TBSチャンネルで日曜劇場「聖夜」が放送されました。本作は、あの倉本聰さんが脚本、主演は小倉一郎さん、相手役は仁科明子(現・仁科亜季子)さんだったわけですが。実際に視聴してみて、制作された1973年当時としては結構な問題作だったのではと容易に推測することができました。
以下、視聴しました偶感などをご紹介していきたいと思います。
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ストーリー
ジングルベルが鳴り響くクリスマス・イブの札幌。集団就職したクリーニング屋の店員・英次(小倉一郎)とベーカリーに勤める洋子(仁科明子)は恋人同士。2人は1カ月以上も前からこの日に休みを取り、イブのデートを心待ちにしていた。また、英次は密かに洋子に白いブーツをプレゼントしようと考え、せっせと貯金していた。だが英次のそんな気持ちを知らないクリーニング屋の主人・田上(金田龍之介)は、突然、難しいシミぬきの仕事を夕方までに仕上げるよう彼に言いつける。英次はカッとなったものの仕事を放りだすこともできず、洋子に当たり散らすしかなかった。仕事を終え、洋子に電話する英次。だが彼女は電話に出なかった。英次は街で洋子を探す中、サンタクロース姿の男たちに殴られ、意識を失っている間に貯金したお金を盗まれてしまう。
当時、冬の北海道を舞台に、クリーニング師で素朴な若者を主人公に設定した倉本聰さん。
こういった着眼点も、倉本聰さんの作品の魅力の1つ。とにかく情景が素朴。
出演
小倉一郎、仁科明子、金田龍之介、蓮川久美、鶴間エリ、村井洋、小栗一也、伴淳三郎 ほか
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クリスマスがもたらした若者の転落
それでは倉本聰さん脚本の「聖夜」における主人公・英次の情景をあれこれと検証していきたいと思います。
白いブーツと若いカップル
白いブーツを見つめる当時の若いカップルが二人。
この白いブーツ、18,000円もするらしい。
当時の物価を想像すれば庶民が気軽に買えるようなブーツではなさそう。
それにしても、当時の仁科明子さん。本作で披露したミニスカートにハイソックス姿が素朴で愛らしい。
きっと白いブーツもさぞかし似合ったことでしょう。
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クレジット中に気になったこと
まずは小倉一郎さん扮する英次のアイロン裁きが何とも(笑)
続いて「→仕上り日←」の円のまわりを左に向かってぐるぐる回るパンダとか。
ちなみに、パンダに限らず、当時のお姉さんの写真もぐるぐる回っていました(笑)
といった感じで、クレジットでもよい味を醸し出す「聖夜」の情景だったわけで。
12月24日
1973年の作品ということで。時はおそらく1973年12月24日。
当時からクリスマス・イヴは盛んだった様子。
この日くらいは好きなお相手と幸せな気分を分かち合いたいと思うのが人の心。
ところがぎっちょんちょん。
クリスマス・イヴに染み抜きを頼まれた英次
クリスマス・イヴの日、恋人・洋子とデートの約束を交わしていた英次だったわけですが。
金田龍之介さん扮する勤め先の店主・田上に急ぎの染み抜きを頼まれてしまい。
英次の敗因は、田上の店に住み込みで働いているということ。これでは逃げられない(笑)
また、この店で難しい染み抜きは英次にしかできない様相。
店主として田上にはもっと頑張ってほしいところですが。
とにかく洋子に電話で当たり散らしつつ、約束の時間を14時30分に変更。
染み抜きに取りかかった英次だったわけですが。
ここでまたしてもハプニングが。依頼客がなんと!
ほかの服を着ていくから染み抜きは(当日の24日の)夕方までに仕上げなくてよいとのこと。
染み抜きの薬品をこぼしてお客の服をさらによごしてしまい。
小倉一郎さん扮する何ともキレやすい若者・英次。
対して、妥当なリアクションを醸し出す金田龍之介さん扮する田上。
そして、店側の過失で預かった品物を台無しにした場合の補償問題を英次に投げかける田上だったわけですが。
とにかく感情的になって田上の店を飛び出す英次。
洋子の靴を物色する英次(笑)
洋子に電話しても外出中でつながらず。
それでも洋子のサイズに合った「白いブーツ」を入手したい英次。
そこで、洋子不在中のアパートで洋子の靴を物色したり。
サンタクロースの集団に袋叩きにされる英次
英次が電話ボックスに居座って電話帳をめくっていると。
なんとサンタクロース姿の男が「早く出ろ」と電話ボックスをたたいてせかされる始末(笑)
誰もがサンタクロースとだけはトラブルになりたくないであろう12月24日。
英次が不快感を募らせるのも非常によくわかります。
電話ボックスをサンタクロース姿の男に譲ったまではよかったけど。
捨て台詞を吐いて走り去る英次。
ところがぎっちょんちょん、再び。
結局、サンタクロースの集団に捕まってボコボコにされる英次。
さらになんと!サンタクロースたちに「白いブーツ」の購入資金を強奪された次第。
そしていよいよクリスマス・イヴの日に転落していく英次。
著しく冷静さを欠いた英次がとんでもないことをしでかすわけです。
伴淳三郎さん扮する酔っぱらいが登場した意義
「聖夜」には、クリスマス・イブの酔っぱらい役として、あの伴淳三郎さんも登場。
クリスマスの不条理を切々に物語っていたわけですが。
このシーン、見方によっては要らないシーンのようにも観えますが。
本作にとっては非常に重要な場面だったわけだ。というのも。
英次がサンタクロースたちに袋叩きにされた場面を再確認してみると。
おそらく同類の撮り方でクリスマスの不条理を表現したかったのではないだろうかと。
クリスマスであっても、人によって幸不幸の明暗が別れるという強いメッセージ。
何とも奥深い作品に仕上がっています。
英次が洋子にヘッドロック(笑)
英次の人生にとって大きな汚点を残した1973年の聖夜。
その後の若いカップルの人生は如何に。
何とも複雑な余韻を醸し出したかもなエンディングでした。
続編が欲しかったですね。
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余談「短気は損気」
本作ではとんでもないクリスマス・イヴを過ごした英次の情景が描写されていました。
当時の小倉一郎さんが扮した英次は、腰回りが細くて、いかにも神経質そうな若者。怒りに身を任せて後先を考えない行動が目立っていましたね。
特に、サンタクロースの男に対して感情的にならなければ、以後の不幸な展開はなかったわけですから。
まさに「短気は損気」を絵に描いたような英次だったわけで。
昨今においても、後先のことを考えていないような若者の所業がニュースになっています。
労働力不足が著しい現代において、若者が貴重な人財であることは言うまでもないこと。
ところが「若気の至り」で人生に大きな汚点を残してしまうことは何とも馬鹿馬鹿しい。
とにかく自らの人生を大切にしてほしいと願うばかりだ。
まとめ
TBSチャンネルで放送された日曜劇場「聖夜」をご紹介しました。
倉本聰さんが巨匠である所以を「聖夜」で改めて垣間見た思いです。
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