NHKおんな太閤記、第十八回「人質松壽丸」杉原家次の習わし

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十八回「人質松壽丸」

 

NHK大河ドラマ『おんな太閤記』にて、秀吉が長浜で大名になったことを機に召し抱えられた、ねねの伯父・杉原家次。演者の戸浦六宏さんが如何にも生真面目の家次を好演されたわけです。

というわけで、家次と松壽丸の出会いをおさらいした上で、第十八回「人質松壽丸」における家次の活躍を振り返ってみたいと思います。

ネタバレ、御免!

 

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第十八回「人質松壽丸」の概要

ねねは久しぶりに夫婦水入らずの正月を安土で過ごし、長浜へ戻ります。長浜では、羽柴家の嫡男に迎えた於次(おつぎ)丸、養女のお豪や姉の息子たち、そして、人質の松寿丸ら、子どもたちの声がにぎやかに響きます。ところが、別所長治、荒木村重が寝返り、秀吉は出陣します。黒田官兵衛は村重の説得から戻らず、秀吉は信長から官兵衛の嫡男・松寿丸を斬るように命じられますが、ねねの機転で松寿丸を隠してしまいます。

大河ドラマ おんな太閤記(たいこうき) 第18回 人質 松壽丸(しょうじゅまる) −NHKオンデマンド
月額990円(税込)でNHKの名作見放題!長浜城では嫡男の於次(おつぎ)丸やお豪、人質の松寿丸らの声がにぎやかに響きます。信長は黒田官兵衛が荒木村重の説得から戻らないため嫡男・松寿丸を斬るよう命じます。

戸浦六宏さんのクレジットタイトル

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十八回「人質松壽丸」

 

松壽丸との出会い

家次が人質の松壽丸と出会ったのは、第十五回「秀長の恋」でしたね。

その時の状況を振り返ってみます。

 

思いがけぬ御帰城じゃ。なんぞございましたのか?(ねね)

黒田官兵衛殿の御子息御連れいたしました。(秀長)

まあ!わざわざ播磨から?よほど大事な客人と見えますな。あいにくと秀吉殿が御留守。私が代わっておもてなしをしなければなりますまい。(ねね)

客人ではない。人質じゃ。(家次)

ねねと家次の意識の違いがはっきり表現されました。

 

官兵衛は信長様に寝返った男。形勢いかんでは、いつまた裏切るやもしれませぬ。そのため。(家次)

いやいや、官兵衛殿はそのような方ではない。しかしながら乱世の習いとして。(秀長)

いやいや、官兵衛がそのような方ではないという根拠が不明。秀長、危機管理があまい。

 

長浜で御預りするのでございますか?(ねね)

信長様の仰せにございます(秀長)

えらいものを引き受けたわ。万一のことがあったら大事(おおごと)じゃ。気の重いことよ。(家次)

危機管理の意識が徹底されていた家次。万一の時には人質の処分に至ることを当たり前のように考えていた様相にも。

 

そして松壽丸と御対面した、ねねの方針は。

私がついております。私を母と思って。不自由はおかけいたしませぬ。(ねね)

私が御預りいたします。さっ、おじゃれ。さあ。(ねね)

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十五回「秀長の恋」

ねね殿!(家次)

家次の名前一言ツッコミ(笑)

松壽丸に対する、ねねの温情対応が気に入らなかった家次のツッコミ(笑)

他方、家次からの責はどうでもよかった、ねね(笑)

小姓部屋の面々に松壽丸を紹介する。

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十五回「秀長の恋」

 

この度、御城で御預りすることになった松壽丸殿じゃ。皆、仲良う御相手になってくだされ。(ねね)

はい(進之介、市松、佐吉、虎之助)

孫七郎も小吉(こきち)もお豪も、よい御仲間になりましょう。遠慮は要りませぬ。仲良うにな。(ねね)

なんぞして遊ぼう?(孫七郎)

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十五回「秀長の恋」

松壽丸殿!(家次)

家次の名前一言ツッコミ(笑)

やっぱり、家次が松壽丸に厳しい(笑)この一言には「御前は人質なんだから調子に乗るな!」といったお叱りが込められた様相にも。

それでも、橋田先生は。

構いまえぬ!男の御子じゃ。思い切って暴れておいでなされませ。(ねね)

やっぱり家次の意見を、ねねに無視させる(笑)

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十五回「秀長の恋」

 

ねね殿。松壽丸は殿から御預りした人質じゃ。勝手なまねは。(家次)

人質じゃというて、孫七郎も小吉も同じ人の子。まして、親元を離れてどのような辛い思いをしておることか。私が御預りいたします。(ねね)

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十五回「秀長の恋」

 

人質扱いを嫌った、ねねの言葉に閉口した家次。

橋田先生の意向、家次一人が悪役にされてしまった様相にも(笑)

 

以上が家次と松壽丸の出会い。ねねと主張が相反していた家次が何かと際立っていましたが。

第十八回「人質松壽丸」において、いよいよ風雲急を告げる様相を呈してきました。

戦国の習い

御方様!播磨より秀吉殿の急使にございます(進之介)

えっ?(ねね)

