NHKおんな太閤記、第十七回「乙御前の茶釜」気にならない道理がない台詞と語り

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十七回「乙御前の茶釜」

 

NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十七回「乙御前の茶釜」の全語りと選りすぐりの台詞をご紹介します。雪の小面ちゃんによる寸評付き(笑)

ネタバレ、御免!

 

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第十七回「乙御前の茶釜」の概要

天正5年(1577)、秀吉は謀反を起こした松永久秀を滅ぼし、中国攻略を押し進めます。三木城主・別所長治が調略に応じ、秀長は三木城で侍女になっていたしのと再会します。その年の暮れ、信長はねねの内助の功をねぎらう宴席を設けて、秘蔵の乙御前(おとごぜ)の茶釜を秀吉に与え、茶会を開くことを許します。その宴席でねねは信長の四男・於次(おつぎ)丸と出会い、羽柴の跡継ぎにしたいと信長に願い出ます。

大河ドラマ おんな太閤記(たいこうき) 第17回 乙御前(おとごぜ)の茶釜 −NHKオンデマンド
月額990円(税込)でNHKの名作見放題!信長はねねをねぎらう宴席で、秀吉に乙御前(おとごぜ)の茶釜を与えて、茶会を開くことを許します。ねねは信長の四男・於次(おつぎ)丸を羽柴の跡継ぎにと願い出ます。

クレジットタイトルツイート

 

千宗易に借金してこい

進めー!(秀吉)

天正五年十月。松永久秀を大和信貴山城に滅ぼして、一応畿内の情勢が安定すると、秀吉は信長の命令で息つく暇もなく播磨へ入った。いよいよ中国攻めである。その資金調達の任を負って、秀長は堺へ向かった。千宗易に借金してこいというのである。(語り)

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十七回「乙御前の茶釜」

 

千宗易という御方はどのような方でございましょう(ねね)

堺の納屋衆にて、南蛮辺りと手広う商いを致しておる豪商と聞いております。また、茶の湯の道を究め、信長様の御信頼を受けておられると聞き及んでおります。(家次)

信長様が茶の湯とやらを深く愛しておられることは私も伺っております。でも、そのような方が秀吉殿に御用立てくださるのでございましょうか。(ねね)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

橋田先生が、ねねと家次の会話を通して利休の概要をさらっと説明した第十七回の導入場面

 

秀長と千宗易

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十七回「乙御前の茶釜」

 

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

秀長の名代として千宗易に対面した秀長。秀吉が蟄居中に信長の勘気を解くために銭を使い果たしたことを説明。そして。

おかげをもちまして信長様の御勘気も解け、播磨出陣と相なりましたが、さしあたって、備えに入り用な物にも事欠く始末。御迷惑とは承知、こうやってお願いに上がった仕儀にございます。(秀長)

なるほど。流石の筑前殿もお困りでございましょう。(千宗易)

此度の出陣には、播磨一国切り取り勝手との御許しを信長様より頂いております。(秀長)

ほう。それでは筑前殿は北近江のほかに播磨をも領せられる大大名におなりなされるのでございますな。(千宗易)

長台詞注意報!

とはいうても、後ろに毛利の控えておること。先のことはどうなることやら分かりませぬ。もしもの場合、返済おぼつかぬ仕儀になりかねませぬ。その時の為にこれを持参致しました。商人(あきんど)の間では貸し借りの折、必ずそれに見合う抵当(かた)というものを入れるのが習わしと聞いておりますが、長浜十二万石というても、信長様より御預りしておりますもの。播磨とて見通しはつかず、今の筑前は裸同様、めぼしいものとてございませぬ。それゆえ、思いあぐねまして。(秀長)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

別に羽柴家は商人ではないから、無理して商人の習わしに合わせる必要があるのかな。むしろ、商人が安全に商うことができるかどうかは統治次第。堺って、信長が上京したあたりから信長が統治してる感じだったよね。現実的には、もっと強気に出てもよかった状況だったかも。

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十七回「乙御前の茶釜」

 

貴方様の御命を借金の抵当(かた)になさるとおっしゃいますか(千宗易)

