子供の頃から馴染み深い俳優さんの一人と言えば武田鉄矢さん。映画では『幸福の黄色いハンカチ』、テレビでは『3年B組金八先生』など、多くの名作にご出演されているわけで。無論、これらの作品はDVD化されていますが、同じく名作であるはずの映画『思えば遠くへ来たもんだ』に関してはDVD化されていない!これは何とも不思議だ。どういうわけなんだろう?
ということで、映画『思えば遠くへ来たもんだ』や出演者の方々について渡隅目線でご紹介した上で、なぜDVD化されないのかについても推測してみたいと思います。
渡隅目線の見どころ
主演の武田鉄矢さんをはじめとして、あべ静江さん、熊谷真美さん、山本圭さん、植木等さん、乙羽信子さん、大滝秀治さん、泉ピン子さん、大山のぶ代さん、たこ八郎さん、山田隆夫さん、村田雄浩さんなどなど。何ともそうそうたる顔ぶれなわけですが。
以下、映画の中で渡隅が気になった点をピックアップしてみます。
コミカルで破天荒な教師
とにかくキャラ全開の青田先生。例えば。
生徒に北京原人呼ばわりされて(笑)校庭を追い掛け回して。陸上のハードルに足をぶつける演技とか。丘の上から野次ってくる生徒たちの元へ行こうと丘を登って行こうとするわけで。すると見事に転がり落ちたりと(笑)
かと思えば、下宿先の息子さんがたこ八郎さん扮するヤクザに10万円ゆすられたことを知るや否や。たこさんの居場所をつきとめて今後ゆすりに来るなと注意喚起。それどころか、たこさん達相手に大暴れする青田先生(笑)只々すごいの一言。
贅沢な脇固め
下宿先のご夫婦に植木等さんと乙羽信子さん、そして校長先生は大滝秀治さん!
今は亡き昭和の名優がしっかりと脇を固めた作品なわけです。
渡鬼出演者が3人も!
渡隅的に気になったのは、渡鬼出演者が3人も出演されている点。
まずは青田先生のお見合い相手として登場する泉ピン子さん。初々しいかもな泉ピン子さんを拝むことができます。
続いて、女子高教師役の熊谷真美さん。前年、NHKの連続テレビ小説『マー姉ちゃん』で主演としてご活躍された勢いが今作でも。芸歴40年、何とも安定感がある役者さんなわけです。
そして、デビュー間もない頃の村田雄浩さん。渡隅的に村田さんと言えば、不器用で柔道のイメージが強いのは、やっぱり今作が原因かも。
清楚なあべ静江さん
村田雄浩さん扮する「根性」(あだ名)の姉さん役があべ静江さん。
まさに今作のマドンナ。当時の「女らしさ」とやらを象徴しているかのような素敵な存在。
お祭りのシーンでは、あべ静江さんと熊谷真美さんの間で「両手に花」状態だった青田先生。ビッグチャンス到来だったわけです。
あべ 静江(阿部 静江) (@abeshizue) | Twitter
海援隊の曲が素晴らしい
映画では秋田県角館の情景と海援隊「思えば遠くへ来たもんだ」のメロディに乗って、名高い役者さんたちのクレジットが流れたわけですが。何とも風情があってよい感じでした。
今作の影響で青田先生みたいに移住とかに憧れた殿方が多かったのでは。
時代背景が反映されたセリフ
あべ静江さんから「百姓」というセリフが聞かれたり。当時は農家とは言わずに百姓という言葉が一般的だったのか。
下校中の女子高生が「バイビー」と言って友達と別れたりとか。
熊谷真美さん扮する女子高教師のあだ名が「バンビ」ちゃんとか(笑)
その他、気になるセリフなどは多々ありますが、ここでは色んな意味で割愛します。
とにかく平成の世に終わりが見えてきた2018年においては、なかなか耳にすることができないセリフを今作では嗜むことができると思います。
いつしか姿を消した名作
昭和の時代には映画『思えば遠くへ来たもんだ』がテレビで何度か放送されていたと記憶しています。ところが、平成時代に入ってから30年の月日が流れる中で、テレビ放送で観る機会がなくなりました。
今作では不良行為があった生徒に対して、青田先生なりに更生を促すための手段が適用されました。尻を竹刀で軽めに叩いたり、両こめかみ付近を両げんこつでグリグリしたり(笑)それ故に、令和の世に地上波で放送するのは難しいことも察することができます。それでも、渡隅的には武田鉄矢さん扮する柔道部顧問の青田先生から生徒への愛情を感じましたが。
それに物語の中で、青田先生はしっかりと結果を出していたりと。例えば。
武田鉄矢さん扮する愛情あふれた青田喜三郎。少々不器用ですが、とっても素敵な先生だと渡隅は勝手に思ってみたり。
仮に、地上波で放送するのが難しいとしても、BS・CSの有料放送なら全然ありの内容だと思います。にもかかわらず、有料放送でも映画『思えば遠くへ来たもんだ』を拝む機会に恵まれない。このことは、たまたま渡隅が有料放送を見逃してしまっただけなのか。
それにしては妙におかしい。松竹映画にも関わらず、これほどの名作がDVD化されていない。これは一体どういうことなのか?
DVD化されない理由を考えてみる
とにかく見どころ満載な松竹映画『思えば遠くへ来たもんだ』なわけですが。
それでもDVD化されない理由とはいったい何なのか?
フィルムが現存しているのか?
同時期に公開されていた山田洋次監督の「男はつらいよ」シリーズはDVD化されているのに、朝間義隆監督の『思えば遠くへ来たもんだ』はDVD化されていない。
そこで、他の朝間義隆監督作品を確認してみると。
同じく武田鉄矢さんが出演された『俺たちの交響楽』はDVD化、『二十四の瞳(1987年度版)』はブルーレイディスク化されています。
しかし、『俺とあいつの物語』、『えきすとら』、『椿姫』、『スペインからの手紙 ベンポスタの子どもたち』については、『思えば遠くへ来たもんだ』と同様、VHSビデオ化はされたようですが、DVD化はされていません(2019年7月6日現在)。
上記を加味すると、『思えば遠くへ来たもんだ』がDVD化されないのは、朝間義隆監督作品に起因するのかもしれません。
そして、何かしらの問題が生じてフィルムが現存していないのかもしれません。
著作権の問題?
もしかしたら、二次利用を拒否している出演者がいるのかもしれない。
松竹映画『思えば遠くへ来たもんだ』に出演されていた昭和の大御所は、平成時代に入ってから天寿を全うされて逝きました。このことは、単純に下の世代の方が遠慮なく意見を言いやすい環境に時代が変化していった様相にも。そして、ある役者さんにとっては『思えば遠くへ来たもんだ』の当時を観られたくない理由から二次使用に許諾しなかった可能性も。だとすれば、時代によってはVHSビデオ化されていたにもかかわらず、いまだにDVD化はされない理由がわかりますね。
あくまでも仮説です。
まとめ
武田鉄矢さん主演の映画『思えば遠くへ来たもんだ』のご紹介、さらに傑作にも関わらずDVD化されていない理由を何となく推測してみました。
破天荒な教師ものとして、昭和文化として、何とかDVD化してほしいものです。もしくはBS・CSの有料放送に期待したいですね。