日本経済新聞「私の履歴書 橋田壽賀子(30)2つの腕時計」という名のエピローグを忘れない

令和元年の五月、毎日読むのが楽しみになっていた日本経済新聞「私の履歴書」。それもそのはず。あの超人気作家・橋田壽賀子先生が筆者だったわけですから。何とも絶妙で卓越した文章表現でしたので、虜になった方も多いはず。しかし、楽しい時間はあっという間に過ぎ去るのが世の常、とうとう最終回を迎えてしまいました。

以下、日経新聞「私の履歴書 橋田壽賀子(30)2つの腕時計」をご紹介します。

日本経済新聞公式サイトの「私の履歴書」は有料会員限定記事となっていますが、日経電子版の無料会員登録で、有料記事も一定数閲覧できます(2019年11月9日現在)。

大きな反響を呼んだ日経新聞連載「私の履歴書」の書籍化!

 

 

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最終回

日経新聞「私の履歴書 橋田壽賀子(30)2つの腕時計」では、自伝的ドラマ2作品、これまでにこしらえた脚本が埋めつくされた自宅の書棚、マロリー・ワイス症候群、そして終活に関するお話がありました。

橋田壽賀子(30)2つの腕時計 - 日本経済新聞
私には自伝的なドラマが2本ある。一つは1994(平成6)年10月から翌年9月まで放送されたNHK朝の連続テレビ小説「春よ、来い」だ。私が日本女子大に入るために上京し、脚本家になり夫が亡くなるまでの日々を描いている。松任谷由実さんの主題歌が印象的だった。NHKからこのお話をいただいたとき、ためらいを覚えなかったわけではな...

「自宅の壁一面を埋める脚本」のお写真。お手伝いさんらしき方も登場です。

NHK朝の連続テレビ小説「春よ、来い」

私には自伝的なドラマが2本ある。一つは1994(平成6)年10月から翌年9月まで放送されたNHK朝の連続テレビ小説「春よ、来い」だ。

〈中略〉

途中、私役の安田成美さんが健康問題を理由に突然降板するという出来事があったが、その理由を私はよく知らない。

出典:日本経済新聞「私の履歴書 橋田壽賀子」2019年5月31日付朝刊

連続テレビ小説 春よ、来い|番組|NHKアーカイブス
戦中、大阪の高校に通っていた高倉春希は、母の反対を押し切って上京。戦後、自分が進む道を見いだし、男性主導の社会の中でテレビドラマの脚本家として歩み始める。「女の自立」をテーマに、時代のうねりの中で昭和を生きた脚本家・橋田壽賀子の自伝的作品。作:橋田壽賀子。音楽:松任谷正隆、マイカ・プロジェクト。語り:奈良岡朋子。出演:...
連続テレビ小説「春よ、来い」|NHKドラマ
NHKドラマに関する総合情報サイト。新作トピックスやドラマ再放送情報はもちろん、放送中のドラマ番組に関するデータも充実しています。

 

そう言えば、いつの間にか連続テレビ小説の前に「朝の」が抜けてしまったような。昨今のBSプレミアムでは朝昼晩に放送していたりと。朝だけというイメージを払拭したいNHKの思惑があったのかも。

安田成美さんについては、デビューされた当時から年齢の割に大人びて綺麗なお姉さんといった印象で好きな女優さんの一人でした。それ故に、降板された時はやっぱり残念でしたね。結局のところ、健康問題は誰にでも起こりうることなので致し方ないところ。

同時期、ご主人の木梨憲武さんが「とんねるずのみなさんのおかげです」で何やら連続テレビ小説のパロディっぽいようなコントを披露されていたのが心に残っています。憲武さんも奥さんが朝ドラのヒロインにキャスティングされて嬉しかったんだろうなぁ。

 

ということで、作品の窮地を救ったのが中田喜子さんだったわけです。当時は本当にお疲れさまでした。

何とか「春よ、来い」も再放送してほしいものです。

橋田壽賀子ドラマスペシャル「妻が夫をおくるとき」

もう一つは2012年7月にTBSで放送された「妻が夫をおくるとき」だ。この連載の1回目に書いたような経緯をドラマにした。夫役が大杉漣さん、私役は岸本加世子さん。

出典:日本経済新聞「私の履歴書 橋田壽賀子」2019年5月31日付朝刊

橋田壽賀子ドラマスペシャル「妻が夫をおくるとき」|ドラマ・時代劇|TBSチャンネル - TBS
脚本家・橋田壽賀子が「今まで生きてきた中で、これ以上の苦しみはなかった」という“夫との別れ”を描く自叙伝的ドラマ。出演は岸本加世子、大杉漣ほか。

