へ帰ると言って聞かぬのじゃ!(きい)

あの女子(おなご)も出て行った。もう案ずることものうなった。儂がここにおることも要らんようになった。(なか)

といった具合に、千種が去ぬったことで。案ずることがのうなった、なかが中村に去ぬろうと。

じゃがのう。

 

御方様。みつにございます。(みつ)

まあ!みつ殿!(ねね)

といった、お決まりのやりとりで、おみつが登場する。

そして。

 

秀長様は美しい御客人を御連れになるやもしれませぬ(みつ)

あちらでよい御人に巡り会われました。それを御方様にお伝えするようにと。(みつ)

こんなこと言われちゃったらねー(笑)

なかを中村に去ぬらせないために、おみつを長浜城に送り込まない道理がない橋田先生の筋書き通り。

 

小一郎が嫁になる女子(おなご)を連れて戻るとなると、やっぱり会うておきたいのう。見ておきたいわ。(なか)

それまでまた、ここで世話になろうかのう(なか)

なか、中村に去ぬるタイミングを逸した一幕(笑)

そうなるよねー。

秀長の理想の女子(おなご)は、ねね

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十五回「秀長の恋」

 

相変わらず精の出ることよのう(秀長)

今年もよう野菜ができました。育ててくれた土には、御礼にたんと肥しをやらねば申し訳ありません。(しの)

ねねも「たんと召し上がってくだされ」みたいなことを嘉助に言ってたし(笑)確かに、似ている。

 

(笑)そのような、しの殿を見てると、義姉様のことを思い出す。義姉様も土を大事になされる御人でのう。(秀長)

秀長様の御話はいつも義姉上様のことばかり(しの)

いや、しの殿が義姉様によう似ておられる故(秀長)

この情景ではっきりしたよね。秀長の理想の女子(おなご)は義姉様。

 

私のような者が。義姉上様は、それは御美しい御方と。(しの)

見目、形ではない。心ばえがのう。義姉様も優しくて、よう気の付く御方じゃ。(秀長)

橋田先生、また名セリフをこしらえてきました(笑)

見目、形ではなく、心ばえが、ねねとしのは似ているらしい。

やっぱり、中村雅俊さんが扮した秀長は心をアピールするのがよく似合う。

 

中村雅俊「心の色」

しのが心の声で悟る

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十五回「秀長の恋」

 

疲れたであろう(秀長)

いいえ。秀長様の御供ができて、それだけで、しのは幸せでございました。それに、このような良い所を見せていただいて。ただ、御城へ上がるのが。私のような女子(おなご)を秀吉様や御方様に気に入っていただけるか。(しの)

もうしばらく、城下でゆっくりしておればよい。何も急ぐことはない。(秀長)

でも、間もなくまた播磨へ?(しの)

それまでにきっと(秀長)

やはり(しのの心の声)

案じるな。儂の言う通りにしておればよいのじゃ。いいな?(秀長)

はい(しの)

NHKおんな太閤記で橋田先生が登場人物に心の声で語らせたのって。おそらく、これが初めてでしたよね。

「やはり、秀吉様に気に入っていただけていない」ってなことに気づいちゃったわけです。

そして。

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十五回「秀長の恋」

 

秀長様。しのは播磨へ戻ります。秀長さまのこと、しのは生涯忘れませぬ。(しのの心の声)

秀長に別れを告げることなく、独り播磨に去ぬった、しの。

登場人物の心の声を重宝させた橋田壽賀子作品の一幕。

というわけで、御別れなんですね。

 

キャンディーズ「微笑みがえし」

しのの琵琶湖ロケを端折る

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十五回「秀長の恋」

 

やはり、秀吉に気に入ってもらっていないことを悟ってしまった、しのが秀長との別れを決意した琵琶湖の情景が。

はっきりと合成映像が丸出しなんですけど(笑)

これってなんだったんでしょうね??やはり、制作費をかけたくなかったのか。

NHKおんな太閤記って、スタジオ撮影が多いですからね。西田敏行さんがふんどし姿になった情景は、しっかりと河原でロケしたみたいだったけど(笑)

しのが去ぬる哀愁の情景だったのに。

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十五回「秀長の恋」

 

兎に角、合成映像がねー(笑)もったいない。

秀長が青春ドラマのように、しのを追いかけない

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十五回「秀長の恋」

 

許さぬというたら許さぬわ!それほどの女子(おなご)であれば側女(そばめ)にでも置いとけ!ならば儂も目をつぶってやろう。じゃが、正室としては許さぬぞ。(秀吉)

たとえ兄者の言葉でも、こればかりは従うわけにはいかん!儂は兄者とは違う!側女など置くつもりはない!(秀長)

しのを正室として娶ることを秀吉に猛反対されて。秀吉と取っ組み合いの喧嘩寸前になった秀長。演者の中村雅俊さんが青春ドラマの時代に戻ったみたいでよかったんだけど。

じゃがのう。

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十五回「秀長の恋」

 

