NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十六回「秀吉蟄居」の全語りと選りすぐりの台詞をご紹介します。雪の小面ちゃんによる寸評付き(笑)
第十六回「秀吉蟄居」の概要
秀吉は、信長の命で上杉謙信と戦う柴田勝家を援護するため越前に出兵しますが、勝家と衝突して信長の許しもなく兵を引き上げて長浜に戻ってしまいます。秀吉がなぜ信長の命に背いたのか、ねねには分かりませんでした。信長は秀吉を打ち首にすると激怒しますが、ちっ居処分で済みます。すると、秀吉は毎晩酒宴を開き、信長の側近に付け届けをして金を使い果たします。それは、信長に盾つく気などないと証明するためでした。
クレジットタイトルツイート
NHK大河ドラマ『#おんな太閤記』第十六回「秀吉蟄居」
作:橋田壽賀子
音楽:坂田晃一
(中略)出演
1佐久間良子 2中村雅俊 3浅茅陽子 4尾藤イサオ 5津島恵子
連名G
中G:1藤岡弘 2長山藍子
連名G
トメG:1赤木春恵 2泉ピン子 3前田吟 4西田敏行
(後略)#おんな太閤記クレジット タイトル pic.twitter.com/eVyUrNIIdK— 渡る世間の片隅で (@watasumi_net) July 16, 2022
許せん、打ち首じゃ!
おのれ猿め!儂に盾突きおって!許せん、打ち首じゃ!即刻兵をやって、長浜をたたき潰せ!(信長)
筑前には筑前の言い分もござりましょう。一応、事情を御取調べの後。(武井夕庵?)
どう言い訳しようと、儂の命に背いたことには変わらないわ。猿とて覚悟でやったことであろう。謀反じゃ!謀反と同罪じゃ!容赦はせぬ!(信長)
それだけはなりませぬ!(武井夕庵?)
なりませぬ!(信長の侍従)
今は北国、畿内、中国に敵を控え、織田家重大の時にござります。秀吉ごときにかかずらわっておる場合ではございませぬ!(武井夕庵?)
なら、儂が行く!儂が行ってたたき斬ってやるわ!(信長)
殿!それはなりませぬ!殿!なりませぬぞ!(武井夕庵?)
字幕とか劇中に「武井夕庵」って表記してほしかったね。あとはあ「ええい、黙れ夕庵!」みたいに台詞で説明してくれるとか。クレジットタイトルに名前があったから、とりあえずは想像できたけど。もっとわかりやすく示唆してほしかったところ。
ちなみに、演者の多田幸男さんはNHKおしん出演者です
全て、秀吉殿の御裁量に
天正五年秋。秀吉の能登の戦線からの離脱は大きな波紋を呼んだ。信長の激しい気性は骨身にしみている。どんな処罰が下るか、長浜城内は重苦しい不安に押し包まれていた。(語り)
秀吉殿は何をしておるのじゃ!(小六)
のっけから小六が無駄にアツいぜ(笑)
いまだ、お休みの由にござります!(秀吉の侍従)
この大事な時に!(小六)
疲れておられるのであろう。帰城されてから泥のように眠っておられるそうじゃ。まあ、儂らが騒いだところでなるようにしかならぬ。御一同にはせっかく御登城いただいたが、今日のところは御引取願おう。(秀長)
金ヶ崎の退き口から美濃に戻った時、秀吉ファミリーが泥のように眠っていたよね
馬鹿を言うな!いつ何時、どのようなことがあるやもしれん!もし、理不尽な御沙汰があった時には、秀吉殿をお守りして戦う覚悟もできておる!(小六)
血気盛んの小六(笑)
小六殿!(秀長)
信長様に謀反なされるというのか?(浅野長政)
口調から性格から、小六とは真逆の存在
当たり前じゃ!信長連れにむざむざと秀吉殿を殺されてたまるか!いざという時は、この俺が信長の首を討ちとってやる!(小六)
色んな意味で小六は秀吉に惚れているんだね(笑)
そうじゃ!我ら一万の兵をもって当たれば、信長ごとき物の数ではないわ!(浅はかの武将)
誰だ御前は?名を名乗れ!
