NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第四回「美濃攻略」における橋田壽賀子脚本らしかった部分をあれこれと随想します。
第四回「美濃攻略」の概要
NHKオンデマンドの場合
秀吉の仕事は敵国・美濃の調略です。秀吉は美濃の土豪・蜂須賀小六を織田方につくように説得します。小六は尾張の織田につくか、美濃の斎藤につくかを迷っていましたが、ねねが夫の秀吉を信じて必死に尽くす姿に心を打たれ、信長ではなく秀吉の家臣になる決心をします。信長の妹・お市は浅井長政に嫁ぐことが決まり、美濃攻めの地固めが整います。秀吉の次の仕事は、斎藤方の鵜沼城主・大沢基康を味方につけることです。
週刊おんな太閤記随想、第四回「美濃攻略」
第四回「美濃攻略」について、渡隅版のまとめ記事
気にならない道理がない橋田壽賀子脚本
どちらかと言えば、演者とかというよりも、橋田先生の脚本の方かな、といった話題を取り上げてみました。
おなごは慎ましく
おなごのあたくしが差し出がましいことを(ねね)#おんな太閤記 第四回
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戦国時代の男尊女卑が色濃く描写されることに。
なぜか公家言葉に
今に、ケロッとして帰っておじゃるわ(利家)
などと、なぜかお公家さんの口調を呈した前田利家。おみつの気配に「何奴じゃ!!」と形相やらを一変させた一幕。演者は、滝田栄さん。
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おじゃるって(笑)やっぱり、変だよね。
他にも、物語の舞台が尾張なのに、話し言葉が岡山とか広島っぽいし、
特に、浅井家が「あさい」と表現されていたのも気になるところ。大河ドラマ好きの認識だったら、まず「あざい」だよね。
こうした点からも、話し言葉の研究不足は否めないかな。
ただ、NHKおんな太閤記で成功したから、NHKおしんでは細部にまで橋田先生がこだわることができたんだろうけど。山形弁やら佐賀弁とかは非常に徹底されましたからね。
もしくは、宿願だったNHKおしんに比して、単純にやる気が劣った可能性も(笑)
徹底したキャラ設定
おっか様だけでなく。小六からも戯け者呼ばわり(笑)#おんな太閤記 第四回
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史実的にも天下人になってからの秀吉は戯けたことをやっちゃってましたから。
役名への連想術
敵方の様子などを隠密のうちに(おみつ)#おんな太閤記 第四回
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隠密のお役目だけに名がみつとか。橋田先生が考えそう(笑)#おんな太閤記 第四回
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こうした命名が橋田先生の場合は結構見受けられるかも(笑)
渡る世間に鬼はなし
儂とおぬしの仲で斬れる道理がないではないか(小六)
豪快というよりも。「渡る世間に鬼はなし」の様相が際立っていた蜂須賀小六。演者は、前田吟さん。
画像:NHK大河ドラマ『#おんな太閤記』第四回「美濃攻略」#おんな太閤記クレジット pic.twitter.com/mWQ5QtnsrN
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儂はねね殿に惚れた。ねね殿に惚れた秀吉殿に惚れた(小六)#おんな太閤記 第四回
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小六に関しては、ナイスガイに表現したかった印象(笑)
浅井は敵になる暗示
おんな太閤記は歴史物だから。どうしても、史実的の伏線が多くなりがち。
今に浅井家を、敵にまわすことになるやもしれん(秀吉)#おんな太閤記 第四回
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たとえ長政殿とあにおとうと(兄弟)のえにし(縁)に結ばれようと、戦乱の世じゃ(信長)#おんな太閤記 第四回
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でも、これで兄上をお討ちするようなことに、なるやもしれませんな(お市)#おんな太閤記 第四回
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たとえじゃなくて、絶対に浅井を敵にまわす未来予想図が展開されているよね(笑)
が、長政との結婚は、お市にとって悲惨な運命をたどる幕開きであった(語り)#おんな太閤記 第四回
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語りでも告知してるし。橋田先生、くどい(笑)
他者との対比
例えば前田夫婦と比較すると。
どっちかっていうと。利家は何だか暇そうだから(笑)そりゃ、まつにややこが授かるわけだよね。#おんな太閤記 第四回
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おまつの着物の花模様、かわいい。#おんな太閤記 第四回
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特に、ややこの件はきついよね。結果論として、ねねには子が授からなかったから。
一方、お市との比較。
あたしはよかった、足軽組頭の娘で(ねね)#おんな太閤記 第四回
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それがよくない方向に行ってしまうことを暗示してるよね(笑)
やっぱり後々にかけて、ねねを悲劇のヒロインとしても表現したいらしい。
優等生キャラは高笑い
利家に加えて、小六も高笑いキャラ#おんな太閤記 第四回
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滝田栄さんの利家然り、前田吟さんの小六然り。優等生の様相なんだよね。
優等生には高笑いさせたい欲求が橋田先生にあったのかな??