はい。お返しできぬ仕儀に相なりました時には、せめて御詫びに腹かき切って相果てる所存にございます。(秀長)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

秀長も武士らしいことをほのめかすようになったものよのう。じゃがのう、ここで腹切りの話とか(笑)多かれ少なかれ、話が滑稽の様相にも。

よろしゅうございましょう。貴方様の御命と引き換えなれば、宗易、これほどの銭惜しいとは思いませぬ。(千宗易)

それでは!(秀長)

銭は惜しゅうございませぬ。しかし、貴方様の御命を頂くのは誠に惜しゅうございます。貴方様には末永う生きていただいて、宗易、親しく御付き合いをさせていただきとうございますな。いやあ(笑)勝ち戦をお祈り致しております(千宗易)

宗易殿(秀長)

いや、それにしても筑前殿は立派な弟御をお持ちじゃ。筑前殿に貴方様がおいでになる限り、御武運の尽きることはございますまい。(千宗易)

秀長と千宗易との親交は、秀長が世を去るまで続いた。二人の協力が秀吉の天下統一に、またその後の治政に大きな役割を果たすことになるのである。(語り)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

秀吉の安泰は秀長次第。そういった史実的伏線を利休を通して橋田先生が表現したかった一幕にも。

 

人殺しは人殺し

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十七回「乙御前の茶釜」

 

人に銭まで借りて戦をするなど戯けた話を(なか)

どう言うてみたところで人殺しは人殺しよのう(なか)

秀吉殿は無益な殺生はなさいませぬ。人を斬るのは嫌じゃといつお言うておられます。あっ、まあ。これは御言葉を返すようなことを申しまして、御許しくださいまし。私とて御義母様と同じ気持ちでおります。早う戦のない世の中が来てほしい、ただそれだけを。(ねね)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

これも史実的伏線なのかな?独裁者は無益の殺生をなさる。人を斬るのは嫌でなくなる。天下人になった後の秀吉の性(さが)

ねねの言う通り、秀吉はできる限り、武力に訴えることを避け、外交手腕で播磨一国を勢力下に置こうと努力していた。前々からの調略が実り、人質を出して服従を誓った諸将のうちに、播磨で最も力のあった三木城主、別所長治がいた。(語り)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

橋田先生によってキーパーソンの様相を呈してきた別所長治

 

ここは敵中も同じ

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十七回「乙御前の茶釜」

 

此度は長治殿の御尽力により、播磨の諸豪族、ことごとく信長様の御味方することに相なり申した。これも長治殿が早速(さそく)に御同心くだされたおかげじゃ。(秀吉)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

さそく

身に余る御言葉。我ら、かねてより信長殿の御威光に心服仕っておりました。今後、信長殿には別所の家名に懸けて、二心無きよう、忠節を尽くす所存にございます。(別所長治)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

あなたの言葉、視聴者の大多数は信用していません(笑)

この三木城はなかなか堅固なものよのう。もし長治殿に背かれたら、この秀吉、さぞ難渋したであろうのう。(秀吉)

さようでございますな。いかな筑前殿でも一年や二年では落ちますまい。(官兵衛)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

白々しい橋田先生からの史実的伏線が(笑)わざわざ三木城内で言う台詞ではない

無事、播磨を治められた祝いにと支度致させましてございます(長治)

ほう!これはこれは、重ね重ねの御厚志、かたじけのうござる(秀吉)

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十七回「乙御前の茶釜」

 

いかがなされた(官兵衛)

いや、ちと酒を過ごしました故、風に吹かれておりました。お気遣いくだされますな。(秀長)

御油断召されるな。たとえ臣従したというても、ここは敵中も同じ。心を許してはなりませんぞ。いや、秀吉殿は肝の太い御仁よ。人質を取ったとはいえ、この三木城ではいつ首を取られても不思議はない。酒に酔うてなどおられる時ではないものを。(官兵衛)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

こうした官兵衛ね、しっかり橋田先生が表現してきた印象

(笑)それが兄者の手よ。相手に心を許したところを見せねば、相手とて心を許しはしますまい。(秀長)

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十七回「乙御前の茶釜」

 

長台詞注意報!

