日本経済新聞「私の履歴書 橋田壽賀子(23)おしん症候群」で吐露された本当の名優

NHK BSプレミアムで再放送された連続テレビ小説『おしん』。作者である橋田壽賀子さんは日本経済新聞「私の履歴書」で令和初となる筆者として2019年5月に登場されました。日毎に展開された記事はどれも興味深い内容だったわけですが。

以下、日経新聞5月24日付朝刊で展開された「私の履歴書 橋田壽賀子(23)おしん症候群」についてご紹介します。

日本経済新聞公式サイトの「私の履歴書」は有料会員限定記事となっていますが、日経電子版の無料会員登録で、有料記事も一定数閲覧できます(2019年11月9日現在)。

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「(23)おしん症候群」を考察してみる

橋田壽賀子(23)おしん症候群 - 日本経済新聞
1983(昭和58)年4月に「おしん」の放送が始まると瞬く間に「オシンドローム(おしん症候群)」と呼ばれるブームが巻き起こり、私は正直戸惑った。おしん役の小林綾子ちゃんの熱演もあって、NHKに届いた封書は数千通に上った。おしんへの同情や過去の自分と重ねる内容のものばかりだったという。要望に応えて7月には少女編36回分が...

 

「田中裕子さんは見事に演じてくれた」のお写真を見て率直に思ったこと。それは。

なんでこの写真なのか?もっとよい写真はなかったのか?
橋田壽賀子先生と田中裕子さんのツーショット写真があってもおかしくはないはず。

その理由は「(23)おしん症候群」を読み進めることで明らかになりました。

兎に角、非常に読み応えあり。

オシンドロームの再来

1983(昭和58)年4月に「おしん」の放送が始まると瞬く間に「オシンドローム(おしん症候群)」と呼ばれるブームが巻き起こり、私は正直戸惑った。

出典:日本経済新聞「私の履歴書 橋田壽賀子」2019年5月24日付朝刊

昭和時代に巻き起こった「オシンドローム」ですが、BSプレミアムで再放送されたことにより、令和元年に「オシンドローム」が再来したような。

リアルタイムで観ていた世代には改めて懐かしく、そうでない若い世代の方々にとっては物語が斬新にうつっているのかもしれません。

よい物語は世代を超えていつの時代にも受け入れられるということを「おしん」を通して橋田壽賀子先生が教えてくださったようにも。

夏休みに再々放送された「おしん」

要望に応えて7月には少女編36回分が再々放送された。

出典:日本経済新聞「私の履歴書 橋田壽賀子」2019年5月24日付朝刊

というわけで、少女編36回分を観た感想文が夏休みの宿題として渡隅に課されたりと(笑)

当時の担任の先生も「オシンドローム」になっていたわけで、その影響で渡隅も「オシンドローム」になってしまったりと。

おしんの子守唄

金沢明子さんが歌う「『おしん』の子守唄」というレコードが発売された。橋田壽賀子作詞、遠藤実作曲となっているが、それはウソ。作詞したのは夫の嘉一だ。

出典:日本経済新聞「私の履歴書 橋田壽賀子」2019年5月24日付朝刊

「それはウソ」とかウケるんですけど(笑)

またしても当時の不正を赤裸々に語られた橋田壽賀子先生だったわけです。

 

 

 

 

兎に角、当時は「おしん」が関与すれば何でも商売になってしまったかもな時代。

まさに日本列島が「おしん症候群」だったわけです。

「本当の名優」田中裕子さん

そしていよいよ、橋田壽賀子先生が「よい意味で」以下のような暴露話を展開されました。

 

これまで秘密にしていたのだが、大人になってのおしん役、田中裕子さんは、私とは言葉を交わさなかった。目も合わさなかった。多分、脚本ができる前に仕事を受け、いざ始まってみると役柄が気に入らなかったのだろう。なのに田中さんは見事にというか、スタッフの期待以上のおしんを演じてくれた。それでこそ本当の名優だ。

出典:日本経済新聞「私の履歴書 橋田壽賀子」2019年5月24日付朝刊

脚本家と役者の関係としては、決して良くはなかったことが容易に推察することができます。

実際のところ、田中裕子さんが本当に不満を抱いていたのか、それとも橋田壽賀子先生の方に偏見があったのか。田中裕子さんからも当時の心境を伺わないと何とも言えないところ。

もしかすると「おしん」の脚本に田中裕子さんは面食らっていたのかもしれない。それでも「おしん」と同じように耐え忍びながら脚本に対峙していたのかもしれない。

週刊現代「『おしん』の田中裕子を語ろう」で注目したい耐え忍ぶ美学
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ただ、はっきりしたのは「おしん」を最後まで見事に演じきった田中裕子さんを「本当の名優」として橋田壽賀子先生が称賛したこと。仮に、当時のお二人に確執があったとしても、役者としての責務を全うした田中裕子さんの役者魂は尊敬に値すると橋田壽賀子先生が判断したものと推測できます。

何だか「おしん」のように耐え忍びながら向き合ってきた田中裕子さんの「おしん」がますます好きになってきました。

田中裕子さんは本当に素敵な女優さんだ。

 

まとめ

日本経済新聞5月24日付朝刊「私の履歴書 橋田壽賀子(23)おしん症候群」をご紹介しました。

「おしん」の名優・田中裕子さんを吐露されたことからも、橋田壽賀子先生にとって「私の履歴書」は終活の一端なのかもしれません。

「おしん」の初回放送から長い月日が流れた令和元年五月。田中裕子さんとしては非常に驚かれたことでしょう。それでも「よい意味」で橋田壽賀子先生からの賛辞を受け容れていただけると有難い。

 

 

 

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橋田壽賀子さんの「私の履歴書」全般について
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