そうじゃそうじゃ!信長、討つべし!(他の浅はかの武将たち)
御前たちも名を名乗らんかい!
御静まり召されい!謀反などと穏やかでないことを口にされては、秀吉殿が迷惑されるだけじゃ!(秀長)
秀長が秀吉のナンバー2であることを橋田先生がアピール
しかし!(小六)
全て、秀吉殿の御裁量に御任せすればよい。秀吉殿がお決めになることじゃ。(秀長)
橋田先生が公の発言を意識されたのか。秀長が初めて兄者を「殿」と敬称した感じ。それも「様」ではなく。
ただ寝たふりをなすって
(笑)よう眠っておるわ。あれだけ寝ておれば案ずることはにゃあで。(なか)
秀吉殿は眠っておられませぬ。周りの者にとやかく言われるのが煩わしゅうて何も召し上がらずに、ただ寝たふりをなすってらっしゃるだけでございます。(ねね)
さすが、おかかじゃ。ねねさも見抜いておったか。(なか)
御義母様も?(ねね)
(笑)殊に女子(おなご)はうるさいでのう(なか)
ってことは、さっきの「よう眠っておるわ」は、ねねに対する「噓も方便」ってこと??
何を御考えになってらっしゃるのでございましょう?(ねね)
はあ、中村を捨ていでよかった。のう、ねねさ、中村へ去(い)のう。皆一緒に去のう。畑さえ耕しておれば、人らしい生き方ができるぞなも。(なか)
今回も「去ぬる」の台詞があって嬉しい
はあ、そのような暮らしに戻れることができたら(ねね)
おかか!旅の支度じゃ!おかか!(秀吉)
旅?あっ、御前様(ねね)
よう寝た(笑)疲れも取れた(秀吉)
旅の支度と仰いましたが、どちらに行かれます?(ねね)
安土よ(秀吉)
安土?(ねね)
信長様の御報告がまだじゃった。事の次第を御話せねばのう(笑)腹が減った。湯漬けも頼むぞ(笑)早うせえ。急ぐ。(秀吉)
はい(ねね)
今、安土へなど
お主が長浜におれば、我らとてお主を守って信長様と戦うこともできる。安土では手も足も出んではないか!(小六)
儂は信長様の御家来ぞ。どのようなことがあっても、信長様に盾突くようなことはせぬわ。(秀吉)
秀吉殿!(小六)
どうでも行くと言われるなら儂も行こう!すぐ手勢をそろえよう(小六)
供は要らん。戦に行くのではないぞ。(秀吉)
兎に角、秀吉とは逆の発想の小六(笑)
じゃがのう!(小六)
ここは兄者の思う通りに。ものものしゅう安土に乗り込んでは信長様の御気にも触れよう。かえって兄者の為にならん。のう。(秀長)
手ぬるいわ!(小六)
秀吉殿!(小六)
やや殿の御怒りはもっともじゃ
長政殿も信長様の御家臣でいればよかったものを。秀吉殿にお仕えしたばっかりに。(やや)
やや(浅野長政)
このようなことなら、子など産まれぬ方がよかったわ(やや)
やや!(ねね)
御姉様はええわ、御子がのうて。余計な心配をせずに済む。(やや)
やや、それは禁句でしょ
秀吉殿には秀吉殿の御考えがあって安土へ行かれたのじゃ。案ずることはない。必ず、首尾よう御戻りになれます。(ねね)
気休めを言うて何になる。秀吉殿は命を召されても当たり前のことをなされたのじゃ。じゃが秀吉殿は秀吉殿御一人の命ではない。秀吉殿を頼りにしている親類縁者、御家臣、その家族がいるということを秀吉殿は御考えになったことがあるのか?(やや)
やや、至って正論だよね
あったら御自分の意地の面目のというて、このような無謀なことはできぬはずじゃ(やや)