 

「妻が夫をおくるとき」については、TBSチャンネルで放送されることがありますね。ご主人役に大杉漣さん、今となっては何だか余計に切なくなってくる物語。

脚本で埋められた書棚

脚本はすべて製本してとってあるが、壁一面の書棚には入りきらず、棚という棚に並べている。

出典:日本経済新聞「私の履歴書 橋田壽賀子」2019年5月31日付朝刊

是非とも橋田文化財団が「橋田壽賀子記念館」を設立して何かしらの形で先生がこしらえてきた脚本を閲覧できるようにしていただきたいですね。脚本家や役者などを目指す後進の育成にもきっと役立つはずですから。

マロリー・ワイス症候群

この2月、私はクルーズ船での旅の途中、大量の下血のためにベトナムの病院に運ばれ輸血を受けた。「マロリー・ワイス症候群」という病気だった。高齢になると、いつ何が起こるかわからない。

出典:日本経済新聞「私の履歴書 橋田壽賀子」2019年5月31日付朝刊

 

マロリー・ワイス症候群」に襲われた橋田壽賀子先生でしたが。幸いにも強運の持ち主であることが証明されました。大事に至らなくて本当によかった。

海外の船旅とか、ある意味でハイリスク・ハイリターンかも。今後、渡航などは是非とも慎んでいただければと切に願う昨今。でも、ポリシーがお強いから再び行くのでしょうけど。

忘れるわけがない

いわゆる終活はずっと前からやっていて、全ての財産は橋田文化財団に行くようになっている。葬儀もしないでと言ってある。静かに消えていき、忘れられたい。

出典:日本経済新聞「私の履歴書 橋田壽賀子」2019年5月31日付朝刊

数多くの素晴らしい作品をこしらえた橋田壽賀子先生のことはずっと語り継がれていくことでしょう。「忘れられたい」というご希望はきっと叶うわけがない。

忘れるどころか、著名な作家として中学・高校の教科書にもお名前が載るような時代が来るかもしれません。

兎に角、忘れませんからね(笑)

夫婦の腕時計

私は静岡県小山町の富士霊園の中で日本文芸家協会が運営する「文學者之墓」の墓を買っている。

〈中略〉

墓には夫婦の腕時計を入れる。死後、その墓の中で再び夫婦の時間が流れるように。

出典:日本経済新聞「私の履歴書 橋田壽賀子」2019年5月31日付朝刊

女心が絶妙に表現されたエピローグ、泣かせてきましたね。

橋田壽賀子先生は心底ご主人を愛していたんだ。

 

日本文藝家協会 | THE JAPAN WRITERS’ ASSOCIATION

「文學者之墓」管理運営内規要旨説明

日本文藝家協会 THE JAPAN WRITERS’ ASSOCIATION – Twitter

まとめ

日本経済新聞「私の履歴書 橋田壽賀子(30)2つの腕時計」をご紹介しました。

 

改めて橋田壽賀子先生にお願いしたいこと、それは。

百歳を過ぎても渡鬼の物語を書き続けてほしい!

ということで、再びご夫婦の時間が流れるのはまだまだ先のお話。

 

https://twitter.com/watasumi_net/status/1127526911570132992

橋田壽賀子先生のご健在を渡鬼出演者も願っている情景。

もちろん、写真に写っていない渡鬼出演者も気持ちは同様。

 

 

大きな反響を呼んだ日経新聞連載「私の履歴書」の書籍化!

 

橋田壽賀子さんの「私の履歴書」全般について
日本経済新聞「私の履歴書」に橋田壽賀子さんが降臨した令和元年五月の朝
元号が令和に移り変わった2019年5月、日本経済新聞の「私の履歴書」に脚本家の橋田壽賀子さんが登場されていました。すなわち、「私の履歴書」の令和初となる筆者が橋田壽賀子先生!これは何とも興味深い。 ということで、橋田壽賀子先生の「私の履歴書...