捜したぞ、しの殿。長治殿の御内室に侍女として上がったのは聞いたが、この城の中で会うこともかなわず。(秀長)

しのはもう、御目にかからぬと心に決めておりました。失礼いたします。(しの)

しの殿!必ず迎えに来る。誰に心を遣うこともない。その時は儂の所へ来てくれ。こうして巡り会えたのも儂の思いが通じたからじゃ。儂は諦めぬ。それだけは忘れずにいてほしい。長浜では義姉様やおっ母様が、しの殿を迎えに行ってくだされた。しかし、その時は、しの殿はもう播磨へ立った後じゃった。義姉様のその心を無にしてはならん。それも伝えたかった。必ず、必ず待っていてくれ。(秀長)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

言うよねー、秀長(笑)だったら、あの時、琵琶湖まで突っ走れよ

播磨を手中に入れると、秀吉は但馬にも兵を進めて岩洲城を攻め、更に竹田城をも攻略して秀長を竹田城の城代として守らせた。一城を預かった秀長は、また、しのと会う機会を失ってしまった。それはまるで、しのとのことを察した秀吉のたくらみのように秀長には思えた。(語り)

ねねさの御身内が大事

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十七回「乙御前の茶釜」

 

その年の暮れも押し詰まった頃、突然秀吉が長浜へ帰ってきた(語り)

いや、安土でのう、信長様に御目にかかる。播磨のことをご報告がてら、御祝いに参上する。信長様がのう、右大臣になられてのう。目出度いことよのう。おっ母様、たんと土産を持ってきたぞ。姉様も、それから、きいにものう。(秀吉)

で、安土へはいつ?(ねね)

明日じゃ(秀吉)

まあ、慌ただしいことでございますな(ねね)

信長様がのう、おかかも一緒にと仰せられてのう(笑)おお、やや殿(秀吉)

御久しゅうございます。ちと所用がありまして伺うとりました。(やや)

ああ、ちょうどよかった。使いをやるところじゃった。やや殿ものう、一緒に安土へおじゃれ。長政が安土に来ておる。(秀吉)

まことでございますか?(やや)

何じゃ、長政殿は安土へ御供で、弥助殿と嘉助さは播磨へ置き去りか(きい)

長政は儂の側近ぞ。安土で何かと用を足してもらわねばならんのよ。(秀吉)

嘉助さとて、一生懸命御勤めに励んでおるのじゃ。兄さのそばに置いてはもらえぬのか?(きい)

きいよ、少しは藤吉郎の身にもなってやれ。播磨には他の御家来衆も大勢残っていなさる。藤吉郎とて我が身内ばかり連れ戻るわけにはまいらんではないか。(なか)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

なかが秀吉をかばった台詞、これが初めてかも!

藤吉郎はのう、ねねさの御身内が大事なだけのことじゃ(とも)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

こうした、ともは本当に質が悪い。口を慎むことができない故に。

姉さ(秀吉)

そうではないか。その証拠に藤吉郎の側近は皆、ねねさの御身内ばかりではないか。我らの身内は小一郎も嘉助さも弥助殿も皆、戦にばかり駆り出されて。(とも)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

ともの「そうではないか」の言い方が強烈(笑)

姉さ!いくら姉さでも、言うていいことと悪いことがあろうが(秀吉)

御前様、さあ湯に浸こうておいでなさいませ(ねね)

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十七回「乙御前の茶釜」

 

奥のことは私にお任せくださいまし(ねね)

おかかも苦労じゃのう(秀吉)

いいえ。とも様の御気持ちもよう分かります。あのようなことを気にしておりましたら、秀吉殿のおかかは務まりませぬ。(ねね)

面白くないのは道理

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十七回「乙御前の茶釜」

 

やや。此度の安土行きは思いとどまってくれぬか?惨いことは承知じゃ。長政殿にも会わせてやりたいことはやまやまじゃ。じゃが、とも様やきい様の手前それはできぬ。してはならぬのじゃ。(ねね)

御姉様もお止めになるのか?(やや)

私はおかかとしての務めがある(ねね)

ならば私も(やや)

長台詞注意報!

