NHK大河ドラマ『おんな太閤記』第十八回「人質松壽丸」の全語りと選りすぐりの台詞をご紹介します。雪の小面ちゃんによる寸評付き(笑)
第十八回「人質松壽丸」の概要
ねねは久しぶりに夫婦水入らずの正月を安土で過ごし、長浜へ戻ります。長浜では、羽柴家の嫡男に迎えた於次(おつぎ)丸、養女のお豪や姉の息子たち、そして、人質の松寿丸ら、子どもたちの声がにぎやかに響きます。ところが、別所長治、荒木村重が寝返り、秀吉は出陣します。黒田官兵衛は村重の説得から戻らず、秀吉は信長から官兵衛の嫡男・松寿丸を斬るように命じられますが、ねねの機転で松寿丸を隠してしまいます。
クレジットタイトルツイート
NHK #おんな太閤記 第十八回「人質松壽丸」
作:橋田壽賀子
音楽:坂田晃一
(中略)出演
1佐久間良子 2中村雅俊 3尾藤イサオ 4せんだみつお
連名G
中G:1藤岡弘 2長山藍子 3津島恵子
連名G
トメG:1赤木春恵 2泉ピン子 3前田吟 4西田敏行
(後略)#おんな太閤記クレジット タイトル pic.twitter.com/Qi8gPH6VWF— 渡る世間の片隅で (@watasumi_net) July 30, 2022
羽柴の家の嫡男として
播磨、但馬の平定が一段落した秀吉は、信長への報告に、ねねを連れて安土へ行き、天正六年の正月を久しぶりに夫婦水入らずで過ごすと、意気揚々と長浜へ帰ってきた。まさしく秀吉にとっては我が世の春であった。(語り)
ああ。播磨、但馬での儂の働き、格別であったと上様より大層なお褒めの言葉を頂いてのう。上様御秘蔵の茶釜を拝領した。なお、茶の湯を開くこともお許しくだされた(笑)武門の面目、これに過ぐることはないわ。(秀吉)
おかかのためにものう、酒宴を設けてくだされた。秀吉が今日あるのは、おかかの内助の功あってのことじゃと仰せられてのう。(秀吉)
このあたりは前回のおさらいとして
ほんに、女子(おなご)の幸せは添うた男で決まると言うが、実(まこと)よのう。ねねさは果報な御人じゃ。(とも)
男の幸せは添うた女子で決まるとも言う
何だか弥助への嫌みが表現された情景だけど。自分と添うたことで弥助が幸せなのか、ともは考えたことがないだろうね。
それだけではないぞ。我らには立派な世継ぎができた。男の子をもろうてきたのよ。(秀吉)
男の子を(とも)
うん(秀吉)
安土でか?(とも)
釣りで言うところの餌を「食った!」って感じかな(笑)ともは自分の息子たちを秀吉の世継ぎにしたいから。この手の話に食いつきが早いのが道理。
(笑)それも、ただの御子ではないわ。上様の四男であらせられる於次丸様じゃ。(秀吉)
上様の御子を!(きい)
おう(笑)おかかがお願いしたのよ。まさかとは思うておったがのう、ねねにも子がなければ寂しかろうと快う上様は下された。(秀吉)
まあ、ねねさが(とも)
秀吉が余計のことを言っちゃったから。おそらく、ねねが小姑に「余計なことしやがって」と思われちゃった一幕(笑)
うん。おかかの手柄よのう(笑)日本広しといえども、このような御子は望めぬわ。何よりの宝を上様より頂戴したわ。なあ、皆も会うてやってくれ。愛らしい御利発なええ御子じゃ(笑、秀吉)