おかか=台所方
おかかは黙って客人の世話をしてればよい、のう、ん?(秀吉)#おんな太閤記 第四回
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おかかー!酒じゃ酒じゃ、酒じゃ!おかかー!(秀吉)#おんな太閤記 第四回
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橋田先生、秀吉が「浪花恋しぐれ」みたいになってるし(笑)#おんな太閤記 第四回
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おなごの役割設定が徹底して描写されていましたね。
綱渡りの所業
第四回当時の秀吉の場合、確かに無茶が多かったのかもしれない。
それにしても、命知らずの描写がやたらと目立っている様相にも。
単身乗り込むのも、秀吉の十八番っぽいけど。ほんと、無茶するよね。#おんな太閤記 第四回
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このあたりは、蜂須賀小六のハートを美化することで何とかやり過ごしたけど。
問題は大沢基康の件。
戦は最後の手立てじゃ、血を流すばかりが能ではないわ(秀吉)#おんな太閤記 第四回
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でも、それによって秀吉自身が血を流す結果が待っている可能性も。
誠の心を開き理を尽くして説けばわからぬ道理はない(秀吉)#おんな太閤記 第四回
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秀吉の綺麗事を橋田先生がアピール。
無事に帰す道理がないわい(又十郎)#おんな太閤記 第四回
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秀吉とは相反する、まともな考えを蜂須賀又十郎に唱えさせる流れも。
でもやっぱり、秀吉は自身の考えを他者に尊重させる。
秀吉って、戦でないことで命張り過ぎ#おんな太閤記 第四回
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必然的にこうなりますよね(笑)
ならば、儂が人質になろう(秀吉)#おんな太閤記 第四回
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ほんと秀吉然り、官兵衛も然り#おんな太閤記 第四回
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こうした手法はしっかりと後の軍師となる黒田官兵衛にも引き継がれることにも。
すると、橋田先生は物語の展開を面白くしたいので。
サルの命など物の数ではないわ(信長)#おんな太閤記 第四回
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秀吉、ほんとに綱渡りの所業だね#おんな太閤記 第四回
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秀吉が天下人になれたことについて、本当に強運過ぎたことを橋田先生が表現して止まないわけです。
そのような稀有の殿方と添うてしまった、ねねは。
おなごは泣かされる
何を言い出す藪から棒に(秀吉)
秀吉の身を案じて涙を流したものの。ねねの果報とは程遠く、独りよがりの持論を展開された結果。やっぱり酒の準備を催促された、おかかの目。
演者は、ヒロインの佐久間良子さん。
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大沢基康の件を非常に懸念した、ねね。自身が考える果報(幸せ)を秀吉に泣きながら訴えかけたわけですが。
ねねが思う果報を秀吉はわかってない#おんな太閤記 第四回
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秀吉が理想とする男の仕事。ねねにとっては独りよがりのわがままでしかない。#おんな太閤記 第四回
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兎に角、戯け者の秀吉に、ねねが泣かされる構図。
このことが物凄く徹底していましたよね。
橋田先生としては、順調に物語を展開したわけです。
NHKおんな太閤記、第四回「美濃攻略」橋田壽賀子脚本、故に