はあ、ややは婿殿をもろうた。長政殿の御身内への心遣いというものを知らぬ。じゃがのう、嫁に来て連れ合いの身内と一緒に暮らすには、それだけの気配りがのうては、おかかとしては務まらぬ。この通りじゃ。奥で波風が立つようなことがあっては秀吉殿に申し訳が立たぬ。弥助殿や嘉助殿が御帰りにならんのに、ややだけが安土へ行ったら、とも様やきい様が面白くないのは道理じゃ。ややが行かずとなれば納得もしよう。私とて辛い。腹も立とう。じゃが、私の立場も考えておくれ。(ねね)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

小姑ネタは橋田先生の実体験が反映された可能性が高い

御姉様は御気の毒な御方じゃ。十二万石の御方様ともなれば、好き気ままに暮らせるものと思っていたが。御姉様の為なら安土行きも諦めねばなるまい(笑、やや)

やや殿も因果なことよ

姫ともしばらくもう会えぬのう。今度は母様と姫路へ顔を見せてくだされ。のう(笑)孫七郎。お主は羽柴の家の子たちの柱じゃ。松壽丸殿や小吉や姫と仲ようにのう。頼んだぞ。(秀吉)

しばらく身勝手を致します故、留守をお願いいたします(ねね)

やや殿は行かれぬそうな?(きい)

あっ、ややには子が居ります。この度は遠慮するそうでございます。(ねね)

やや殿も因果なことよのう。藤吉郎のおかかを姉さに持ったばっかりに、いらん気を遣わねばならんわ。(なか)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

姉の小姑が厄介だったことを際立たせる姉の姑の一言(笑)

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十七回「乙御前の茶釜」

 

筑前にも茶の湯を許そう

ねねは秀吉と共に安土へ向かった。朝廷から右大臣に任ぜられた信長に、その時献上した祝いの品々の行列は、その先頭が安土城の玄関に着いても、殿(しんがり)はまだ場外はるかかなたにあったと伝えられるほど、希有壮大なものだったという。秀吉には、よほど信長の勘気に触れたのがこたえ、それを許してもらえたのが嬉しかったのであろう。電光石火の早業で播磨を平定したのも、信長の信用を回復したい一念の頑張りだったといえよう。この安土参内は、秀吉の人生にとって大きな一つの節目であった。(語り)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

長い語りだなー(笑)まあ、こんな説明とか、演者が負わされても大変ではない道理がない

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十七回「乙御前の茶釜」

 

播磨、但馬における筑前の働き、格別であった(信長)

じゃが、今日の酒宴は筑前の為に催したのではない。今日はねね、そちの労をねぎらうための酒宴ぞ。これまでの筑前の数々の働きも、陰でねねが支えていたからこそ、後顧の憂いも無う、存分に務めを励むこともできたのじゃ。ねねの力を忘れてはならん。(信長)

うむ。それでこそ、ねねじゃ。於次。ねね殿に杯を取らせい。(信長)

儂の四男坊、於次丸じゃ(信長)

かたじけのうございます。なんと御利発そうな。(ねね)

そなたにも今度の播磨、但馬の計略の褒美としてこれを遣わそう。乙御前(おとごぜ)の釜じゃ。今後、筑前にも茶の湯を許そうぞ。(信長)

重ね重ねの御厚情、筑前、身に余る幸せにござります(秀吉)

筑前の忠勤、織田の武将多しといえども、右に出る者はおらぬわ。一同、よう聞け!侍ほどの者は、この筑前にあやかるがよい。(信長)

どうして茶の湯がそれほど

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十七回「乙御前の茶釜」

 

とうとう儂もこのような立派なものを信長様より頂けるようになった。おかか。これは、おかかがもろうてくれたようなものよのう。(秀吉)

ねねのようなおかかを持って、儂は日本一の果報者じゃ亭主を生かすも殺すもおかか次第とはよう言うたものよのう(笑、秀吉)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

逆も然りだけどね(笑)