秀吉の急使は嘉助と森弥五六。

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十八回「人質松壽丸」

 

秀吉殿は御本心でこのような(ねね)

上様の御意とあらば、秀吉殿とて背かれるわけには(家次)

なりませぬ!たとえ上様であろうと幼い松壽丸殿を斬れなどと!秀吉殿も秀吉殿じゃ!上様の言うままに!私は許しませぬ!(ねね)

感情的のねね、論理的の家次。

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十八回「人質松壽丸」

 

ねね殿!官兵衛殿、裏切ったとあれば致し方あるまい。戦国の習いじゃ。(家次)

家次殿!(ねね)

ほんと、家次は事務方っぽい。松壽丸のことを粛々と処理しようとしている。まさに戦国の習いに感情は要らないといった様相にも。

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十八回「人質松壽丸」

 

もし上様の御意に逆ろうたら秀吉殿はどうなる!羽柴の家はどうなると御思いじゃ!それくらいのこと、ねね殿とて(家次)

家次の言い分は当然の道理。

 

私が安土へ参って上様にお願いいたします(ねね)

女子(おなご)の出ることではないわ!(家次)

ならば斬ったということにして松壽丸殿をどこぞへ(ねね)

そのような小細工をしてもどうなるものではないわ!(家次)

分かりました。それでは松壽丸殿は私が御守りするまでじゃ。誰の手にも渡しませぬ!(ねね)

ねね殿!(家次)

〆は家次による名前一言ツッコミ(笑)

家次の中では人質を処分することが当然の道理。故に救済を図ろうとする、ねねの一言一言がうざったい感じだね。

竹中半兵衛の一存

ねねと家次の論争が膠着状態の様相を呈した時。

急使の一人、森弥五六が口を開いたことで物語が急展開する。

御方様がその御所存ならばお話しいたします。秀吉殿の軍師、竹中半兵衛殿は松壽丸殿を殺してはならぬと。(森弥五六)

もし城中が秀吉殿の御指図のままになさる時には松壽丸殿を御隠し申せと、私がその任を承って嘉助殿と共に急使の役目を仰せつかってございます(弥五六)

もし露見の暁には、竹中半兵衛殿の御一存にてなされたことと責めを負われる覚悟にございます(弥五六)

半兵衛の密命内容を弥五六から聞かされたことで。物語は一気に、ねねの意見を後押しする。

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十八回「人質松壽丸」

 

竹中半兵衛殿のような御方じゃ、きっと何か思惑があってのことであろう。これで私も心強うなりました。(ねね)

この時の佐久間良子さんのカメラ目線とかね(笑)完全に決めに入ってきた感じ。

 

この度のことは私がよしなに取り計らいましょう(ねね)

ねね殿!(家次)

ねねが半兵衛のいいとこどりに突入したところで家次の名前一言ツッコミ(笑)

兎に角、半兵衛、弥五六、ねねを操っているのは橋田先生だから。

同じく、操られている立場の家次は手も足も出ません。

 

いざとなった時には私が責めを負いましょう。上様とて人の情けの分からぬ方ではございますまい。女子(おなご)の浅知恵でしたこととなれば、御許しくださるやもしれませぬ。(ねね)

そのような甘いことではないわ!(家次)

弥五六から横槍を入れられたことで家次の敗戦が決定的に。

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十八回「人質松壽丸」

 

松壽丸殿に指一本触れさせませぬ!もし御手にかけられるようなことがあったら、私を斬ってからになさいませ!(ねね)

ねね殿!(家次)

家次の名前一言ツッコミが、ねねの背中に空しく響く(笑)

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十八回「人質松壽丸」

 

この情景に関しては、別記事でも詳しくご紹介しています。

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羽柴の家の大事

竹中半兵衛より松壽丸を御隠しするという密命を受けていた森弥五六であったが。

ねねに密命内容を告白したことで、半兵衛の一存から、ねねの一存にシフト(笑)

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十八回「人質松壽丸」

 

なかと進之介の協力を得て、松壽丸を長浜から脱出させて尾張の寺に隠した、ねね。

無論、家次には知らされてなかったわけで。

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十八回「人質松壽丸」

 

これを上様に(ねね)

そのようなもので上様が納得されると思うておられるのか(家次)

それはその時のこと(ねね)

確かに、そんなもんで信長が納得する道理がない。乱世の習いはそんなに甘くはないよね。

 

松壽丸殿はどうなされたのじゃ!(家次)

斬り捨てましてございます(ねね)

家次、何だか取り調べの刑事みたい(笑)

そもそも、松壽丸を長浜から脱出させる際に、家次に気が付かれなかったのって。ま、物語ですからねー(笑)

 

ねね殿!これは、ねね殿一人で済むことではない!羽柴の家の大事じゃ!ねね殿の勝手になされることではないわ!(家次)

それ故、斬り捨てましてございます。それは御遺髪でございます。よしなに御取り計らいくださいませ。(ねね)

ねね、ほんと質の悪い容疑者と化して(笑)

家次、考え方は至って当時の常識レベルなんだけどね。

橋田先生に操られると、どうしても家次は色んな意味でヒロインの引き立て役に。

 

 

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十八回「人質松壽丸」

 

 

 

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