NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第八回「小豆袋」の登場人物と演者の情景について、あれこれと随想したいと思います。
第八回「小豆袋」の概要
NHKオンデマンドの場合
信長は将軍・足利義昭を擁立して上洛(じょうらく)すると、秀吉は京で守護職として義昭を見張ります。ねねは岐阜で留守を預かり、利家とまつは国許の荒子(あらこ)城主になるため岐阜を去ります。信長は、義昭と通じて信長を狙う越前・朝倉義景を攻めると、浅井長政に嫁いだ妹・お市から両端を結んだ小豆袋が届きます。信長は長政の離反を察して退却を決めると、秀吉は全軍を安全に逃がすため殿(しんがり)を務めます。
登場人物と演者の情景
気になった登場人物や演者のことを、あれやこれやと随想します
NHK大河ドラマ『#おんな太閤記』第八回「小豆袋」クレジットタイトル
作:橋田壽賀子
音楽:坂田晃一
(中略)出演
1佐久間良子 2中村雅俊 3浅茅陽子 4音無美紀子 5尾藤イサオ
連名G
中G:1藤岡弘 2夏目雅子 3長山藍子
連名G
トメG:1滝田栄 2前田吟 3西田敏行
(後略)#おんな太閤記クレジット pic.twitter.com/zBQkTZw6TS— 渡る世間の片隅で (@watasumi_net) May 21, 2022
NHK大河ドラマ『#おんな太閤記』第八回「小豆袋」クレジットタイトル、連名G
泉ピン子 せんだみつお
東てる美 宗近晴見風間杜夫 近藤洋介
石濱朗 津村隆
新井みよ子 菅原ちね子 河原裕昌
土方弘 坂巻祥子 岡崎夏子
若駒 鳳プロ 早川プロ 劇団いろは#おんな太閤記クレジット— 渡る世間の片隅で (@watasumi_net) May 21, 2022
ねね:佐久間良子さん
きいやおみつを伴って京に向かった、ねねの情景からも。演者の佐久間良子さんが、御自身より若手の女優さんだった泉ピン子さんや東てる美さんとの絡みを通して。和気あいあいと撮影に臨んでいたのが何となく伝わってきた印象。特に泉ピン子さんが何かと突っ走っている様相が否めず。また、東てる美さんが殺陣や長台詞で悪戦苦闘する中。若い女優さんたちの良きお姉さんのような存在だったのかも。それは、劇中で泉ピン子さんが醸し出した満面の笑みからも想像することが容易かも。佐久間良子さんが主演だったことで、泉ピン子さんにしても、東てる美さんにしても、やりやすかったんじゃないかな。
まことか?まさか、信長様が(ねね)
浅井の離反並びに信長軍の総退却を知らされた、おかかの目。演者は、佐久間良子さん。
画像:NHK大河ドラマ『#おんな太閤記』第八回「小豆袋」#おんな太閤記クレジット #おんな太閤記カメラ目線 pic.twitter.com/47ggDUaYcn
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小一郎:中村雅俊さん
すっかり、侍が板についてきた小一郎。もう、百姓だったとは言わせないといった雰囲気が醸し出されている様相にも。浅井が裏切ることはないと妙に(笑)楽観視していた兄・秀吉に対して、小六と共に諫めたあたりは頼もしくなってきましたね。もちろん、浅井に対する秀吉の認識が甘かっただけで、諫めた内容は普通に常識の範疇。ただ、序盤から竹中半兵衛が登場していない本作において、今後は軍師としての役割を橋田先生から要求されることになるだろうから。
劇中の小一郎、そして演者の中村雅俊さんには、人を安心させる力が漂っていますね。
やや:浅茅陽子さん
何も私の顔を見て引っ込むことはないではないか(やや)
ややとものあからさま対決(笑)
ややは日頃から思ったことを口が過ぎるほどに表現するタイプ。姉・ねねの小姑のことは「御荷物」呼ばわりしてましたので(笑)まさか、無言で背を向けられて奥の部屋に引っ込まれるとは思ってもいませんでしたね(笑)まさに、ともの態度によるあからさまの反抗。面白い一幕でした。
ただ、ねねときいが京から帰参した後の情景では、何事もなかったように同じ場所に居合わせたり。信長軍危うしの報が伝わって来た時には、ともから質問を受けたりと(笑)
冒頭のあからさま対決の発端は、そもそも作者の気まぐれが巻き起こした様相にも(笑)
まつ:音無美紀子さん
夫の利家が荒子城主になるということで。夫婦そろって、ねねに御別れの御挨拶。
