NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十七回「乙御前の茶釜」では、ねねと秀吉が信長の四男・於次丸を羽柴家の世継ぎとして迎え入れたり。松壽丸の件に便乗して、なかが尾張に去(い)ぬったりと。
それらの事実を知った、ねねの小姑の反応に注目してみました。
第十八回「人質松壽丸」の概要
ねねは久しぶりに夫婦水入らずの正月を安土で過ごし、長浜へ戻ります。長浜では、羽柴家の嫡男に迎えた於次(おつぎ)丸、養女のお豪や姉の息子たち、そして、人質の松寿丸ら、子どもたちの声がにぎやかに響きます。ところが、別所長治、荒木村重が寝返り、秀吉は出陣します。黒田官兵衛は村重の説得から戻らず、秀吉は信長から官兵衛の嫡男・松寿丸を斬るように命じられますが、ねねの機転で松寿丸を隠してしまいます。
主な登場人物
ねね、とも、きい
男の子を安土で、ねねさが!
播磨、但馬の平定が一段落した秀吉は、信長への報告に、ねねを連れて安土へ行き、天正六年の正月を久しぶりに夫婦水入らずで過ごすと、意気揚々と長浜へ帰ってきた。まさしく秀吉にとっては我が世の春であった。(語り)
こういう時、ともときいがやっぱり居るんだよね(笑)
長い間、勝手をいたしまして(ねね)
ご苦労様じゃったのう。ええ正月じゃったか?(なか)
なかが居るのは当然なんだけど(笑)
ああ。播磨、但馬での儂の働き、格別であったと上様より大層なお褒めの言葉を頂いてのう。上様御秘蔵の茶釜を拝領した。なお、茶の湯を開くこともお許しくだされた(笑)武門の面目、これに過ぐることはないわ。(秀吉)
秀吉の台詞を通して、橋田先生が丁寧に前回のおさらい
釜とか茶の湯とか、そりゃ何じゃ(きい)
(笑)偉うなるとのう、茶の湯を開いてもええようになるのよ。正月の上様の茶の湯には、十二人の武将が陪席したがのう、儂もそのうちの一人に加えられてお茶を頂いた。(秀吉)
きいを無知・無邪気の駒として橋田先生は使いたい
藤吉郎もそこまで出世なされたか。大したものよのう。(とも)
弟が信長に厚遇されたことに、ここまでは上機嫌
おかかのためにものう、酒宴を設けてくだされた。秀吉が今日あるのは、おかかの内助の功あってのことじゃと仰せられてのう。(秀吉)
おお、それはよかった。やはり上様という御人は見る目がおありじゃのう。(なか)
いいえ。私は何の御役にも立ちませぬが、秀吉殿のおかげで私まで大層な面目を施してございます。(ねね)
このあたりも前回のおさらいとして、橋田先生がしっかりと表現してきます
ほんに、女子(おなご)の幸せは添うた男で決まると言うが、実(まこと)よのう。ねねさは果報な御人じゃ。(とも)
はい。身に余る幸せにてございます。(ねね)
何だか弥助と添うたのが果報でないようにも聞こえるけどね。他方、ともと添うた弥助は果報者なのか??弥助の気持ちも聞いてみたいところ。
それだけではないぞ。我らには立派な世継ぎができた。男の子をもろうてきたのよ。(秀吉)
メインイベント
男の子を(とも)
うん(秀吉)
安土でか?(とも)
ともの聞き間違いはなかったみたい。秀吉は男の子を安土でもらってきました。
ともの面相に不安が漂う
(笑)それも、ただの御子ではないわ。上様の四男であらせられる於次丸様じゃ。(秀吉)
上様の御子を!(きい)
おう(笑)おかかがお願いしたのよ。まさかとは思うておったがのう、ねねにも子がなければ寂しかろうと快う上様は下された。(秀吉)
秀吉が言わなくてもよいことを暴露。やはり日頃から、ねねに対する秀吉の気遣いが足りない。
まあ、ねねさが(とも)
この一言には「余計なことをしてくれおって」みたいな感情を含まない道理がない(笑)
うん。おかかの手柄よのう(笑)
しっかりと小姑の面相を確認した、ねねの面相も瞬時に曇る(笑)