秀吉殿とて、そのようなことは。私が一番よく知っています(ねね)
なればどうしてこのような短慮なことをなされた。所詮、秀吉殿は十二万石の城主になどなる器ではなかったのよそれを思い上がったばっかりに我らもとんだ憂き目をみることになったわ(やや)
やや、ほんと早口。故に読点を入れなかったのは意図的(笑)
義姉様!(秀長)
言葉が過ぎるぞ、やや(長政)
長政、もっと動揺しろ(笑)
私が言わねば誰が言う。それとも、私の言うことは間違うているのか?(やや)
間違っていないけど、口が過ぎる
たとえ、姉、妹とて、秀吉殿のことを悪し様(あしざま)に言うことは許しませぬ(ねね)
秀吉をかばうのも、おかかの務め
のう、まあまあ、あの、皆がキリキリしたところで始まらぬではないか。久しぶりに揃うたんじゃ。酒でも飲んで。のう、秀長殿!(嘉助)
さあ、おじゃれ(やや)
やや(長政)
申し訳ございませぬ(長政)
私からも詫びを申します(ねね)
やや殿の御怒りはもっともじゃ。まっこと兄者は罪な御人よ(笑)嘉助殿、酒にするか。(秀長)
生まれも育ちも尾張中村の秀長がいつの間にか土佐弁を習得(笑)
やや(ねね)
御姉様(やや)
長浜で謹慎せよ
ようも図々しゅう。斬られに来たのか!ならば儂が斬ってやるわ!(信長)
筑前は御詫びに!供も連れずに参っております(武井夕庵?)
ならん!目通りは無用じゃ!斬れ!斬るのじゃ!儂の命に背いた罰じゃ!(信長)
蟄居(ちっきょ)じゃ!追って沙汰する!それまでは長浜で謹慎せよとの仰せじゃ(武井夕庵?)
結果的に夕庵が「親秀吉派」っぽい
どうやら亡霊ではない
兄者!(秀長)
戻った(秀吉)
秀吉殿!(家次)
(笑)どうやら亡霊ではないらしいわい(小六)
御無事で何よりでござった(家次)
よかったよかった!(小六)
目通りはかなわなんだ(秀吉)
何?
ならば?(小六)
蟄居じゃ。謹慎を仰せつけられた。しばらく長浜で昼寝でもしておれということじゃろうが(笑、秀吉)
御前様!ほんに夢のようじゃ。よう御戻りなされました。(ねね)
そうむざむざとは死なぬわ(笑)おかかをおいて死ねるはずがないではないか(秀吉)
はあ(ねね)
御湯殿の支度ができております(こほ)
分かっておるわ!呼ぶまで声をかけるな!(秀吉)
そう怒らずとも、ねねと仲良く御湯殿に浸かってこい
御前様(ねね)
御城の暮らしとは不自由じゃのう。足軽の時はよかった。おかかと二人きりでのう。十二万石は重いのう。さて、これからどうなるか。(秀吉)
いえ。御命さえあれば何とでも。(ねね)
同じく大河ドラマ『功名が辻』の「命、拾うたのう」的な
はあ。今はつながっている首ものう、いつどこで飛ぶやもしれぬわ(笑、秀吉)
御前様。私で御役に立つことがあったら私が安土へ参上して、信長様に御許し頂けるようお願いいたします。信長様には安土築城の折、御目通りいたしました。そのあとも、御心の籠った御文を頂戴いたしました。私なら御目通りかなうかもしれませぬ。私を安土へ。お願いいたします。(ねね)
橋田先生、視聴者の為におさらいの台詞
緊急事態の時には安土に行きたがる、ねね
おかか。儂はのう、信長様に御許しを頂けねばならぬようなことをした覚えはないわ。確かに儂の一存で兵を引いたのは主命に背いたことにはなろうが、それも儂が正しいと信じたからしたまでのことじゃ。(秀吉)
信長が怖いんじゃなかったの??