兎に角、まつ役の音無美紀子さんはクレジットタイトル四枚目で主要キャストの一員なので。これからも何かと登場しない法はないですね。
弥兵衛:尾藤イサオさん
第七回ではクレジットタイトル五枚目にも関わらず。おそらく、劇中に姿を現さなかった弥兵衛役の尾藤イサオさん。
第八回も最後までハラハラしましたが。かろうじて、秀吉方の殿(しんがり)における砲戦の一幕で登場。
そういえば、弥兵衛の台詞を全然聞いていないような昨今(笑)
きい:泉ピン子さん
京にたどり着いた、きいが嘉助に会えるということで。兎に角、発情が凄かったですね(笑)若かりし頃の泉ピン子さんが表現した女子(おなご)の欲情とでも言いますか(笑)ある意味で、稀有だった様相にも。
義姉様!とうとう来た!京へ来た!嘉助さに会える!この日をどんなに夢に見たことか(きい)
というわけで、きいの発情がやたらと「はーん!」とか「あははん!」で表現された、おなごの盛り。
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きいについては、別記事でもご紹介します。
嘉助:せんだみつおさん
嘉助役のせんだみつおさんに関しても、かろうじて砲戦の一幕に登場。
戦の中で恐れおののく役回りがよく似合ってました。
みつ:東てる美さん
殺陣と時代劇の長台詞に果敢に挑んでいった、おみつ役の東てる美さん。第八回のおみつは見どころ満載でしたね。
特に、門番たちを相手に立ち回りを披露した情景とか(笑)
どことなくクールビューティーな様相を呈したみつ。演者は東てる美さん。#おんな太閤記の情景
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橋田先生的には、団子屋の情景につなげる意味でも、おみつに暴れてもらったんだろうけど。見方によっては、門番たちが可哀想だった様相にも(笑)
おみつに関しては、別記事でもご紹介します。
信長:藤岡弘、さん
第八回の信長は、結構、百面相レベルに近かったかもしれませんね。
二条城での義昭とのツーショットでは、今にも背後から脇差で義昭の命を奪い取りそうな雰囲気を醸し出した信長の妙な細目が印象的でしたし。義昭と初めて謁見した時にも、やはり妙な細目を披露していましたね。藤岡弘、さんの中で義昭に対して黒目を封印気味にするとか、何か決まり事をセッティングしていた印象。
かと思えば、猿こと、秀吉に対する爽やかの笑顔。
かと思えば、浅井の裏切りをお市からの小豆袋で察した時の神妙な面持ち。
そして、第八回の落ち武者と化した信長が、第七回の上洛の信長と極めて酷似(笑)映像の使い回しだからね。
やっぱり藤岡弘、さん、魅せ方がテクニシャンレベルかも。
お市:夏目雅子さん
浅井長政役だった風間杜夫さんの長台詞が尋常でなかった分(笑)お市役だった夏目雅子産に関しては、見た目で魅せることに集中できていた印象。結構、風間杜夫さんが目頭を熱くさせていた様相だったけど。それって、夏目雅子さんに起因するところも大きいんじゃないかな。だって、長台詞を唱えながら、ずっと見つめ続けるわけでしょ。美しさの虜にならない道理がない
兄上(お市の心の声)
この情景のお市。微妙にカメラ目線じゃないんだよね。惜しいんだけど、夏目雅子さんから見たら、ほんの少し左前方を見てる感じ。個人的にはカメラ目線を捉えたかったところですが(笑)
そして、物語としても重要な役回りを担うことになった、小豆袋の発信。
ほんと、夏目雅子さんのお市が本当に神々しくて。改めてはまり役だと思いましたね。
お市役だった夏目雅子さん。#おんな太閤記クレジット
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とも:長山藍子さん
ともに関しても、やっぱり冒頭における、ややとのバトルかな。口が過ぎる、ややに対して、無言の圧力で対抗した様相にも(笑)
長山藍子さんの細やかな面相の醸し出し方とか、思わず笑ってしまうんだけど。パフォーマンスの技術力は、かなり高いですよね。流石です。
何も私の顔を見て引っ込むことはないではないか(やや)
弟夫婦の屋敷で何かと御厄介になっている、とも。ややから御荷物呼ばわりされていることを察していたのか。何も語ることなく、奥の間に姿を消した、あからさまの女。
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ともに関しては、別記事でもご紹介します。