私は御前様に偉うなっていただきとうとも、栄耀栄華をしたいとも思っておりませぬ。ただ、御前様には御前様の思う通りに御勤めに励んでくだされば、それだけでと。(ねね)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

栄耀栄華の台詞、久しぶり

おかか。おかかのそのような気持ちがのう、儂を今の儂にしてくれたのじゃ。礼を言うぞ。(秀吉)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

自由にやらせてもらって、ねねに対して秀吉が感謝してるみたいね

まあ、御前様。でも、どうしてこのような釜がそれほど有難い。(ねね)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

橋田先生の突っつきが始まった

触れるな!(秀吉)

あっ!えっ(ねね)

いや、大事に大事に扱わねば(秀吉)

私には分かりませぬ(ねね)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

兎に角、茶の湯を大事にすることが滑稽だと橋田先生が表現したかったみたい

乙御前の茶釜というのはのう、世に聞こえた名器じゃ。信長様秘蔵の茶釜じゃ。儂もこのようなものを頂いて、とうとう茶の会を催すことができるまでになった。大したものよのう。(秀吉)

茶の会を開くことが、それほど御出世なのでございますか?(ねね)

当り前よ。御許しを頂いている武将も数えるほどしかおらぬわ。儂もその一人に加えられたのじゃ。もう、押しも押されもせぬ信長様一の家来じゃ。柴田勝家、丹羽長秀、明智光秀とも肩を並べる家臣じゃ(笑)前田利家とて御許しいただいておらぬものを儂はとうとう許された。(秀吉)

ただ、茶をたてることがでございますか?(ねね)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

橋田先生が茶の湯を馬鹿にしている様相にも(笑)

そうじゃ(秀吉)

どうして茶の湯がそれほど(ねね)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

しつこいよね、橋田先生(笑)

茶の湯というものはのう(秀吉)

はい(ねね)

つまり、いや、おかかに話しても分からぬわ。実はのう、儂もよう茶の湯のことは分からんのよ。要は、信長様が大事にされておるものは、我らにとっても大事じゃということじゃ。(秀吉)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

その発想、ある意味で企業戦士としては大事かもね

あー、難しい話はもうやめじゃ!せっかくおかかと二人きりになったのではないか。さあさあ、おかかも飲め。(秀吉)

はい(ねね)

長浜ではこうはいかぬぞ。周りにうるさいのがおるからのう。(秀吉)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

無論、小姑のことね(笑)

信長様は子福者でおられます。何故、私たちは。(ねね)

言うても詮ないことよ。おお、酒がないわ。(秀吉)

於次丸様の愛らしいこと。あのような御子が私たちにおりましたら。私に杯を下された時のあの御優しい御顔が。あ、言うても詮ないこと。お酒は私が申しつけてまいりましょう。(ねね)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

愛らしいというよりも、凛々しい感じだったよね

 

一世一代の賭けじゃ

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十七回「乙御前の茶釜」

 

おかかは於次丸様が気に入ったと見えるのう(秀吉)

はい。良い御子でおられます。(ねね)

ならば、我らに頂けぬかどうかお願いしてみるか(秀吉)

御前様!(ねね)

おかかは信長様の覚えが目出度い。おかかがお願いすれば下さるやもしれぬぞ。(秀吉)

まあ、御冗談にもそのようなことを(ねね)

いや、真面目じゃ。於次丸様は名もない側女(そばめ)との間におできになった御子と聞いておる。(秀吉)

信長様はのう、次男の信雄(のぶかつ)様を伊勢の北畠殿へ、三男の信孝様を神戸(かんべ)殿へ、それぞれ猶子(ゆうし)に出されて、北畠、神戸を継がせておられる。於次丸様とて。(秀吉)

北畠様や神戸様は代々の御城主。信長様が御味方につけられるためになさったということを伺っております。足軽からお仕えなされた御前様とは違います。(ねね)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

味方というよりも、名家をのっとった様相にも

それは御願いしてみねば分からぬではないか(秀吉)