秀長殿に急ぎ、御耳に入れたいことがございます。しの殿が長浜を立たれます。女子(おなご)の足、今すぐ追えばすぐに間に合うこと。(ねね)

秀長!(秀吉)

秀長殿!(ねね)

しのの後を追わせたい、ねねに反して。そうはさせたくない秀吉。

そんな兄者夫婦の狭間にて、秀長が出した答えは。

追っても無駄でございましょう。しの殿とて、それなりの覚悟があってのこと。そういう娘でございます。義姉様にはいろいろと御迷惑をかけました。軍議の最中故。(秀長)

秀長だって、それなりの覚悟があって播磨から長浜に、しのを連れてきたはず。それを独りで去ぬらせるなんてね。是非とも、長浜城から琵琶湖まで、演者の中村雅俊さんを走らせてほしかったかも(笑)そこまでやって間に合わなかったら致し方ないので。

結局のところ、橋田先生が青春ドラマになるのを断じて許さなかった一幕。

家次が人質の松壽丸に厳しい

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十五回「秀長の恋」

 

客人ではない。人質じゃ。(家次)

えらいものを引き受けたわ。万一のことがあったら大事(おおごと)じゃ。気の重いことよ。(家次)

人質の松壽丸を厄介者扱いしない道理がない家次。

 

私がついております。私を母と思って。不自由はおかけいたしませぬ。(ねね)

私が御預りいたします。さっ、おじゃれ。さあ。(ねね)

ねね殿!(家次)

家次の役回りとか、橋田先生が本当に分かりやすくて(笑)

 

孫七郎も小吉(こきち)もお豪も、よい御仲間になりましょう。遠慮は要りませぬ。仲良うにな。(ねね)

なんぞして遊ぼう?(孫七郎)

松壽丸殿!(家次)

構いまえぬ!男の御子じゃ。思い切って暴れておいでなされませ。(ねね)

この家次のツッコミ方ね(笑)

明らかに、ねねと正反対の気持ちを表現するように、橋田先生が家次に指示出ししてる感じ。

 

ねね殿。松壽丸は殿から御預りした人質じゃ。勝手なまねは。(家次)

人質じゃというて、孫七郎も小吉も同じ人の子。まして、親元を離れてどのような辛い思いをしておることか。私が御預りいたします。(ねね)

至って一般的な家次に対して。不憫の子への愛情を前面に押し出す、ねねね。

橋田先生にとって、家次は何かと使い勝手が良さそう(笑)

というわけで、演者の戸浦六宏さんが、回を増すごとに存在感をアピールして止まなくなってきた様相。

ねねが他人の子から母だと思われたい

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十五回「秀長の恋」

 

私がついております。私を母と思って。不自由はおかけいたしませぬ。(ねね)

私が御預りいたします。さっ、おじゃれ。さあ。(ねね)

ほんと、ねねは他人の子供への母アピールが著しい(笑)

第十四回「信長の手紙」では佐吉にも同じようなことを言っていたし。

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十四回「信長の手紙」

 

佐吉、時々は私の部屋にも訪ねてくだされ。遠慮は要りませぬ。私を母と思ってのう。(ねね)

故に。橋田先生、やっぱり徹底してます(笑)

 

そして、仕上げとしては。

私の子として(ねね)

(笑)ねねさも、えらい子持ちじゃのう(なか)

私に子供ができずとも、神様が次々と授けてくださいます(笑、ねね)

なかがアシストした、ねねのポジティブシンキング(笑)名セリフですね。

ねねが不憫の者に不自由をかけたくない

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十五回「秀長の恋」

 

天正四年秋、秀吉の嫡男、秀勝の突然の死は、長浜城をねねの胸を秋の嵐のように吹き抜けた。千種と秀勝を迎えて一年半、今は幸薄かった秀勝も、その母の千種も、ねねには哀れでならなかった。(語り)

別に何も。気にすることはありませぬ。いつまでもここにおられたらよいのじゃ。何なりと私に言うてくだされ。御不自由はおかけいたしませぬ。女子(おなご)は女子同士ではございませぬか。なあ?(ねね)

兎に角、ねねは不憫の者に不自由をかけたくない性分。

このことは、人質の松壽丸に対しても、ねねが同様の対応で表現しています。

台詞の引用が繰り返しになりますが。

私がついております。私を母と思って。不自由はおかけいたしませぬ。(ねね)

私が御預りいたします。さっ、おじゃれ。さあ。(ねね)

それだけ、ねねという人物を知る上で、重要な台詞ということになりますね。

千種にしても、松壽丸にしても、秀吉のおかかとして預かっている人という認識が強いみたい。

それにしても橋田先生、分かりやすさがくどい(笑)

 

 

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十五回「秀長の恋」

 

次回に続く

 

 

 

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