御前様(ねね)
儂が安土へ行ったのは詫びるためではない。信長様に儂の信じていることを申し上げとうて行ったまでのことじゃ。お分かりいただけずば、それはそれでよい。儂の武運がなかったまでのことよ。己の信じていることを通して果てるならば本望じゃ。(秀吉)
全然、信長のことを怖がってないし(笑)
申し訳ございませんでした。女子(おなご)の身で差し出がましいことを。許してくだされ。(ねね)
おかか。おかかにも苦労をかけるのう。(秀吉)
いえ、案じることはございません。御前様の御心を伺って、私の気持ちも晴れました。どんなことがあってももう、ねねは黙って御前様についてまいります。(ねね)
いや、黙る必要はないと思うよ。秀吉がやりたい放題になるだけだから。
このような時にこそ
(笑)姫、お父(とう)は休みじゃ。これからずっと姫のそばにおられるぞ。皆とも一緒に遊んでやれるぞ。(秀吉)
はい!(孫七郎たち)
相変わらず呑気(のんき)者よのう。明日をも知れぬというのに。(きい)
城に入り浸うてばかりおらずと、少しはうちに帰って亭主殿の面倒も見てやれ(秀吉)
この点に関しては、秀吉の言う通りかも(笑)
我らはそなたのことを案じて(とも)
(笑)亭主殿を大事にするのも今のうちだけだぞ。せっかくの休みではないか。せいぜい、おかからしゅうつとめてやらねばのう(秀吉)
何が休みじゃ。人の気も知らで。兄さのおかげでみんな、生きた心地はせぬわ。(きい)
子供はかわいい。うるさいことは言わぬ。のう。何よりも慰められるわ(笑、秀吉)
(ともやきいのように)うるさいことは言わぬ
今宵は大勢の方をお招きしてございます(ねね)
おう(秀吉)
このところ連日、御前様を案じて、城下の町人どもが見舞うてくれておりました。その御礼にと酒宴を。皆様、喜んで来てくださるそうでございます。(ねね)
このような時に酒を飲んで大騒ぎをするというのか(とも)
ねねや秀吉に対抗する意見を橋田先生が、ともに言わせる
くよくよしておりましても、なるようにしかなりませぬ。このような時にこそ、お遊びなされませ。気晴らしになりましょう。(ねね)
こうした道理を分かっている女子が奥さんだと有難いよね
おかか、よう言うてくれた!蟄居中は戦に出ることもない。長浜から外へ出ることもかなわぬ。というて、儂は田舎者じゃ。気の利いた手遊び(てすさび)も知らぬ(笑)このような時は飲んで騒ぐのが一番じゃ!
兄さ!(きい)
おかか!おかかは三国一のおかかじゃ!儂はええおかかをもろうた!おっ母さ、儂は果報者じゃのう(笑)それはええ考えじゃ。ええ考えじゃ!ええ考えじゃ!(秀吉)
こうした台詞も新婚以来かな
銭をどぶへ捨てる
ところが、大宴会はこの一夜だけでは済まなかった。来る日も来る日も、秀吉は何かと名目をつけて色んな客を招待し、飲めや歌えの大騒ぎが続けられたのである。(語り)
流石のねねもびっくりした。もっと驚いたのは、羽柴家の財政を預かる家次である。(語り)
儂から秀吉殿に申し上げても「馬の耳に念仏」じゃ。少し、ねね殿から御諫め申し上げてくだされ。あれではまるで、銭をどぶへ捨てるようなものじゃ。(家次)
儂も言うてみたが知らぬ顔じゃ。いくら蟄居中のつれづれとはいえ、ちと度が過ぎます。(秀長)
おお。おかかがおらぬと思うたら、朝っぱらから評定か?(笑、秀吉)