子役を観た限り、愛らしいよりは凛々しいが適切かも
羽柴の家の嫡男としてお迎えした於次丸様じゃ。今日より於次秀勝と名乗られる。以後、於次殿は儂の留守中、長浜城主として政務にも携わられる。皆もそのつもりで心して仕えてもらいたい。ここに集うた者どもが我らが一族にございます。(秀吉)
於次秀勝にございます。今日より筑前殿を父様に、御方様を母様に、羽柴の家の嫡男として恥じぬよう、おつとめ、孝養に励む所存にございます。(於次秀勝)
おお、さすが於次殿じゃ。これで筑前、心おきのう戦にも出られまするわ(笑、秀吉)
信長の政権が続いて、しかも於次秀勝が健在であれば。実質的に羽柴領は織田領も同じことに。それはそれで当時の秀吉にとっては良かったのかもしれない。だって、天下人になった秀吉って、ろくなことしなかったから。信長に首根っこ掴まれていた方が秀吉の良識が保たれる。
私のお腹を痛めた子として
於次殿は我らの御子というても上様から御預りした御子じゃ。お豪とは訳が違う。また、御年とて十一じゃ。奥でお豪や孫七郎と一緒というわけにはいかぬではないか。(秀吉)
於次殿はのう、我らとは違うぞ。安土の御城でもずっと御一人でおられた。そういう暮らしが身についておられるのよ。(秀吉)
それならば、なおのこと。於次殿は私たちと同じ、身内の者たちと一緒に暮らしていただきとうございます。他人のようにお育てしたのでは於次殿のためにもなりませぬ。子供は親に叱られ、兄弟と喧嘩をしながら育つことこそ、まことの心を持った成人となると心得ております。私は於次殿を上様から頂戴した御子と思わぬことに決めました。私が私のお腹を痛めた子としてお育て致しとうございます。それ故、このような御願いを。於次殿には、人の情けの分かる武将になっていただきたいのじゃ。(ねね)
秀忠とお江の子に関しては、世継ぎの家光は乳母のおふく(後の春日局)、忠長はお江が直接育てた様相。世継ぎを乳母に育てさせるか、それとも正室が直に育てるかは一長一短ありそう。
よかろう。おかかがお願いしておかかに下された御子じゃ。おかかの思うたとおり、お育てすればええ。のう。(秀吉)
ありがとうございます。於次殿のよい母になるように一生懸命おつとめいたします。(ねね)
目下、小姓部屋にて文武両道を学び、ゆくゆくは羽柴の家の定めを担う者どもでございます。於次秀勝殿じゃ。(秀吉)
清正、正則、長政、そして三成。いずれも羽柴の定めを色んな意味で背負った小姓たち。
於次殿とは年頃も同じ。主従を超え、よい朋輩(ほうばい)として共に学び、共にお遊びなされませ。皆も遠慮は要りませぬ。於次殿と仲ように。今から槍の稽古がございます。於次殿も御一緒に。(ねね)
朋輩
御自分でなさいませ。御支度も御稽古のうちでございます。(ねね)
はい!(於次秀勝)
母親ぶった、ねね(笑)
参ろうぞ!(於次秀勝)
はい!(小姓一同)
いきなり威勢のよさを発揮した、於次(笑)
進之介を遣わそう
進之介(秀吉)
はい(進之介)
おかか。おかかにはこの進之介を遣わそう(笑)進之介はのう、女子(おなご)じゃ。いずれ訳あっての仕官であろうが。見どころがある故、騙されて抱えておった。(秀吉)
なんと、進之介が女子!!