日本広しといえども、このような御子は望めぬわ。何よりの宝を上様より頂戴したわ。なあ、皆も会うてやってくれ。愛らしい御利発なええ御子じゃ(笑、秀吉)
自分の子供たちを秀吉の世継ぎにしたかった、ともの野望を秀吉は知らない
とも、不服
羽柴の家の嫡男としてお迎えした於次丸様じゃ。今日より於次秀勝と名乗られる。以後、於次殿は儂の留守中、長浜城主として政務にも携わられる。皆もそのつもりで心して仕えてもらいたい。
首(こうべ)を垂れるの出遅れた、とも(笑)さりげなく、複雑の心境が表現されましたね。
ここに集うた者どもが我らが一族にございます。(秀吉)
於次秀勝にございます。今日より筑前殿を父様に、御方様を母様に、羽柴の家の嫡男として恥じぬよう、おつとめ、孝養に励む所存にございます。(於次秀勝)
おお、さすが於次殿じゃ。これで筑前、心おきのう戦にも出られまするわ(笑、秀吉)
秀吉が世継として信長の四男・於次秀勝を迎え入れたことに。不服の様相を呈した小姑が能面と化した一幕。
なかの去(い)ぬりと松壽丸
一人で去(い)なれたのか?(きい)
供は要らぬとおっしゃって(ねね)
なかは進之介と共に松壽丸の御供で尾張へ。松壽丸を寺に隠すことに便乗して、なか自身は中村に去ぬることに。
それにしても我らに黙って。ねねさも、ねねさじゃ。我らに断りもなしに。(とも)
申し訳ございませぬ(ねね)
こういうことを言ったりする小姑は本当に面倒くさい
やはり、御城での暮らしはおっ母さの性に合わぬのよ。去にたい、去にたいと口癖のように言っておられたわ。(きい)
私が至りませぬ故(ねね)
まだ、きいの方が扱いやすいかもね
母様!松壽丸殿はいかがなされました?どこを捜してもおられぬ(於次秀勝)
松壽丸殿は、もう御戻りにはなりませぬ(ねね)
どこへ行かれたのじゃ?(孫七郎)
故あって、遠い所に旅立たれました(ねね)
母様(於次秀勝)
松壽丸殿のことはお忘れなさいませ(ねね)
ねねの発言からは松壽丸が死んだテイにて
義姉様。松壽丸殿は人質として長浜に来られたと聞いたが?もしや!(きい)
また橋田先生が余計なことを、きいに喋らせる(笑)
それが戦国の世の習いでございます(ねね)
ねねさ(とも)
上様の御意、背くわけにはまいりませぬ(ねね)
では、ねねさは松壽丸殿を見殺しになされたというのか?(とも)
女子(おなご)の私には関わり知れぬことでございます(ねね)
家次に叱責された一つひとつのことをしっかりと学習していた、ねね
母様!では、松壽丸殿は!(於次秀勝)
私には何の力もございませぬ(ねね)
ようそんなむごい(とも)
義姉様をあんなに頼りに懐きもしておったのに(きい)
小姑たち、ねねに容赦ないよね
松壽丸殿を返せ!松壽丸殿が可哀想じゃ!返せ!松壽丸殿を返せ!(孫七郎)
孫七、孫七郎、孫七郎!おじゃれ、おじゃれ、おじゃれ(とも)
やっぱり、長山藍子さんのパフォーマンスがいいね。兎に角、面がいい。
史実的には松壽丸よりも孫七郎の方が凄く可哀想
義姉様を見損のうたわ!分別もつかぬ御子を、たとえ戦国の習いとてむざむざと!義姉様は血も涙もない御人よ!(きい)
小姑たちは浅はか過ぎる。長浜に居座っていながら、ねねのことを全然わかっていない。
母者(ははじゃ)。母者の胸中、於次にはよう。お察しいたします。(於次秀勝)
こんだけ於次がお利口さんの人だったら、秀吉の跡を継いでほしかったかも
いつか城中では、松壽丸は密かに殺されたものと信じられていた。ねねは信長が怖かった。いつ見破られるか。薄氷を踏む思いの毎日であった。(語り)
信長に比べたら、小姑なんて、ただうるさいだけのこと(笑)
週刊おんな太閤記随想、小姑問題カテゴリー
NHK大河ドラマ『おんな太閤記』における小姑問題を取り上げてみました。
週刊おんな太閤記随想、第十八回「人質松壽丸」
週刊おんな太閤記随想