兄者、もう昼じゃ(秀長)
ああ、夕べもよう飲んだで(秀吉)
御目覚めでございましたか(ねね)
ああ。今宵は誰の配下が集まる?日頃、目の届かぬ足軽どもと親しゅう酒を酌み交わせるのも蟄居のおかげよのう(笑)せいぜい、こういう時には振る舞うといてやらねばのう(秀吉)
兄者、足軽どもを慈しむのもええがのう、こう毎晩では(秀長)
また説教か?銭が何じゃ!(秀吉)
しかし、いざという時の為に無駄な出費はお控えくださらねば(家次)
戦に出ることもないのに何を蓄えることがある(秀吉)
御前様(ねね)
慰みに酒宴を張れと言うたのは、おかかじゃぞ(秀吉)
みつにございます。みつにございます!(みつ)
うん?おお、みつ(秀吉)
松永久秀、久通親子が謀反にございます(みつ)
何!松永久秀が謀反じゃ?(秀吉)
久秀を誰が討つのじゃ。柴田勝家、滝川一益、丹羽長秀、そして前田利家、佐々成政は越前に、明智光秀は丹波に。めぼしい武将はみんな出陣中じゃ。信長様もまさかと思うておられるであろうが、誰もおらぬではないか!(小六)
儂には関わりのないことじゃ。儂は謹慎中ぞ。(秀吉)
このような時に秀吉殿が使われぬ法はない!(小六)
御手本のような、法はない(笑)
儂は殿の御勘気に触れた男じゃ。高みの見物よ(笑)家次殿(秀吉)
はっ(家次)
こう、方々で戦では信長様も御側近の方々も大変なことじゃろう。見舞いじゃ。ありったけの銭をばらまいてくれぬか。(秀吉)
ええっ!(家次)
家次の否定的なリアクションがストレートに(笑)
(笑)戦をせぬ身には蓄えなど無用じゃ。できるだけ気前ようにのう(笑、秀吉)
秀吉殿!お主、乱心したか!(小六)
戦をせぬというても、お主にもし万一の御沙汰があった場合には、我々はお主を守って戦わねばならん。軍資金がのうては戦はできんではないか。(小六)
だから、戦ができないことをアピールしたいんだって。小六たちの物分かりの悪さ、少々無理があったかも。橋田先生ったら(笑)
十二万石は儂のものじゃ!儂がどのように使おうと誰の指図も受けぬわ!(秀吉)
御前様!(ねね)
(笑)信長様の御側近に銭をばらまいておけば、信長様に上手うとりなしてくれるやもしれぬぞ(秀吉)
秀吉の台詞が結構な種明かしになってると思うんだけどね
お主、そのようなさもしい根性で!(小六)
橋田先生が小六の単細胞を表現して止まない(笑)
おう。それで首がつながるのであれば安いものよ(笑)銭はのう、使う時にパーっと使わねばのう(笑、秀吉)
いい加減、秀吉の策に気づいてあげてよ。分かりやすいでしょ、この台詞も。
裸になること
御前様。御前様の気持ちは私もよう。ただ、家次殿や小六殿が御案じなさることも少しは御考えなさいませ。(ねね)
おかか。儂が今、銭を使うておるのはのう、儂の身や儂の家臣たちを守るためよ。儂が銭を持っておってはのう、危ない。(秀吉)
え(ねね)
信長様は猜疑心の深い御方じゃ。儂に謀反の心あると思われるやもしれぬ。現に小六のような男もおる。ここはどうでも儂に謀反の心などないということを分かっていただかねばのう。はあ、そのためには裸になることよ。(秀吉)
小六が秀吉の災いに(笑)
信長への謀反の心がないことを示すために銭をどぶに捨てる