進之介殿が?(ねね)
申し訳ございませぬ。男と偽っての仕官、どのような御成敗も覚悟の上でございます。(進之介)
ねねに秀吉が進之介を遣わすと言っているだけで、何も処分の話は出ていない
何故あって?(ねね)
はい。私の父や兄たちは、近江の浅井長政様に禄を賜っておりました者。小谷城と共に相果て、女子の私一人が残されました。女子では家名(かみょう)を継ぐことも叶いませぬ。男であれば佐竹の家を残し、家名を興すこともと。(進之介)
橋田先生、なぜに佐竹にしたんだろう??佐竹と言えば、関東の「鬼義重」とかを思い出さない道理がない。
それは健気な。そなた、男にも及ばぬ器量の持ち主よのう。(秀吉)
それではお許しくださるのでございますか?(進之介)
だから、秀吉は最初から咎めようとしてないってばさ
(笑)進之介、そなた、男の姿がよう似合うぞ。のう、おかか(笑、秀吉)
別所長治、謀反の儀
只今、播磨の黒田官兵衛殿より急使にて、別所長治謀反の儀にございます(家次)
何、別所長治が謀反じゃ!(秀吉)
史実的に案の定
毛利方に寝返り、既に上月城は毛利勢に包囲されている由(家次)
長治め、儂の留守につけいりよって!すぐに立つ!支度じゃ!(秀吉)
その日のうちに播磨へ取って返した秀吉は、直ちに別所長治の居城、三木城を囲んだが、毛利軍は既に播磨の各所に入り、尼子勝久、山中鹿之介らが死守する上月城をも包囲してしまった。播磨の危機を感じた秀吉は、その年の六月、自ら安土へ走り、信長に援軍を請うた。(語り)
西国計略は筑前に任せてある。援軍などもっての外じゃ!(信長)
まず、別所長治を討て。三木城を落とせば、毛利は播磨から手を引こう。全軍を挙げて三木城攻略に当たるのじゃ。(信長)
それでは上月城は(秀吉)
見捨てい!三木城攻略が先じゃ(信長)
大の虫を生かすためには、小の虫を殺さねばならぬ時もあるわ。上月城などにかかずらわっていては、三木城の落ちる道理はあるまい。即刻、上月城から兵を引き、三木城攻略に全力を挙げい!(信長)
こうしたところもかも、信長に疑心暗鬼を抱く配下の将が多かったのは
殿、いかがなされた?何用あっての御帰城でござる?(家次)
御前様?御前様!御前様(ねね)
構うな!一人にせい!(秀吉)
秀吉殿が播磨へ戻られて半年。いろいろ手を尽くされたそうじゃが、思わしゅうないと聞いている。今、長浜へ帰っておいでになる時ではあるまいに。(家次)
なんぞ、御考えがあってのことでございましょう。おみつ殿なら何か。(ねね)
やはり安土で何か(みつ)
播磨では三木城をはじめ、別所長治の支城が各所で兵を挙げ、上月城は毛利勢にかこまれております。それで上様に援軍をお願いに上がられたのでは。(みつ)
それで分かりました。そろそろ召し上がり物の支度をしてまいりましょう。(ねね)
橋田先生が、ねねの戦をお膳立てしてきましたね
やれやれでございます
御前様らしゅうございませんなあ。上様がお断りなすったからといってこのような。長浜に戻ってらしても何の御役にも立ちますまいに。(ねね)
おかかに何が分かる(秀吉)
また臆病風が吹かれましたか。金ヶ崎の退き口の時にも戦は嫌じゃと言って、三日も寝ておいでになりました。(ねね)
何じゃと!(秀吉)
ならば早う播磨へ!皆様、首を長くして待っておられます。負け戦と分かったら御命が惜しくなりましたか。(ねね)
命など惜しゅうはないわ!儂の命と引き換えで済むことであれば、このような思いなどせぬわ!あー嫌じゃ嫌じゃ!おかか。儂は侍がほとほと嫌になったわ。西国管領に任ぜられながら、今や播磨一国を持て余して。儂が無力なばかりに、上月城を救うことさえもできぬわ!このような情けない男に、侍などと大きな顔をしておる資格などないわ!(秀吉)
