NHKの橋田壽賀子作品に何かと頻出の様相を呈したガッツ石松さん。結果論として、橋田先生のお気に入りだったわけですが。NHK大河ドラマ『おんな太閤記』にも、森弥五六として出演されていました。
というわけで、第十八回「人質松壽丸」の森弥五六に何かと注目してみました。
第十八回「人質松壽丸」の概要
ねねは久しぶりに夫婦水入らずの正月を安土で過ごし、長浜へ戻ります。長浜では、羽柴家の嫡男に迎えた於次(おつぎ)丸、養女のお豪や姉の息子たち、そして、人質の松寿丸ら、子どもたちの声がにぎやかに響きます。ところが、別所長治、荒木村重が寝返り、秀吉は出陣します。黒田官兵衛は村重の説得から戻らず、秀吉は信長から官兵衛の嫡男・松寿丸を斬るように命じられますが、ねねの機転で松寿丸を隠してしまいます。
ガッツ石松さんのクレジットタイトル
松壽丸を斬れ
御方様!播磨より秀吉殿の急使にございます(進之介)
えっ?(ねね)
あのコンビが再び姿を現したみたいだね
嘉助と弥五六だ
秀吉殿は御本心でこのような(ねね)
上様の御意とあらば、秀吉殿とて背かれるわけには(家次)
なりませぬ!たとえ上様であろうと幼い松壽丸殿を斬れなどと!秀吉殿も秀吉殿じゃ!上様の言うままに!私は許しませぬ!(ねね)
ねね殿!官兵衛殿、裏切ったとあれば致し方あるまい。戦国の習いじゃ。(家次)
家次殿!(ねね)
もし上様の御意に逆ろうたら秀吉殿はどうなる!羽柴の家はどうなると御思いじゃ!それくらいのこと、ねね殿とて(家次)
私が安土へ参って上様にお願いいたします(ねね)
女子(おなご)の出ることではないわ!(家次)
秀吉殿とてお辛いのじゃ。上様の御気性を御存じ故、仕方なく。(嘉助)
ならば斬ったということにして松壽丸殿をどこぞへ(ねね)
そのような小細工をしてもどうなるものではないわ!(家次)
分かりました。それでは松壽丸殿は私が御守りするまでじゃ。誰の手にも渡しませぬ!(ねね)
ねね殿!(家次)
ねねと家次のやりとりが繰り広げられたところで、いよいよ弥五六が口を開く
竹中半兵衛の一存
御方様がその御所存ならばお話しいたします。秀吉殿の軍師、竹中半兵衛殿は松壽丸殿を殺してはならぬと。(森弥五六)
やっと物語に竹中半兵衛が登場!ただし、弥五六の台詞から(笑)
へっ?(ねね)
視聴者も「へっ?」ですよ、まったく(笑)
もし城中が秀吉殿の御指図のままになさる時には松壽丸殿を御隠し申せと、私がその任を承って嘉助殿と共に急使の役目を仰せつかってございます(弥五六)
竹中半兵衛から松壽丸を御隠しする任を承っていた弥五六
おぬし!(嘉助)
我が殿、小六殿も同じ意見にございます(弥五六)
浅井長政の嫡男・万福丸を串刺しにした小六だったけど。なんか違和感。
それでは秀吉殿には内密?(ねね)
もし露見の暁には、竹中半兵衛殿の御一存にてなされたことと責めを負われる覚悟にございます(弥五六)
ここまでは橋田先生が半兵衛を立ててきたけど
竹中半兵衛殿のような御方じゃ、きっと何か思惑があってのことであろう。これで私も心強うなりました。(ねね)
これまでに半兵衛と接触した情景が描写されていないから。ねねの発言が説得力に欠ける。何だか胡散臭い。
私も御方様が御力をお貸しくださるならば、百万の味方を得た思いにございます(弥五六)
橋田先生がこしらえた台詞が何だか白々しくて(笑)
この度のことは私がよしなに取り計らいましょう(ねね)
やっぱり、そうきますか。ねねの物語ですからねー。
ねね殿!(家次)
いざとなった時には私が責めを負いましょう。上様とて人の情けの分からぬ方ではございますまい。女子(おなご)の浅知恵でしたこととなれば、御許しくださるやもしれませぬ。(ねね)
ねねがやっぱり半兵衛のいいとこどり(笑)
そのような甘いことではないわ!(家次)
松壽丸殿に指一本触れさせませぬ!もし御手にかけられるようなことがあったら、私を斬ってからになさいませ!(ねね)
ねね殿!(家次)
ねねの一存
大儀でした。今から城を出ます。弥五六殿はすぐに播磨へお戻りなさいませ。供は御義母様とこの者がいたします。(ねね)
半兵衛からの命で松壽丸を御隠しする任務が、ねねというよりも橋田先生によって消去され(笑)
しかし、女子(おなご)だけでは。わしゃ、そのために。(弥五六)
半兵衛から与えられ任務だからね。兎に角、食い下がる弥五六(笑)
そなたがついていたらかえって目立ちます。それに、もしもの時に秀吉殿や半兵衛殿に御迷惑がかかりましょう。これはあくまで私の一存でしたこと。それでいいのです!(ねね)
やっぱりね、橋田先生(笑)なんだかんだ言っても、こういった美談は結局のところ、ねねの手中に収まる道理(笑)
御方様!(弥五六)
しばらくの辛抱じゃ。のう。(ねね)
さあ、一刻も早う。辛抱しなされよ。(なか)
松壽丸を大箱に収納する女子たち
御義母様、申し訳ございません(ねね)
なんのなんの。儂は中村へ去(い)ぬることができるのじゃ。有難いと思うておる。それに、この婆(ばば)とて役に立つことがあると思えば心も勇み立つわ。(なか)
なか的には一石二鳥の様相
道中、御無事で(ねね)
ああ、行ってくるわ。さあ。(なか)
御無事で(ねね)
まとめ
竹中半兵衛よりも森弥五六を活躍させたことで。
半兵衛の一存から、ねねの一存にシフトした橋田先生の道理。
故に、松壽丸を御隠しした術(すべ)が、ねねの美談と化した一幕にも。
すっかり弥五六が、ねねの術中に、はまっちゃいましたね(笑)
森弥五六のガッツだぜ!カテゴリー
NHK大河ドラマ『おんな太閤記』でガッツ石松さんが扮した森弥五六に関する記事があります。
週刊おんな太閤記随想、第十八回「人質松壽丸」
週刊おんな太閤記随想
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