そういえば、乙羽おしんも何かあると丸裸からのリスタートを唱えていたよね(笑)
軍資金がなくば戦はできまいて。それ故、派手に使うて御見せしておるのよ。(秀吉)
まあ(ねね)
秀吉は毎夜、酒盛りを開いて遊びほうけておると噂が立てば結構(笑)側近に銭をばらまけば、すぐさま信長様の御耳にも入ろうて。それがつけめよ。(秀吉)
御前様(ねね)
やっと秀吉の真意を把握した、ねね(笑)橋田先生の説明が丁寧過ぎてくどい
家次殿や小六殿には内緒じゃぞ。信長様に頭の上がらぬ臆病者よと馬鹿にされるのがオチよ。じゃがのう、天下の為にも今は信長様の御力になることが儂の役目じゃ。どうでも信長様に天下統一を果たしていただかねば、戦乱の世は終わらぬわ。そのための辛抱じゃ。(秀吉)
むしろ、信長に頭が上がらないのは配下として当たり前。故に、内緒じゃぞ、あたりの台詞は端折ってもよかったかな。説得力に欠けるので。
御前様(ねね)
家次殿や小六殿にもいずれは分かっていただける時が来よう。のう。(秀吉)
御前様!御好きなだけ銭を御使いなさいませ。こういう時にこそ、下の者に振る舞うのが後々励みになりましょう。銭を惜しまず、私も馳走などを手配いたします。(ねね)
おかか、急に気が大きゅうなったのう(秀吉)
もう今まで、かかりを始末するのが、おかかの務めと苦労してまいりました。でも、もう何の心配ものう、思い切ってパーッと銭を使ってしまいましょう。(ねね)
(笑!)おかか(秀吉)
休めるうちは休んでおけ
家中の不安と動揺をよそに、相変わらず夜毎、宴会が開かれ、家次たちの反対を押して、信長やその側近たちに惜しげもなく付け届けが贈られていた。が、一向に信長からは何の沙汰もなかった。(語り)
御家中では、秀吉殿が乱心された案じておる者さえある。父上も心を痛めておられるわ。御姉様はよう黙っておられるのう。(やや)
御方様から是非、殿に(浅野長政)
御姉様しか言う御人はおらぬ!(やや)
女子(おなご)には差し出がましいことは申し上げられぬ(ねね)
御姉様!(やや)
せっかくじゃが、私にはできませぬ(ねね)
まあ!参りましょう、長政殿(やや)
仲秋十三夜の月をめで
八月十四日、能登七尾城が上杉謙信の手に落ちましてございます(みつ)
うん?とうとう落ちたか。これで能登は上杉謙信のものとなったのう。柴田勝家はじめ、あれほどの武将が越前へ出陣しながら、むざむざ謙信に敗れてしまうとは。よほどの男よのう、謙信は。(秀吉)
七尾城攻めの前夜、謙信は城外の陣中にて、仲秋十三夜の月をめで、能登一国を手中に収める胸中をこの歌に託した由にございます。(みつ)
霜は軍営に満ちて秋気清し
数行の過雁月三更
越山あわせ得たり能州の景
さもあらばあれ家郷遠征を憶う
(秀吉朗読)
秀吉が漢詩を朗読した!
しもはぐんえいにみちて しゅうききよし
すうこうのかがん つきさんこう
えつざんあわせえたり のうしゅうのけい
さもあらばあれ かきょうの えんせいをおもオを
「越山あわせ得たり能州の景 さもあらばあれ家郷遠征を憶う」。ほう、これが上杉謙信という男か(笑)勝家風情では、とても太刀打ちできる相手ではないわ(笑)信長様も、情けない御家来を持たれたものよのう。これでは、いよいよ越前も危ないのう。(秀吉)
謙信公がこしらえた漢詩から秀吉が悟った!