儂ものう、於次丸様のような御子が欲しい。世継ぎに欲しい。愛らしい御子じゃ。ええ御子じゃ。のう。昨日は信長様がおかかのために設けてくだされた酒宴じゃ。その御礼に伺わねばなるまい。その折に。のう。一世一代の賭けじゃ。のう、お願いしてみい。(秀吉)

そちに於次を遣わそう

結局、ねねは再び安土城へ参上した(語り)

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十七回「乙御前の茶釜」

 

おお、わざわざ礼に来てくれたそうな。大儀じゃ。(信長)

於次丸様にも御礼が申し上げとうて。これは私が選びました品でございます。どうぞ於次丸様に。(ねね)

於次にまで気を遣うてくれたのか(笑)筑前の子は大きゅうなったか?秀勝とかいうたな。(信長)

秀勝は昨年、急な病にて身まかりましてございます(ねね)

なんと。せっかくの世継ぎをのう(信長)

はい。長浜もまた寂しゅうなりました。先日、於次丸様に御目にかかりました折、秀勝のことを思い出しました。他の女子(おなご)の子どもでも、そばにおりましたら情けの移るものでございます。(ねね)

さもあろう。そちも辛かろう。(信長)

於次丸様のようなよい御子に恵まれ遊ばして、上様が羨ましゅうございます。私どもにも於次丸様のような良い御子がおりましたら、どれだけ慰めにも励みにもなりましょう。御可愛らしくて御利発そうで。(ねね)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

遠回しに於次丸頂戴アピールが強い、ねね(笑)

そちは於次が気に入ったのか(信長)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

信長も聞く力に長けていたけど。あれだけ頂戴アピールされたらね(笑)

上様!於次丸様を私に!(ねね)

御方様!(こほ)

はっ!申し訳ございません!あまりにも良い御子故、つい前後の見境ものうて。女子(おなご)の浅はかさ、御許しくださいまし!(ねね)

雪の小面ちゃん
雪の小面ちゃん

さりげなく、女性蔑視の台詞も目立つ様相

(笑)ねね。そちに於次を遣わそう。そちなら於次を愛おしんでくれよう。於次はのう、母親の愛を知らずに育った子じゃ。そちを母に持てば、於次も幸せというものよ。(信長)

於次丸様を私どもへ

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十七回「乙御前の茶釜」

 

そうか!下されたか!おかか、手柄じゃ手柄じゃ!そうか!これで羽柴筑前守秀吉の首は安泰じゃ!信長様の御子の父御(ててご)となれば、よもや儂を潰すようなことはなさるまい(笑)万々歳じゃ!万々歳じゃ!(秀吉)

御前様!御前様はそのような御了見で?(ねね)

うん?(秀吉)

私は於次丸様のような方が居てくだされたらと(ねね)

信長様ものう、儂に二心がないことが分かって下されたのよ。信長様とて安堵なされたのよ。信長様の御子を頂いた儂が謀反など起こそうはずはない。また、羽柴家が栄えれば栄えるほど、世継ぎの於次丸様のためにもなるわ。これほど目出度いことはないではないか!(笑)祝いじゃ!祝いじゃ!祝いじゃ!長政!長政!(秀吉)

秀吉にとって於次丸は、信長から人質を取ったようなものであった。また、信長にとっても似たような意図があってのことである。秀吉の力量を買っていた信長は、それだけに秀吉を恐れてもいた。が、於次丸を養子にやることで、完全に秀吉を支配できるわけである。それが乱世というものなのかと、ねねはおぞましく、於次丸が哀れに思えてならなかった。(語り)

 

父上に御挨拶をせい(信長)

はい。父上、母上、不束(ふつつか)者ですが、よろしくお願い申し上げます。(於次丸)

ねねはこれから自分の手元で育てることになる於次丸が只々愛おしかった。と同時に、信長の子を預かる責任の重さを思うと身の縮まるような不安に襲われる、ねねでもあった。(ねね)

 

 

 

画像:NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十七回「乙御前の茶釜」

 

次回に続く

 

再放送当日、渡隅ツイート

NHKおんな太閤記、第十七回「乙御前(おとごぜ)の茶釜」渡隅ツイート抜粋
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