足利義昭:津村隆(現・津村鷹志)
比較的、カメラ目線が著しかった(笑)足利義昭役の津村鷹志さん。
比較的、カメラ目線が顕著だった足利義昭役の津村鷹志(旧芸名・津村隆)さん。
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利家:滝田栄さん
橋田先生は、利家のことを何だか間抜けキャラにしたかったのかな(笑)夫婦そろって、ねねに御別れの挨拶をしに行った時には、秀吉夫婦との友情をアピールしておきながら。
金ヶ崎で秀吉が殿(しんがり)を務める際には、
命を粗末にするなよ。ねね殿のためにものう。(利家)
とか言いつつ、とっとと姿を消していったし(笑)
あとは、お市が兄の信長に浅井の異変を知らせるために送った小豆袋を見て。
これはこれは、さすがお市様。兄上への細かい御心尽くしと見えますな(利家)
などと、利家に発言させてみたりと(笑)
滝田栄さんはいい男なんだけどね。橋田先生があんまり、利家のことを男前に描こうとはしていないようにも(笑)
小六:前田吟さん
光秀とか義昭とか、他者への毒舌が際立っていた小六。例えば。
あのような泥鰌髭(どじょうひげ)など一思いにひねり潰せばよいのじゃ(小六)
義昭を「泥鰌髭」と評したあたりとか(笑)台詞を考えたのは橋田先生なんだろうけど。
あとは、浅井に対して浅はかだった主君・秀吉には。
よもやが起きるのが今の世じゃ!裏切りは乱世の習い。そこまで深謀遠慮がのうては、いざという時、慌てても間に合わんわい。(小六)
例え小六であっても、本作での槍働きを魅せることが橋田壽賀子作品故に難しいからか。特に、第八回の小六は弁舌でアピールした様相にも。
それにしても、登場当初は豪快さに欠けると思っていましたが、いざという時の小六に関しては、強面の小六を上手に醸し出す前田吟さんの面相表現も印象的かも。
豪快な面相を醸し出した蜂須賀小六。演者は前田吟さん。#おんな太閤記クレジット
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秀吉:西田敏行さん
NHKおんな太閤記に関しては、常軌を逸した(笑)尋常でない長台詞と勇敢に対峙した西田敏行さんが印象的でした。んが、よくよく思い出してみたら、面相表現が非常に豊かな役者さんでしたね(笑)
手鏡がマイブームの様相を呈した鏡の中の秀吉とか。いい面醸し出してますね。
所々で魅せる面相が本当に獣の様相を呈していたりと。
何やら珍獣の形相を呈していた木下秀吉。
演者は、西田敏行さん。
画像:NHK大河ドラマ『#おんな太閤記』第八回「小豆袋」 pic.twitter.com/MAunW53Gq3
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あと、個人的に気になったのは烏帽子頭の秀吉。
おそらく、ヅラを端折って烏帽子を直に被ったことで。西田敏行さんの地毛が露出したことに起因してか。木下秀吉の面相が何処となく「池中玄太80キロ」とかの現代劇を彷彿とさせた一幕。
画像:NHK大河ドラマ『#おんな太閤記』第八回「小豆袋」#おんな太閤記カメラ目線 #おんな太閤記クレジット pic.twitter.com/RvJYdaDysb
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烏帽子からはみ出ていた西田敏行さんの髪の毛について。当時、現代劇で披露していた長さっぽいよね。だから、この情景の西田敏行さんに関しては、やたらと違和感がありました。気のせいかもしれませんが。
気にならない道理がない新キャスト
新たな登場人物並びに演者についてご紹介します。
浅井長政:風間杜夫さん
浅井長政役で登場した風間杜夫さん。第八回の超目玉だったことが、尋常でない長台詞からも目に見えて明らか。かなり、作者からのウェルカムパーティーの様相を呈していましたからね(笑)おそらく、棒読みにならない程度に台詞を唱えるので必死だったんじゃないかな。面相表現にまで手というか、意識が回らなかったかもしれませんね。兎に角、終始あつい語り口調だった風間杜夫さん。あれくらいの長台詞をインストールするのって、その役になりきる意欲が長けていないと難しいかも。当時の風間杜夫さん、本当に素晴らしかったですね。
週刊おんな太閤記随想、第八回「小豆袋」
第八回「小豆袋」について、渡隅版のまとめ記事