間もなく北国は雪になります。恐らく、明春の雪解けを待って越前を侵すやに思われます。(みつ)
北国の総大将、柴田勝家もそれまでの命か(笑)畿内の動静は?(秀吉)
秀吉が何となく「機動戦士ガンダム」のコンスコン隊とホワイトベースの戦いをサイド6で高みの見物してるシャアみたいで(笑)
大和信貴山城の松永久秀といまだ苦戦中にございます(みつ)
何?まだ終わらぬのか。信長様は何をしておられるのじゃ。久秀ごときに手を焼かれるとは。(秀吉)
播磨の別所長治にも不穏な動きが(みつ)
それでいて、しのが長治の御内室の侍女になってるから。橋田先生の計算通り(笑)
あれほど信長様の御味方をすると誓うたものを!誰も彼も信長様の足元を見よって(秀吉)
このまま放っておいては、播磨での秀吉様の御苦労が水の泡になりましょう(みつ)
(笑)儂にはもう関わりのないことじゃ。儂は蟄居中の身ぞ(笑、秀吉)
高笑いはしているが、信長の戦局が捗々(はかばか)しくないのをイライラして気遣っている秀吉の胸中が、ねねには痛いように分かっていた(語り)
信長様の御沙汰
が、それから間もなく(語り)
兄者!信長様の火急の使者じゃ(秀長)
いよいよ信長様の御沙汰が(ねね)
うむ。お豪、ちょっと待っておれ。(秀吉)
おかか!出陣じゃ。戦じゃ。(秀吉)
御前様(ねね)
大和信貴山城の松永久秀を討てと信長様よりの御命令じゃ。案の定よのう、儂が出て行かねば誰も久秀を討つ者などおらぬわ。(秀吉)
では蟄居は?(ねね)
休みは終わりじゃ(秀吉)
じゃあ、信長様の御勘気も?(ねね)
解けた。当り前よ(笑)秀長、儂が勝家の言いなりになってのう、越前でウロウロしてればどうなった。ああ?他の武将は皆、越前に釘付け。誰も久秀を討つ者などおらぬではないか。大和、摂津、紀州が不穏な時、こういう事態もあろうかと兵を返しておいたのよ(笑)信長様にもようやっと、それがお分かりいただけたと見えるわ。(秀吉)
おめでとうございます(ねね)
おめでとうございます!(小姓一同)
小姓時代の清正と正則が三成を挟んで仲良く一列に並び首(こうべ)を垂れて(笑)
何より目出度い御出陣、祝着至極に存じまする(こほ)
うむ。皆にも苦労をかけたのう。(秀吉)
おっ母さあ、喜んでくだされ(秀吉)
また戦か。今度はひょっとしてみんなで中村へ戻れるかと思うておったのにのう。(なか)
まあ、なかが喜ぶ道理はないだろうね(笑)
(笑)おっ母さあ(秀吉)
これでまた、ねねさの苦労が続くのじゃ(なか)
おかか、留守を頼むぞ(秀吉)
はい。どうぞ御心おきのう。(ねね)
千宗易殿に会うのじゃ
毛利攻めは、まず播磨の三木城から(信長)
秀吉の出陣により、松永久秀親子は信貴山城において自害して果て、その波乱の一生を閉じた(語り)
秀吉、命に代えましても、必ずや落として御覧にいれます(秀吉)
無事、責務を果たした秀吉には、息つく暇もなく大仕事が待っていた(語り)
すぐに播磨に立つ。兵を京に待機させてある。やっと本腰を入れて中国攻めができる時が来た。越前へ駆り出されたりして、とんだ回り道をしたがのう、これで信長様も御心を決められたと見える。今度は長うなるぞ。しばらくは帰ってこれん。覚悟してくれ。(秀吉)
どう工面してみても、とても無理じゃ(秀長)
秀吉殿が御蟄居の間の御散財。中国攻めの軍資金など、あろう道理がござらぬわ。こういうこともあろうかと、儂も御諫め申したのじゃ。(家次)
銭がないのは分かっておるわ。長浜十二万石の蔵が空っぽになった故、信長様の御勘気も解けたのよ。なくば才覚すればええことじゃ。のう(笑、秀吉)
武器も調達せねばならん。人も養わねばなりませぬ。その他諸々、どれほどのものが要ると御思いになります。そのような莫大なものをどこで。(家次)
秀長、堺へ立て(秀吉)
はっ?(秀長)
千宗易殿に会うのじゃ。儂からじゃと言えば、何とか都合してくれるやもしれぬ。お主の腕、一つぞ。(笑、秀吉)
千宗易とはどんな人なのだろうか。果たしてそれだけのものを融通してくれるのだろうか。千宗易、後の利休である。(語り)
十二万石の秀吉は、五千からの軍団を持っていたという。が、今それを動かす軍資金もなく秀吉は中国攻めに。(語り)
次回に続く
再放送当日、渡隅ツイート
週刊おんな太閤記随想、第十六回「秀吉蟄居」
第十六回「秀吉蟄居」について、渡隅版のまとめ記事