秀吉って西国管領だったんだね。中国の先の九州だってターゲットになるだろうし。秀吉、まさに大大名クラスかも。
さあ、少し召し上がりませ。こういう時には好きな御雑炊をを思って作ってまいりました。さあ。(ねね)
ねねの武器は雑炊をこしらえること。すなわち、これが女子の戦。やはり、橋田先生らしい。
うまい。やはり腹が空いておったのかのう。尼子勝久、山中鹿之介も、儂を信じて味方をしてくれた。じゃが、手勢がないためにむざむざと。毛利は手強い。三木城も兵を退くわけにはいかぬ。今の儂にはどうにもならんのじゃ!(秀吉)
橋田先生が雑炊で秀吉に愚痴を吐かせる
さあ、御代わり(ねね)
愚痴を聞き流して雑炊を喰らわすことに執着した、ねね
あー、儂は侍を辞めとうなった!(秀吉)
辞めちまえ。そうすれば、この先に中村ファミリーが不幸になることもなかろうに。
ならば、お辞めなさいませ。はい。私も御止めはいたしませぬ。私とて畑を耕していた方が性(しょう)に合うております。よっぽど気が楽でございます。なにも城主のおかかなど、なりたくてなったのではございませぬわ。御義母様も御喜びでございましょう。私はね、御前様が一生懸命おつとめをなさってらっしゃる故、ただ黙って、ついてきただけでございます。でも、御前様が負けると分かった戦をいやいやなさるのでしたら、侍を捨てるのも、それもよろしゅうございましょう。上に立つ御方がそれでは、御前様についてくださる御家来衆も浮かばれますまい。この度の播磨でのことは、御家中には御前様よりもっともっと力のある方がたくさんおいでになります。その方たちが後始末をしてくださいましょう。なあ(笑)私もこれで御前様の命を案ずることもなくなります。やれやれでございます。(ねね)
この長台詞、加えて消え物処理のパフォーマンス。演者の佐久間良子さん、やれやれでございました(笑)
儂を馬鹿にするか!許さんぞ!上様がここ!まで天下統一なされたのは誰の力と思うておる!儂の働きがのうては上様とてなるものもならぬわ!毛利とて、儂でなくば誰が討つのじゃ!そのために長い間苦労もし、準備もしてきた。それを今になって。毛利がどれほど手強かろうと必ず息の根を止めてみせるわ!それをできるのは儂しかおらぬわ!馬引け―!出立じゃー!(秀吉)
御前様。胸中、お察しいたします。(ねね)
ねねの術中にはまった秀吉。やはり、橋田先生の組み立てが分かりやすい。
おかか(秀吉)
御無事で(ねね)
(笑)まんまと、おかかに乗せられたわ!(笑)どうしても播磨に行く気がせなんだ。じゃが、これで吹っ切れた。勝敗は時の運。儂にできるだけのことをするだけじゃ。案ずるな。(秀吉)
馬の用意ができましてございます。じゃが、せめて明日の朝にでも。(家次)
いや、急ぐ(秀吉)
私も強(したた)かな、おかか。古女房になりました(笑、ねね)
古女房、南殿の騒動以来ですね
男はみんな、子供のようなところがあるものよ。藤吉郎とて弱音を吐くのは、ねねさの前だけじゃ。女房も亭主に弱みを見せられるようにならねば、まことのおかかとは言えぬのじゃ。男とて、おかかの前で裸になることもできんではやりきれぬわ(笑)そこを上手う操るのが、おかかの才覚よ(笑、なか)
夫婦(めおと)の道理も説いて魅せた、なか
儂が殺したのよ
それでも秀吉は、上月城を見捨てられなかった。が、力及ばず毛利軍との戦いに敗れ、やむなく軍を引いた。秀吉来援の望みも絶たれ、糧食も尽きた上月城は、六月二十一日、毛利の軍門に下り、尼子勝久は自害、山中鹿之介も敵の手にかかって果てた。(語り)
勝久殿、鹿之介殿。御許しくだされ(泣、秀吉)
