2018年「橋田壽賀子ドラマ 渡る世間は鬼ばかり」のスペシャル放送が待ち遠しい昨今。朝日新聞で橋田壽賀子さんの「渡る世間と安楽死」特集インタビューを遅ればせながら目の当たりにすることに。
そこで、橋田壽賀子さんの「安楽死」への思いを再確認した上で、「看取りの医師」本間英作・由紀兄妹が注目されるであろう2018年の渡鬼スペシャルに思いを馳せる物語です。
橋田壽賀子先生と安楽死
あの国民的人気ドラマ『おしん』や『渡る世間は鬼ばかり』などを世に送り出してきた脚本家の橋田壽賀子先生なわけですが。
「安楽死」に関心がある著名人としても非常に有名なわけです。
橋田壽賀子先生が「安楽死で死なせて下さい」と仰れば、世の中が騒々しくなるのは「あたり前田のクラッカー」。
その後、安楽死に関して、橋田壽賀子先生の心境変化等が気になるところです。
すると、「渡る世間と安楽死」という朝日新聞の特集インタビューの中で、橋田壽賀子先生が改めて安楽死について持論を展開されたわけです。これは気になる。
「渡る世間と安楽死」に注目してみる
ということで、朝日新聞の「渡る世間と安楽死」を読み進めていきながら、橋田壽賀子先生の気になるコメントを引用していきたいと思います。
本当はあきらめていない安楽死
自分の死について考え始めたのは、88歳ぐらいからです。それまでは、自分が死ぬなんて思わないで、一生懸命仕事をしていました。
老衰による死を考えはじめる年代って、還暦を過ぎたあたりかなと思っていましたが。88歳ぐらいから自己の死を考えはじめたという橋田壽賀子先生。やはり超越されている印象。
保険みたいに安楽死があれば、お金が安心して使える。元気なうちに精いっぱい使えるんです。
確かに「安楽死」も契約できる時代になれば面白いと思う反面、やっぱり色んな意味で危ないような気もします。
だから、自分の意思をはっきりと示すために、元気なうちに絶対に遺言は書いておかないといけないと思います。
(中略)
はい。「無駄な延命はやめてください。お葬式はいりません。しのぶ会もやめてください。マスコミにはだまっててください」と書いていますから。みんなにもそう頼んでいます。
渡隅の親に対して「遺言」を書いたりビデオレターを残してほしいと話したことが何度かありますが。死とは無縁の存在であると当人(親)は思っているのか。おそらく「遺言」等は残してくれていない現状だと思います。いつまでも元気で長生きしてほしいのは言うまでもありませんが。やはり残される子の立場としては、できるかぎり親の気持ちを尊重してあげたいわけです。
「患者を何が何でも生かす医療」だけじゃなくて、「患者にどういう死を迎えさせてあげたいか」、と真剣に考えるお医者様が増えないと、日本は惨めになる。かわいそうな人でいっぱいになると思います。
確かに。できるかぎりご本人やご家族に寄り添える資質を備えた医師が増えるとよいですね。
ただ、現状として、ご本人の判断能力がなくなった時点で、生かすも看取りもご家族次第。
やはり死への思いは人それぞれだったりで、安楽死の議論が発展しないわけです。
楢山節考
だけど、私のように「世の中の役に立たず、周囲に迷惑ばかりかけるようになったら死にたい」と思っている人間にとっては、「うば捨て」ってうまい制度だと思うんです。昔の高齢者も、ちゃんと心得て背負われていくんですからねえ。すごいことだと思います。「自分が役に立たなくなったら、うば捨て山に行って食べないで死ぬんだ」という覚悟。それが、現代では「安楽死」という形であればいい。
安楽死と「うば捨て山」をリンクさせるところは橋田壽賀子先生らしいというか流石です。
うば捨て山と言えば『楢山節考』。
まずは木下惠介監督の映画『楢山節考』の予告編をご紹介します。
何だかまた観たくなりましたね。
続いて、今村昌平監督の映画『楢山節考』。
カンヌ国際映画祭にてパルムドールを受賞しました。
ご家族は難しい決断を迫られる
私は64歳の時に60歳の夫を見送りましたが、本人にはがんの告知をしないまま、1年間一緒に過ごしました。
(中略)
でも、今から考えるとエゴイズムだと思っています。毎日毎日、「もうすぐ死ぬ」という人といるのは辛いじゃないですか。相手をだましていると自分もだまされちゃうって、「この人病気じゃないわ」という気になる。自分もついでにだまして、本当に明るくしていましたね。
結局のところ、ご本人に万が一のことがあった場合、身元引受人であるご家族等の判断が最優先されるわけです。
ご家族はご家族でご本人のために必死になって考えて判断を導き出していく。しかしながら、正解はやはりご本人の健常な心内にあり。
だからこそ、判断能力がしっかりしているうちに意思表明しておくこと、すなわち「終活」が肝要なわけです。
看取りの医師
私は、だいぶ前からそれをドラマ『渡る世間は鬼ばかり』の中で、植草克秀さんが演じている医師、本間英作に託して書いているんです。英作は大学病院の脳外科医だったんですが、現在は訪問診療の専門医に転じている。小林綾子さんが演じる英作の妹の医師・由紀も、自分たちの母親を老人ホームに入れ、見送ってやらずに死なせてしまった寂しさと申し訳なさから、兄の仕事を手伝う決意をする。
2017年渡鬼3時間スペシャルでも橋田壽賀子先生の思いがしっかりと本間英作・由紀兄妹に反映されていたわけです。
ちなみに、上記の記事は、英作と由紀の間で居場所がなくなってしまった本間長子に注目して2017年の渡鬼を検証してみた物語です。
今年のスペシャルドラマとして放映される『渡る世間は鬼ばかり』の脚本を書く時には、「看取りの医師」としての英作や由紀の仕事ぶりをしっかりと書き込みたいと思っています。
2018年の渡鬼スペシャルの放送に向けて、橋田壽賀子先生がご意向を示されました!
果たして2018年のいつ頃放送されるのか?とにかく楽しみな展開になってきました。
太田啓之記者が考える安楽死
安楽死について、橋田さんのように「あえて空気を読まない」本音の議論を続けること。
そうした小さな試みの積み重ねが、未来への展望を少しずつ明るくしていくと思う。
安楽死の議論がもっと深まっていくとよいですね。
まとめ
橋田壽賀子さんの特集インタビュー「渡る世間と安楽死」(朝日新聞)に注目してみました。
これからの日本は年寄だらけの国家になってしまうわけで。だからこそ若者を第一優先にしながらも、高齢者の「生涯現役」意識が非常に重要になるのかもしれません。
世の中で役立つような元気な高齢者の発想が多々あるはずです。