令和元年の五月、毎日読むのが楽しみになっていた日本経済新聞「私の履歴書」。それもそのはず。あの超人気作家・橋田壽賀子先生が筆者だったわけですから。何とも絶妙で卓越した文章表現でしたので、虜になった方も多いはず。しかし、楽しい時間はあっという間に過ぎ去るのが世の常、とうとう最終回を迎えてしまいました。
以下、日経新聞「私の履歴書 橋田壽賀子(30)2つの腕時計」をご紹介します。
大きな反響を呼んだ日経新聞連載「私の履歴書」の書籍化!
最終回
日経新聞「私の履歴書 橋田壽賀子(30)2つの腕時計」では、自伝的ドラマ2作品、これまでにこしらえた脚本が埋めつくされた自宅の書棚、マロリー・ワイス症候群、そして終活に関するお話がありました。
「自宅の壁一面を埋める脚本」のお写真。お手伝いさんらしき方も登場です。
NHK朝の連続テレビ小説「春よ、来い」
私には自伝的なドラマが2本ある。一つは1994(平成6)年10月から翌年9月まで放送されたNHK朝の連続テレビ小説「春よ、来い」だ。
〈中略〉
途中、私役の安田成美さんが健康問題を理由に突然降板するという出来事があったが、その理由を私はよく知らない。
そう言えば、いつの間にか連続テレビ小説の前に「朝の」が抜けてしまったような。昨今のBSプレミアムでは朝昼晩に放送していたりと。朝だけというイメージを払拭したいNHKの思惑があったのかも。
安田成美さんについては、デビューされた当時から年齢の割に大人びて綺麗なお姉さんといった印象で好きな女優さんの一人でした。それ故に、降板された時はやっぱり残念でしたね。結局のところ、健康問題は誰にでも起こりうることなので致し方ないところ。
ということで、作品の窮地を救ったのが中田喜子さんだったわけです。当時は本当にお疲れさまでした。
何とか「春よ、来い」も再放送してほしいものです。
橋田壽賀子ドラマスペシャル「妻が夫をおくるとき」
もう一つは2012年7月にTBSで放送された「妻が夫をおくるとき」だ。この連載の1回目に書いたような経緯をドラマにした。夫役が大杉漣さん、私役は岸本加世子さん。
「妻が夫をおくるとき」については、TBSチャンネルで放送されることがありますね。ご主人役に大杉漣さん、今となっては何だか余計に切なくなってくる物語。
脚本で埋められた書棚
脚本はすべて製本してとってあるが、壁一面の書棚には入りきらず、棚という棚に並べている。
是非とも橋田文化財団が「橋田壽賀子記念館」を設立して何かしらの形で先生がこしらえてきた脚本を閲覧できるようにしていただきたいですね。脚本家や役者などを目指す後進の育成にもきっと役立つはずですから。
マロリー・ワイス症候群
この2月、私はクルーズ船での旅の途中、大量の下血のためにベトナムの病院に運ばれ輸血を受けた。「マロリー・ワイス症候群」という病気だった。高齢になると、いつ何が起こるかわからない。
今年2月に旅行先のベトナムでマロリー・ワイス症候群を発症。一時は意識を失ったとのことで、お元気になられて本当によかった。
生死さまよった橋田壽賀子さん、全快宣言「ベトナムではえらい目にあいました」 – SANSPO.COM https://t.co/BjhJOMGYoP @sanspocomさんから
— 渡る世間の片隅で (@watasumi_net) May 11, 2019
「マロリー・ワイス症候群」に襲われた橋田壽賀子先生でしたが。幸いにも強運の持ち主であることが証明されました。大事に至らなくて本当によかった。
海外の船旅とか、ある意味でハイリスク・ハイリターンかも。今後、渡航などは是非とも慎んでいただければと切に願う昨今。でも、ポリシーがお強いから再び行くのでしょうけど。
忘れるわけがない
いわゆる終活はずっと前からやっていて、全ての財産は橋田文化財団に行くようになっている。葬儀もしないでと言ってある。静かに消えていき、忘れられたい。
数多くの素晴らしい作品をこしらえた橋田壽賀子先生のことはずっと語り継がれていくことでしょう。「忘れられたい」というご希望はきっと叶うわけがない。
忘れるどころか、著名な作家として中学・高校の教科書にもお名前が載るような時代が来るかもしれません。
兎に角、忘れませんからね(笑)
夫婦の腕時計
私は静岡県小山町の富士霊園の中で日本文芸家協会が運営する「文學者之墓」の墓を買っている。
〈中略〉
墓には夫婦の腕時計を入れる。死後、その墓の中で再び夫婦の時間が流れるように。
女心が絶妙に表現されたエピローグ、泣かせてきましたね。
橋田壽賀子先生は心底ご主人を愛していたんだ。
日本文藝家協会 | THE JAPAN WRITERS’ ASSOCIATION
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まとめ
日本経済新聞「私の履歴書 橋田壽賀子(30)2つの腕時計」をご紹介しました。
改めて橋田壽賀子先生にお願いしたいこと、それは。
百歳を過ぎても渡鬼の物語を書き続けてほしい!
ということで、再びご夫婦の時間が流れるのはまだまだ先のお話。
橋田壽賀子先生のご健在を渡鬼出演者も願っている情景。
もちろん、写真に写っていない渡鬼出演者も気持ちは同様。
大きな反響を呼んだ日経新聞連載「私の履歴書」の書籍化!