秀吉殿(小六)
儂が殺したのよ。儂がふがいないばかりにのう。(泣、秀吉)
弔い合戦じゃ!何が何でも三木城を落とさねばならん!長治の首をあげてこそ、尼子、山中御両人への詫びじゃ。さあ、しっかりなされい!(小六)
彼らが目指していたのは尼子の再興。三木城を攻略したところで彼らは浮かばれない。
秀吉政権下で尼子が残っていたら。毛利との関係がどんな風になったか気になるところ。
初めての茶の湯
その後、秀吉は別所長治の居城、三木城攻めに全力を注ぐこととなった。その年の十月、秀吉は三木城攻略のための付城において、自分で開いたものとしては初めての茶の湯を催していた。(語り)
儂ものう、上様より茶の湯を御許し頂いた。今日は陣中での茶をお主たちに振る舞うてやろう。このような時にと思うであろうがのう、このような時にこそ茶はたてるものよ。茶の湯は静寂閑雅(かんが)な心を重んじる。心を清らかにして和ませ、静寂の境地に至る。戦に明け暮れる時こそ、その心を養うことが肝要。これは上様より拝領した茶碗じゃ。その軸は上様より拝領した唐絵。(秀吉)
何だか知ったようなことを言ってる秀吉(笑)
とりあえず、信長から拝領した物は良品といった理屈(笑)
講釈はもうええわ。茶飲むなら茶飲むで早くしてくれんかな。(小六)
そう、橋田先生がわざと秀吉に講釈を要求した一幕
茶の道具を静かに鑑賞するのも茶の湯のうちじゃ。これからは、この筑前が宗匠となって茶の湯の手ほどきをしようのう。(秀吉)
何も分かってないくせに、秀吉が偉そう
いやいや、儂は御免じゃ。茶の湯など知らいでも戦はできるわい。(小六)
侍の嗜みぞ(秀吉)
(笑)筑前殿がこのような(笑、小六)
そう、小六を通して小ばかにしたりと。橋田先生は秀吉の講釈を滑稽に描写したかった様相。
いや、あ、兄者(又十郎)
余計な口を利かぬのも茶の湯の心得ぞ(秀吉)
あーやれやれ。茶の湯とは面倒なものよのう。戦をしとる方が楽じゃ。のう、又十郎、ええ?(小六)
小六は人殺しの方が楽だと言ってます。兎に角、その感覚が異常の極み。
御免!安土より急使にて荒木村重、謀反の由にございます!(嘉助)
秀吉が茶の湯に招いた配下は、蜂須賀兄弟、秀長、浅野長政、官兵衛。故に、招かれなかった嘉助の方が客観的に身分が下。
儂が摂津へ行こう
荒木村重、突然の謀反は、中国攻めに苦慮している秀吉を再び窮地に立たせた(語り)
儂は村重殿と昵懇(じっこん)の仲じゃ。儂が思いとどまるよう説得してくる。今、上様に背いても何の利もない。(官兵衛)
しかし、ここまで来て翻意なされる道理がないわ。官兵衛殿にもしものことでもあたら。相手はもはや敵じゃ。(秀長)
官兵衛に比して、秀長の考えは適切
儂との仲でそのような。それより、もし村重殿、翻意の時には上様へのおとりなし、よしなにお願い申す。(官兵衛)
信長に「よしなに」は通じないのが道理
官兵衛は単身、有岡城へ乗り込んだ。が、官兵衛の意に反して、村重は官兵衛を城内へ幽閉してしまったのである。(語り)
案の定過ぎて(笑)
猿の目は節穴か。官兵衛は秀吉に内応したというても元は毛利方、小寺政職(まさもと)の家臣じゃ。村重とも親交がある。別所長治の謀反で毛利方有利と見て村重が兵を挙げたのを幸いに村重についたまでのことじゃ。そのくら見抜けいでどうする!猿めの失態じゃ!(信長)
しかし(信長の側近)
即刻、筑前に官兵衛が差し出した人質を斬るように申しつけい(信長)
松壽丸を。まだ幼少にございます。それだけは!(信長の側近)
ならぬ!そのための人質じゃ(信長)
確かにそうなんだけど。じゃがのう、裏切りがはっきりするまでは幽閉とかが妥当かと。
殿!(信長の側近)
他の者への見せしめじゃ!斬らねば見せしめにはならぬわ!斬れ(信長)
ははっ(信長の側近)
見せしめが過ぎると、他の配下に疑心暗鬼が伝染する
竹中半兵衛殿の御一存
御方様!播磨より秀吉殿の急使にございます(進之介)
えっ?(ねね)
なりませぬ!たとえ上様であろうと幼い松壽丸殿を斬れなどと!秀吉殿も秀吉殿じゃ!上様の言うままに!私は許しませぬ!(ねね)
ねね殿!官兵衛殿、裏切ったとあれば致し方あるまい。戦国の習いじゃ。(家次)
この手の話題の頻出ワードですね
家次殿!(ねね)
もし上様の御意に逆ろうたら秀吉殿はどうなる!羽柴の家はどうなると御思いじゃ!それくらいのこと、ねね殿とて(家次)
私が安土へ参って上様にお願いいたします(ねね)
女子(おなご)の出ることではないわ!(家次)
橋田壽賀子作品は男尊女卑の台詞が結構多い
秀吉殿とてお辛いのじゃ。上様の御気性を御存じ故、仕方なく。(嘉助)
ならば斬ったということにして松壽丸殿をどこぞへ(ねね)
そのような小細工をしてもどうなるものではないわ!(家次)
分かりました。それでは松壽丸殿は私が御守りするまでじゃ。誰の手にも渡しませぬ!(ねね)
ねね殿!(家次)
御方様がその御所存ならばお話しいたします。秀吉殿の軍師、竹中半兵衛殿は松壽丸殿を殺してはならぬと。(森弥五六)
満を持して、弥五六が竹中半兵衛を語る(笑)
へっ?(ねね)
もし城中が秀吉殿の御指図のままになさる時には松壽丸殿を御隠し申せと、私がその任を承って嘉助殿と共に急使の役目を仰せつかってございます(弥五六)
橋田先生は竹中半兵衛よりも森弥五六を活躍させたい意向(笑)
おぬし!(嘉助)
我が殿、小六殿も同じ意見にございます(弥五六)
小六と言えば、浅井長政の男児を串刺しにした黒歴史が!あれから改心したのかな
それでは秀吉殿には内密?(ねね)
もし露見の暁には、竹中半兵衛殿の御一存にてなされたことと責めを負われる覚悟にございます(弥五六)
これでちょっとでも半兵衛が登場すればね
竹中半兵衛殿のような御方じゃ、きっと何か思惑があってのことであろう。これで私も心強うなりました。(ねね)
こういう台詞出されても、説得力がないんだよねー。やっぱり、ねねがこれまでに半兵衛と関わった情景がなかったので。
私も御方様が御力をお貸しくださるならば、百万の味方を得た思いにございます(弥五六)
この度のことは私がよしなに取り計らいましょう(ねね)
ねね殿!(家次)
いざとなった時には私が責めを負いましょう。上様とて人の情けの分からぬ方ではございますまい。女子(おなご)の浅知恵でしたこととなれば、御許しくださるやもしれませぬ。(ねね)
やっぱり、ねねが半兵衛のいいとこどりになりそう
そのような甘いことではないわ!(家次)
松壽丸殿に指一本触れさせませぬ!もし御手にかけられるようなことがあったら、私を斬ってからになさいませ!(ねね)
ねね殿!(家次)
あくまで私の一存で
よう聞き分けてくれました。寺の暮らしはお辛かろう。しばらくの辛抱じゃ。必ず、必ず、私がお迎えに上がります。それまで。(ねね)
よろしゅうお願いします(松壽丸)
なお、今より松壽丸殿ではございませぬ。そのこともよう。事情はいつかお話しする時が来ましょう。今は私のお願いを。(ねね)
儂に任せとけ。中村へ去(い)ねば気心の知れた住職もおる。知り人の子を坊主にしたいと頼めば喜んで迎えてくれるわ。おお、見違えたぞ!まるで男には見えぬ。立派な女子(おなご)じゃ。百姓の婆(ばば)と娘との旅じゃ。(なか)
女装して女子に見えなかったら、木原光知子さんの立場がない(笑)
大儀でした。今から城を出ます。弥五六殿はすぐに播磨へお戻りなさいませ。供は御義母様とこの者がいたします。(ねね)
しかし、女子(おなご)だけでは。わしゃ、そのために。(弥五六)
そなたがついていたらかえって目立ちます。それに、もしもの時に秀吉殿や半兵衛殿に御迷惑がかかりましょう。これはあくまで私の一存でしたこと。それでいいのです!(ねね)
というわけで、半兵衛の策や弥五六の任務がなかったことに(笑)全ては、ねねの一存にて。
しばらくの辛抱じゃ。のう。(ねね)
さあ、一刻も早う。辛抱しなされよ。(なか)
松壽丸を入れた木箱を進之介が背負って中村まで行く予定
御義母様、申し訳ございません(ねね)
なんのなんの。儂は中村へ去ぬることができるのじゃ。有難いと思うておる。それに、この婆(ばば)とて役に立つことがあると思えば心も勇み立つわ。(なか)
道中、御無事で(ねね)
松壽丸殿はどうなされたのじゃ!(家次)
斬り捨てましてございます(ねね)
ねね殿!これは、ねね殿一人で済むことではない!羽柴の家の大事じゃ!ねね殿の勝手になされることではないわ!(家次)
それ故、斬り捨てましてございます。それは御遺髪でございます。よしなに御取り計らいくださいませ。(ねね)
遺髪の提出で信長が納得する法はない
故あって、遠い所に
それにしても我らに黙って。ねねさも、ねねさじゃ。我らに断りもなしに。(とも)
申し訳ございませぬ(ねね)
やはり、御城での暮らしはおっ母さの性に合わぬのよ。去にたい、去にたいと口癖のように言っておられたわ。(きい)
私が至りませぬ故(ねね)
小姑と一緒に生活するって、本当に大変そうですね(笑)
母様!松壽丸殿はいかがなされました?どこを捜してもおられぬ(於次秀勝)
松壽丸殿は、もう御戻りにはなりませぬ(ねね)
どこへ行かれたのじゃ?(孫七郎)
故あって、遠い所に旅立たれました(ねね)
松壽丸、始末されたテイ
義姉様。松壽丸殿は人質として長浜に来られたと聞いたが?もしや!(きい)
きいが余計のことを橋田先生の御指示にて
それが戦国の世の習いでございます(ねね)
始末されたってことですね
では、ねねさは松壽丸殿を見殺しになされたというのか?(とも)
女子(おなご)の私には関わり知れぬことでございます(ねね)
敵を欺くにはまず小姑から(笑)
義姉様をあんなに頼りに懐きもしておったのに(きい)
兎に角、小姑にも内密の仕儀
松壽丸殿を返せ!松壽丸殿が可哀想じゃ!返せ!松壽丸殿を返せ!(孫七郎)
松壽丸は大丈夫。関が原を機に大大名になるから。後々、孫七郎の方が尋常でないくらい可哀想じゃ状態に陥ることに。
孫七、孫七郎、孫七郎!おじゃれ、おじゃれ、おじゃれ(とも)
だから、公家か(笑)
義姉様を見損のうたわ!分別もつかぬ御子を、たとえ戦国の習いとてむざむざと!義姉様は血も涙もない御人よ!(きい)
この物語の中で、きいは浅はかの代名詞
母者(ははじゃ)。母者の胸中、於次にはよう。お察しいたします。(於次秀勝)
この一幕の登場人物の中で感受性が強かった於次秀勝
いつか城中では、松壽丸は密かに殺されたものと信じられていた。ねねは信長が怖かった。いつ見破られるか。薄氷を踏む思いの毎日であった。(語り)
常念(じょうねん)よ。よう精が出るのう。御婆(おばば)も畑が忙しゅうてのう。のう、辛いことがあったら何でもこの御婆に言うのじゃ。儂はいつでも中村におるでなも。あっ、これは餅じゃ。のう、寺の食い物だけではひもじかろう。(なか)
松壽丸は常念の偽名を使って寺の小坊主に
次回に続く
再放送当日、渡隅ツイート
週刊おんな太閤記随想、第十八回「人質松壽丸」
第十八回「人質松壽丸」について、渡隅版のまとめ記事